27話 メイドの闇
それからヒョウガ達は、ルエルの方へと駆け寄りーー、
「ルエル、目を覚ますですの」
一番先に駆け寄ったアーティナは、ルエルの体を上下左右に思いっ切り揺すと。
「はああ、アーティナお嬢様…」
「戻って来たですの」
「ルエルさん、聞かせてください。俺達も見た人間の骸骨とリューナについて」
「・・・・・・畏まりました。アリマ様」
問い質してくるヒョウガへ、少し間を空けて話し始めーー
「あの骸骨は、前にモミナ家で働いていたメイドのセリア。そして私が手に掛けました」
それを聞いていたメンバーの中で、アーティナが特に驚く。
骨の身元を明かすルエルは、#淡白__あっさり__#と自供し始め―――。
そして続きを話し始めて、
「四年半前の事です」
「四年半前って言ったら前の料理長が亡くなったタイミングですの」
丁度この頃、元料理長が`事故´で亡くなっていた。
「 その通りです。その時はまだ私がメイド長になる前。セリアは後輩メイドの中ではとても出来るメイドでした。悪い関係ではありませんでした」
哀しい顔立ちで、語り始め―――。
「以前からこっそり前の料理長と恋仲になっていました。その事に気付いたセリアは『近い内にでも、料理長を貰う』と仰っておりました」
気に食わなかったのか、セリアはルエルから料理長を奪おうとしていた。
料理長に言い寄ったセリアだったがきっぱりと断られ、邪魔をするなと忠告されてしまい。
「そんなことが有ったんですの!?」
「それから少し経って事故が起こりました。事故が起きて漸くして、それが事故じゃないと気付きました」
お風呂で居眠りした結果溺死したとのことだったがーー
「本当はあのセリアに睡眠薬で眠らされて起きた事件でした。弔いの儀の時、あいつは笑っていました。問い詰めると淡白と認め『腹いせに殺ったと。いくら言い寄っても駄目だからだら。良い気味ね』と」
死の真相を知ったルエルの中には、どす黒い感情が表れていてーー
「話があると翌日の夜中に呼び出して、睡眠薬入りの珈琲を飲ませた後首を絞めて殺しました。それから洞窟の奥に遺棄したと言うことです」
―――前の料理長が殺された事を知ると、アーティナが心底驚く。
それからルエルは、動機についても話し出す。
「成る程。そうだったんですのね。とんでもない人だったんですの。でも、殺めたら駄目ですの。それに他に良い方法があったと思うですの」
「そ、そうですよ。ただの自己満足だすよ」
「そんなの思い付きません。愛した人を殺された気持ち等分かりようがないんでしょう?」
――た、確かに愛した人を殺された気持ちなんて分からないわよ。まだ生きてるんだから
ルエルの発言に言い返せない。
「確かに愛してる人が居ないから分からないですの。けど、誰かに相談していれば少しは変わられちかもですのよ」
「そんなこと思い付きませんでした」
アーティナも分かり会うことは出来ない。
けども方法を示した。
「例えばカレロさんとか」
「お呼びしょうかな? アーティナお嬢様」
「ええ、どうしてここが分かったんですの!?」
名前に反応したカレロが何故かお花畑に登場した。
「皆様のお姿がお見えにならなかったもんですからな。こそこそ話していたことと何か関係あるのかと」
「凄いな」
ヒョウガが驚く。
「バ、バレてましたね」
何かしらの作戦を立てていたことが、筒抜けなようだ。
「済みません。カレロさん。何の相談もなしに…」
「此方こそ気付いて上げられず申し訳ないですな」
謝るルエルに、気付けずにいたカレロは詫びる
「気付いてあげられていればこうはならなかった」
後悔を口にしたカレロ。
「それで何時出会ったんですか? 猟魔と」
気掛りだったことを、ヒョウガはもう一つ聞くと。
「それはですね。四週間前です。最初に会ったときは、悪魔だったからびっくりしました。でも、悪い事をしてくる処か、話を聞いてくれました。それで、とても話が分かってくれる奴でした」
最初は驚いたと言うフォーカムも、危害を加えないと知り、段々と打ち解けていったのだと分った。
―十悪にも人の心が理解できる奴がいるんだな。
と、ヒョウガは思っている。
「今日中にでも、警備隊の所に行きます」
「その前の最後の仕事がありましょう」
「ええ、それを終わらせてから」
そう言う事で、皆で別荘へと戻って行く。




