表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
2章 怨みの象
33/152

番外編4 お花畑でピクニック

それなので、分岐地点に急ぎ足で戻って行く

目的の場所に着いた頃には、カナミ達がしゃがみ込んでいた。

恐らくだが、待ち草臥(くたび)れたのであろう。

 

 「もう遅いよ。今までどこに行ってたの? 凄く心配したんだからね。どういう気持ちでいたか分かってる? サラちゃんなんて、事件だって騒いでいたんだからね」


 「悪いな。どういう気持ちだったかは分かるぞ。一寸、先まであった洞窟を探索していたんだぞ!」


「先まであった、洞窟?」


 カナミがそう叱ると、心配したと伝えた。ヒョウガが謝ってから事情を端的に伝えて。理由に出てきた言葉のその箇所に疑問を抱く。


 「ああ、今は色々あって崩壊したんだ。原形を留めて無いんだぞ」


「そうなんだ」


 ヒョウガの説明に、成程と納得するカナミ。


 「お腹空いたので、お花畑に行きましょう」


 「わ、私達もお腹空いたわよ。それより何処にあるのよ。お花畑って?」


 「それなら、ウチが教えてあげる」


 ミューフィがお腹ペコペコの様子で言うと、アミリもお腹が空いてると訴え。

彼女がそう聞き返すと、サラが胸を張って教えると言う。


 そしてサラが先導して後に続いて、アミリ達が付いて行く。

 歩いてると、岩場道が現れて、そこを登るとお花の匂いがしてきた。


 ―――い、良い匂いね。落着くわね。


 と、アミリが匂いを嗅いで感じており。


「お花が奇麗ですの」


「そ、そうね」


 「ああ、色々な花が咲いてるぞ!」


 「そんな事よりも、お昼ご飯を食べましょう」


 「それでは、お昼御飯にしようですの」


 アーティナが、お弁当を幾つもリュックサックから取り出して、敷物の上に置く。

 全てのお弁当箱を蓋だけ空けて、手を合わせる。


「んじゃあ、戴くぞ」


[[戴きます]]


「い、戴くわよ」


「戴くですの」


「戴くよー」


 食事の挨拶を、一面がお花に囲まれた空間ですらやる。


 ヒョウガとアミリが、最初に手を突けたのはお握り。


 「美味しいぞ! 中身は梅干しだったぞ」


 「ホ、本当ね。美味しいわよ。私の中身は、チーズ揚げよ」


「どれどれ!」


 と言ったカナミは、お握りの入ったお弁当箱に手を入れた。

そして、二つのお握りを手に取って行く。


 「何かな。パクッ‥‥。ん……紫蘇しそみたい。美味しいね。こっちは何だろう。パクッ‥‥ん……!?ツナコーンみたい」


 とても美味しそうな、顔をして食べるカナミ。


このポテトフライ美味しいですの」


「おお!! 凄く美味しいぞ」


 「こ、こっちの唐揚げ、胡椒が効いてて美味しいわよ」


 「本当です。辛さが後味を挽いて、凄く美味しいです」


「お~、美味しいな」


 他の子達も、凄く美味しそうな顔をして食べる。


 「ねえねえ、その箱には何が入ってるの?」


「カナミ。その弁当箱の中身は、デザートですの」


「デ、デザートもあるのね」


デザートの存在を知ったカナミ、アミリ、他の子達の食べるスピードは、一気に上がる。


「そんな急いで食うと、早死にするとて聞いた事あるぞ!」


「そ、それ聞いた事あるわよ。だから分かったわよ」


 ヒョウガの忠告を受けたアミリは、それを鵜呑(うの)みにしてーー。


 ーーー俺以外は、気付くと、お腹一杯の様だ。


「ふうー。もう食べられない」


「わ、私は食べられない訳じゃ無いんだからね。でも、デザートの為に残してるんだから」


「アタシもですの」


「ウチももう駄目」


 「ワタシももう食べられません」


 「それじゃあ、後は俺が残らないように食ってやるぞ」


 カナミ達が次々とギブアップしていき、残りをヒョウガが受け持つ。


 「はあ、もう食えんぞ。ご馳走様」


 「もうデザートはいらないですの?」


「そ、そうよ。要らない訳?」


「ああ、もういいぞ!」


 ヒョウガの御馳走様を聞いて、アーティナとアミリがデザートの事を聞く。

 その言葉を聞いて、要らないとキッパリと言う。


 アーティナが、デザートの入った箱を空け。

 中に入っていたのは、プリンとゼリー。


 「私は、葡萄(ブドウ)ゼリーにしよう」


 「わ、私はチーズケーキプリンにするわよ」


 「アタシは、#蜜柑みかんプリンにするですの」


 「ワタシはマンゴーゼリーにします」


 「ウチは残った、ブルーベリープリンだぜー」


 カナミ、アミリ、アーティナ、ミューフィ、サラの順番に取って行く。


「ん‥…美味しい」


「こ、こっちも美味しいわよ」


 カナミが良い顔をして食べていると、アミリも負けじととてもいい顔をして食べて。


 他の子達も、とても美味しそうなものを食べる、良い顔をしている。


 「そんな美味しそうな顔されると、俺も食べたくなってくるぞ!」


 それだけ呟くと、ヒョウガは残った一個であるベリーゼリーを手に取り。


 「やっぱりヒョウガも食べるんだ」


 「ホ、本当ね。まあ別に食べても何も無いんだからね」


「別腹だぞ、別腹」


 「男性の方も、別腹が有るんですね」


 ヒョウガの食べようとしてる所を見た、カナミとアミリがそう言ってきた。それに対してヒョウガは、別腹だとかで大丈夫と言った。ミューフィは別腹が有ると言うのに驚く。


――まあ良いぞ。


 と、ヒョウガは思い。そして、プリンにスプーンを入れて、(すく)い上げて食べ始め。


「ん……!? 美味しいぞ!」


 「それはそうですの。これは、最上級スイーツ店のですもの」


 「そうだったんだ。やけに美味し過ぎる訳だね」


 「ああ、そうだな。こんな美味いの食ったこと無いぞ!」


 ヒョウガが褒めると、無い胸を張って自信満々に言う。


 中身が空になると、ゴミを弁当箱に片づけて、他の空の弁当箱も片づけた。敷物も、リュックサックに仕舞い、水筒も其々鞄に入れた。これで去る準備が完了。


 「それじゃあ、これからどうするんだ?」


「もう疲れたですの」


 「アーティナがそう言ってるぞ。どうする?」


 ヒョウガが、アーティナの言ったことを耳に入れて、他の子達にどうしたいか聞いた。すると、


 「む、無理すると筋肉痛になるわよ! だから戻ってあげても良いわよ」


 「ワタシもアミリの意見に賛成です」


「私もそれでいいよ」


「ウチも、ウチも」


 筋肉痛になるのを、少しでも避けようとしてアミリが言うと、それに賛同するようにミューフィ、カナミ、サラが言葉を放つ。


      帰る道中でのこと。


 「今更先の話しに戻るんだけどさ!」


「ん……!? 先の話しって?」


 「洞窟の話しの事。何で洞窟を壊したのかなって。今更だけど」


 「んや、洞窟壊したの、俺たちじゃ無いぞ」


 カナミが急に、先の事を振り出してきた。何だと返すと、その話題を持ち掛けてきた。それも有らぬ理濡れ衣を着せられてしまい。


 そんなことした覚えは無いと、きっぱりと違うと断言し。


 すると、カナミに「えっ!?」と本気で驚く。


「じゃあ、誰がやったの?」


 「ああ、ずっと前にライディスが洗脳されて、襲撃して来たことあっただろ。そん時連れてた、悪魔が居ただろ。そいつの下部みたいな奴に遣られたのが、あの洞窟がああなった理由だぞ」


 「そ、そうよ。危機一髪だったんだからね」


 「でも可笑しいですの。何でアタシ達がハイキングに来てると分かったのかですの?」


 カナミが聞くと、ヒョウガが経緯を話す。アミリも、危なかった事を身振り手振りで伝える。

 アーティナは、なぜ自分たちがハイキングを、それもあんな所に行ったって分ったのかを疑問に思い。


 「もしかして、モミナ家の別荘の人の中に、情報提供者。それか、仲間が居るんじゃない。あの時全員聞いてたし」


「何の為ですの?」


 「ん……!?  ああ、元学園長見たいな感じだったら有得るぞ!」


 カナミの推測、アーティナがそう聞き返すと、ヒョウガが有り得る可能性を口に出す。


「話してる内に着きました」


 「お帰りなさい。アーティナお嬢様。お友達の皆様」


 彼らがモミナ家の別荘に辿り着くと、ルエルさんが出迎えられた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ