32話 打ち上げ花火
其の時ーーー
ヒュ~~~~ドン。ヒュ~~~ドン。
「は、始まったわね。花火大会」
「ああ、そうだな」
「き、綺麗よね」
「そうだな。凄く綺麗だぞ!」
二人共、花火に魅了されている。
「二人ともいい感じでね。それに花火が奇麗」
「そうですの!」
「この侭そっとしておきましょう。花火が凄い綺麗です」
「そうだよー。花火凄いよー」
ヒョウガとアミリに気付かれぬよう、後ろでカナミ達は花火を見ていた。
二人のことと、花火の感想を話していた。
「玉屋~!」
「た、玉屋~よ!」
花火が上がったのを見て、掛け声をするヒョウガに釣られて、アミリも掛け声をかけたのだ。
綺麗な花火が次々打ち上がって行く。
夜空に上がる花火は、数秒間と言うわずかな時間で消えるのに、人々の心には焼き付くので、儚くも美しい。
などと思いながら見ていると、激しさを増していく。
ヒュ~~~~~ドン。ヒュ~~~~~~ドン。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。ど~~~~~~ん、ど~~~~~ん。パチパチパチパチ、パチパチパチパチ。ヒュ~~~~~ドン。ど~~~~~ん。
「す、凄く綺麗よね。先よりも凄い花火よ」
「ああ、凄く綺麗だぞ。そうだな。こっちの花火、気に入ったぞ!」
「サラ、凄いですね」
「そうだよー。今見た中で一番いい」
「とても素晴らしいですの」
「凄いね!」
ヒョウガとアミリが前で見てるので、気付かれぬように話している。
ヒュ~~~~~ドン。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。ヒュ~~~~~ドン。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。ヒュ~~~~~ドン、ドン。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。
いよいよ、クライマックスに差し掛かっている。
「もう直ぐで終わりだから、今まで以上に凄いぞ!」
「す、素敵ね」
ヒョウガが感じたことを言うと、アミリがそう呟いた。
「凄い迫力だね」
「そうですね。素敵です」
「もう直ぐクライマックスだー」
「凄く楽しいですの」
カナミ達も思い思いの事を言う。
「やっほ~~~」
「サラ、それは何か違うですの」
「それは、山の麓で叫ぶ、山彦です」
サラが叫んだのが、花火の掛け声ではないと気付いた、ミューフィが、それは山彦と言う。
その代わりに、サラの叫び声に気付いてヒョウガとアミリに気付かれてしまい。
「い、何時からいたのよ? 其処に」
「何時からって言ったって、ずっといたですのよ」
近付くアミリが、アーティナと言葉を交わす。
それ以上は、アミリも問い質して来ず。
ヒュ~~~~~ドン。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。ヒュ~~~~~ドン。パチパチパチパチ。パチパチパチパチ。
遂に、フィナーレを迎えてしまった。
「終わったですの」
「ホ、本当ね。#一寸__ちょっと__#寂しいわね」
「そんなの又こればいいんだぞ! 皆で!!」
「そうだよー」
アーティナが儚く感じてると、アミリも哀愁が感じ取れるような顔で。
その嫌な雰囲気を、ヒョウガが前向きの事を言って励ます。サラもヒョウガと同じことを思っているらしい。
「そう、ですのね。それが良いですの」
「ヒョウガの言う通りだよ。前向き、前向き!」
「そ、そうね。去年までとは、花火が違ってたわね。楽しかったわ!」
「ああ、俺も楽しかったぞ! 皆同じみたいだな」
ヒョウガの言う通り、皆も楽しそうだ。
「そんじゃあ、この後何処行くんだ?」
ヒョウガが聞くと、
「私は帰るね」
「私も帰ります」
「ウチも帰るー」
カナミ、ミューフィ、サラは、帰るらしく。
「んじゃあな」
「またね!」
「お休みなさいです」
「またなー。後、お休みー」
「じゃ、じゃあね。三人共」
「カナミ達、サヨナラですの」
カナミ達にお別れをするヒョウガ達。
#因__ちなみ__#に、ヒョウガ達も帰るのだが、方向が違う。
「もうこんな時間だぞ!」
彼が時計を見ると、午後九時十一分を指していた。
「家まで送ってやるぞ」
「べ、別に良いわよ。帰れるんだから」
「アミリの言う通りですの。お構いなくですの」
「こんな真っ暗だと危ないぞ! 護衛として付いて行ってやるぞ!」
今歩いてるのは、帰り道。
そして、最初の道に出ると、そこから四、五十分歩くと。そこに現れたのは、アミリの家。
「ま、またね。それと、お休みなさいよ!」
「んじゃあな、アミリ。お休み!」
「またねですの。それとお休みなさいですの」
アミリは、ヒョウガとアーティナにお別れを言うと、家の中に入って行く。
「そう言えば、初めてですのね。二人きりになるの」
「ん……!? そう言えばそうだぞ!」
何時もだと、色々邪魔とか、何かが入って二人きりになることは先ずない。
「なあ! アーティナ」
「何ですの?」
ヒョウガが突如話を振ってきたから、聞き返す。
「そう言えばだけど、卒業後はどうするつもりなんだ?」
「突然ですの!? そうですのね。就職するですの」
「そうか! 具体的にはどんな仕事をするつもりなんだ?」
「そうですのね。この機会だから教えるですの。お母さんの仕事を手伝うですの。と言っても、何時か自立して、一人で仕事するですのよ。最終的には有名な、ファッションデザイナーを目指すですの」
「ん……!? 良い夢じゃないか! それが叶いと良いな。もし叶ったら、俺の服を最初に作ってもらうぞ! 勿論応援すする」
「そうです!? それは嬉しいですの。勿論いいですの。有難う」
ーーーアミリが、この人を好きになるのも分かるかもですの。顔は、恰好良いですし、勉強もすごく出来て、料理も上手。それにとても優しい。噂とは全然違って、真面目ですの。まあ、アタシの好みではないですの
アミリが、彼に好意を寄せるのも分からなくもないと、アーティナは感じる。
――アーティナの将来の夢は凄いぞ。其の為にアシスタントからする何てな。尊敬するぞ!
と、ヒョウガは思う。
それからも少し歩いてると、急に足が止まった。何故 ならアーティナの家に到着したから。
「それでは、さようならですの。それと、お休みですの」
「んじゃあな! 後、お休み!」
アーティナは言い終えると、門の中に入って行った。 そして、その儘家の中に入って行く。
ヒョウガも、自分の家の方へと帰っていった。
こうして、夏祭りの日は終わりを迎え、同じく夏休みも終わりを向かえた。




