番外編5 宿題地獄
夏休み最終日。
それは、ある特定の学生達にとっては、地獄の様な日。
何故地獄の日かと言うと、夏休みの宿題を忘れていた者達。
やるやる言っていて、気付けば最終日になっていた者達。自業自得とは言え、追い込まれて泣き叫ぶ者達。
そんな彼らには、現実逃避をも許されない。
そう言う者達が取る最後の手段は、友達や親に手伝わせると言う狡くも已む負えない方法。
そして、ここにも一人、宿題の事を忘れていた人がいた。
ある少女の家。
「夏休みももう終わりかー。そう言えば、大事なことを忘れてるような・・・・・・何だこれ?」
サラが机の上の片付けてると、何かを発見。
#頁__ページ__#を捲って見よー。ペラペラ。ペラペラ。げッ.忘れたよー。夏休みの宿題だこれ-。
サラが頁を捲ってる内に、段々その正体を知ることになり、顔が青#褪__ざ__#め始める。
―――また今年もしちゃったー。今年こそは早めにやっておくって言ってたのにー。今年も此の侭じゃ間に合わないよー。どうしよーかなー。そうだ、あそこに行こー
事前に立てたは良いが、人とは同じ過ちを繰り返すもの。そう直ぐに変えられるものではない。
喚いても終わるわけではないので、毎年の事ながら幼馴染みを頼るべく、その幼馴染みの家に向かう準備を済ます。
準備と言っても、夏休みの宿題と筆記用具も鞄に入れるだけ。
リュックを背負うと、早速幼馴染みの家へと向かう。
向かった先は、サラの家から、直線で五分ほど歩いた所にある一軒家。ミューフィの家。
ピーンポン、ピンポン。チャイムを鳴らすが、応答が返ってこない。
「留守か~。仕方ないなー。あそこ行こう」
―――折角ミューフィに答えを聞こうと思ってたのにー。何処行ったのかなー。
真意は分からないが、恐らくはミューフィは自力でやらせるために姿を消したのだろう。
サラは、思い出したように先輩の家に向い。
こちらの家にも、宿題に追い込まれる少女がいた。
「た、楽しかったわね。夏休み。 良い思い出作りが出来たし。遣り残したことも無いわよね。宿題が少なかったけど。こんなに少なかっかしら」
夏休みの思い出に耽るアミリ。
宿題の少なさに訝む。
何と無く、学校の鞄からクリアファイルを出す。
入っていた物を出すことで、恐ろしい事に気付かされる。それはーーー
―――こ、これってまさか!? どうりで少ないわけよ。それにしてもこんなに…
大量のプリントを見つけ、遣り貸したと自分の馬鹿さを知る羽目に。
―――こ、こんな量を一人で一日で終わらせれる訳無いわよ。私が悪いのは分かってるわよ。でも、仕様がないからあそこに助けて貰うわよ。
救援を求めたアミリは、プリントと筆記用具を持って家を出た。
向かって行った先は、アーティナの家だ。
ピンポーン!
『はい、どちら様ですか』
「ア、アーティナさんの友達のアミリだけど、居るのかしら?」
『申し訳ございませんが。アーティナお嬢様は、昨夜から風邪で体調を崩しておりますので、会える状態ではございません』
「わ、分かったわよ。早く元気になってよねって伝えておいてよね!」
そうアミリは伝えると。
―――そ、それじゃあ、もうあそこに行くしか、ないわね。
アミリが心の中でそう呟く。
そして、サラと同じように、ヒョウガの家へと向う。
ヒョウガの家の近くを、サラが歩いてると別の道から出てきたアミリと遭遇してしまう。
「あ~アミリだ! もしかして、宿題やって無かったのかー」
「そ、そんな訳無いわよ。これは…そう、買い物よ」
「買い物!? でもアミリの家の直ぐ近くにスーパーがあるじゃんか。それに、あそこ品揃えが抜群だし。ホントは?」
見え透いた嘘を付くアミリに、真意を問う。
「わ、分かったわよ。別にサラと違って、全部じゃなくてプリントの方が残ってるだけよ」
「プリントってかなりの量だよー」
「し、知ってるわよ。そんなこと! 特別に手伝わせようと思ってたのよ」
ムキになったアミリが説明すると、聞き終えたサラが死んだような目て言う。
無理もない同じ境遇なのだから。
ーーー否、それ以上か。
「じゃあ、急ぐよー」
「ま、待ちなさいよ!」
聞く耳も傾けないサラは、先にヒョウガの家に向う。
「しょ、仕様がないわね、サラは」
そう呟くと、サラを追ってヒョウガの家の方に向った。
一方ヒョウガはと言うと
「今日で夏休みも終わりだぞ! 今年は去年までと違って楽しめたぞ。疲れもしたけど」
「そうね。母さんも今日で休み終わりよ。と言っても七日しか休みないんだけどさ。楽しそうでよかったわ。明日から頑張りなさいよ。また! で、今日はこれから何する?」
ヒョウガが、今年の夏休みは今までと一味も、二味も違って楽しめた様子。
母もそれを聞いて嬉しそうだ。
そんなやり取りをしてる最中、
ピーンポーン。ピンポン。
「誰か来た見たいね」
「ん……!? じゃあ俺が出るぞ」
チャイムに気付き、ヒョウガが出て行く。
それにより、のんびりしようとしていた一日が終わりを迎えた。
「そ、その・・・・・・・宿題はやっとのよ。やったけどプリントが沢山あったわよ」
「ウチは何もやって無かったよー」
「ああ、分かったぞ。サラは、何と無く予想は付いたが、アミリもだったんだな! さ、入れ」
アミリとサラが来た理由を伝えると、上がるよう促す。
サラの訪問は予想していたらしい。
まあ、普段の様子から予想は付いていたからだろう。
そこにアミリが居たことは予想できなかったのだろう。
「お、お邪魔するわよ」
「お邪魔するよー」
「入らっしゃい。この日を選んできてると言う事は、夏休みの宿題ね」
ヒョウガが入って来ると、その後ろから、二人の姿が見えたので母が思う。
ーーー正解だ。
この息子にして母ありとはまさにこのことだ。
早速ーーーリビングにある机の上に勉強用具を置くなり、宿題に取り掛かる。
「うん。やっぱ思ったけど、この量は一日で終わらないよー」
「そんなこと言われても、やって無かったのが悪いってなっちゃうんだぞ!」
「それなら、母さんも手伝ってあげるわ。そっちの方が早く終わるでしょ」
ヤル気を見せたは良いが早くも諦めモードになる。
頭を搔きむしって、困り果ててるヒョウガを見て、母が駆け寄った。
「じゃあ、これ宜しくだよー」
「数学ね。母さん、数学は得意中の得意だったわ。パパッと終わられてあげる」
―――サラの方は母さんに任せなさいと言うから、俺は、アミリを教えるぞ!
「教える時間が無いから、俺も今回だけは手伝ってやるぞ!」
「あ、ありがとう。あ! 仕様が無いわね。任せるわよ」
教える時間も惜しいため、ヒョウガも協力体制。
何十枚かを、ヒョウガはアミリのプリントの山から取ると。
黙り込んで取り組む。
そうすること数分が経つ。
「はい、一枚終わったわ、サラちゃん」
「速いよー」
サラが、ヒョウガの母が終わらすスピードのスピードの速さに、少しビビり気味。
ヒョウガの方は、二、三分かけて三、四枚のプリントを終わらす。
「ん……!? はい、アミリ。終わったぞ!」
「も、もう四枚も終わったの!? 早いわよ!」
吃驚した顔をするアミリはしていた。




