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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
2章 怨みの象
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29話 浴衣選び

3章はこれにて巻く引きとなります。

次の日の午後。アミリの家でのこと。



「アミリの部屋って、思った通り可愛いですの! それに散らかって無いですの」



「そ、そう? ありがとうよ。じゃあ浴衣取って来るわね」



アミリの部屋は、白がベースであって、カフェ風の小物が幾つもあって、程よい甘さ。



部屋を出たアミリは、母の部屋に向い。



「お、お母さん、浴衣」



「分かったわよ。サイズはどれ位?」



「エ、Sよ」



「分かったわ。確かここに…あったわ、ホイ」



―――へ、部屋に入って来た私に、お母さんは、浴衣を四つ投げる掛け声して、普通に渡してきたわよ



それを持つと、アミリは自分の部屋に戻って行く。



持って来たのは、赤とピンクの花柄の浴衣、紫、黄色、水色の花柄の浴衣で。


             


他の二つは、市松ウサギ柄と牡丹ボタン色の柄だ。



「ま、待たせたわね。持って来たわよ」



「良いですのよ」



クッションに座って寛いでいたアーティナが、声を掛けて来た。



「それじゃあ、これから来てみるですの!」



そう言って手に取ったのは、市松ウサギ柄の浴衣で。



そして、着てる服とか、ズボンを脱いで浴衣に簡単に着替える。


服の下は、暑いので何も来ていない。



「どうですの?」



「に、似合ってるわよ。カワイイ」



鏡の方へ誘導して、鏡で自分を映させる。



「本当ですの! 次はこっちを着てみるですの」



選んだのは、赤とピンクの花柄の浴衣。



今着てたのを脱いで、赤とピンクの花柄の浴衣に着替え。



「シ、シンプルだけどいいわよ。私はそう言うの似合わないけどね」



「そうは思わないですの。アミリだってきっと似合うですの」



「そ、そうかしら。仕様がないから来てあげるわよ!」



アミリが、アーティナの今着ている浴衣の感想を言うと、自分は似合わないとはっきりと言う。


にも拘らず、アーティナはアミリも似合うと言ってくる。


なので、アミリは今着ている服と、スカートを脱いで浴衣に着替えた。


アミリの方も、服の下は暑いから何も来ていない。



「ほら、思った通りに合うですの!」



「ホ、本当ね。似合ってるわ⁉」



「ヒョウガも、これを見たらキュンてなるですの」



「きゅ、キュンてなるの。それは良いわね」



アーティナが来ていた浴衣を、来たアミリを見てそう言い放つ。



ーーホ、本当になるかしら、ヒョウガ先輩がキュンなんて、試さぬ価値は無いわね



「で、でも、こっちの浴衣も良いわよ」



そう言うと、着ていた浴衣を脱ぐ。


次に、牡丹(ボタン)色の金魚柄の浴衣を試しに着る。



「こ、こっちも良いと思うんだけど、私的には、でもこれじゃあ振りむかないかしら」



「アタシも良いと思うですの。ヒョウガなら、振り向くですの。きっと」



それから二人が迷う事数分。



「この紫色の花と黄色、水色の花柄のにするですの」



「わ、私は、牡丹色の金魚柄の浴衣ににするわ」



 二人とも浴衣が決まった。

決まったこともあり、先着てた浴衣は脱いで、着てきた服に着替え始める。



アーティナは、借りた浴衣を綺麗に持ってきた鞄にしまうと、帰り支度をしーー。


「アタシはそろそろお暇させて頂くですの」


「い、良い浴衣見付かって良かった」


「貸してくれてありがとですの。アミリもあの浴衣ならヒョウガを落とせるですの」


帰ることを伝えてそこで今日の事のお礼も言う。


ーーそ、そうだと良いな


確証のないこと言うアーティナに、そう思う。


「では、今度こそアタシは帰るんですの」


「ま、また明日」


今度の今度こそアーティナはアミリの家を後にした。


「楽しそうね、アミリ」


「うん、凄く楽しいわ。お母さん」


楽しようにしているアミリに、母はそう言った。


暫くしてガチャっとドアノブを捻る音がしーー。


「只今」


父親が帰宅したようだ。


「お帰りなさい」


「おかえり」


居間の方へ遣ってきた父に母と娘はお帰りを言う。


「お、楽しそうだな、アミリ」


満面な笑みの娘に声を掛けると。


「明日は友達と夏祭りだから」


「それだけじゃないわよね。好きな人と進展したいんでしょ」


好きな人と言う言葉に、父はピクリと眉毛を動かす。


「止めてよ、お母さん。進展なんて無いわよ、きっと」


「分からないって。こういうイベントは恋に進展し易いらしいから。だからファイト」


「何だ、好きな人がいるのか、アミリ」


急にネガティブになった娘に、エールを送る母。


置いてきぼりの父だがその事だけは伝わったらしい。


「そうらしいのよ。前に仲良くしてくれた先輩らしいのよ」


「そうか。なら安心できるか」


安心できる顔をして無いようだが、一先ずしたことにするようだ。


「それはさておき、ご飯に知る? それともお風呂?」


「それじゃあ、お風呂にする」


そう言ってお風呂へ入りに行く。


髪と体を洗い終わり湯船に浸かりながら。


「そうか。あんな小さかったアミリが一人前に恋をするようになったのか…親としては寂しいな」


娘の前では言えないが、これが本音らしく。


「そした直ぐに親離れするんだろうか」


悲しい表情を浮かべるも、


「アミリが幸せになるならそれが一番なんだろう」


最後には娘の幸せを願い涙を流す。


父が長湯から出ると、暫くして食事を済ませベッドに入り眠りにつく。


そうしてお祭り前の前哨戦は終わりを迎えた。

次回より〈交武祭典〉《アルージェフェート》篇開幕!!


投稿スピード落ちますが、その分面白い章になっています。

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