番外編4 お花畑でピクニック
それなので、分岐地点に急ぎ足で戻って行く
目的の場所に着いた頃には、カナミ達がしゃがみ込んでいた。
恐らくだが、待ち草臥れたのであろう。
「もう遅いよ。今までどこに行ってたの? 凄く心配したんだからね。どういう気持ちでいたか分かってる? サラちゃんなんて、事件だって騒いでいたんだからね」
「悪いな。どういう気持ちだったかは分かるぞ。一寸、先まであった洞窟を探索していたんだぞ!」
「先まであった、洞窟?」
カナミがそう叱ると、心配したと伝えた。ヒョウガが謝ってから事情を端的に伝えて。理由に出てきた言葉のその箇所に疑問を抱く。
「ああ、今は色々あって崩壊したんだ。原形を留めて無いんだぞ」
「そうなんだ」
ヒョウガの説明に、成程と納得するカナミ。
「お腹空いたので、お花畑に行きましょう」
「わ、私達もお腹空いたわよ。それより何処にあるのよ。お花畑って?」
「それなら、ウチが教えてあげる」
ミューフィがお腹ペコペコの様子で言うと、アミリもお腹が空いてると訴え。
彼女がそう聞き返すと、サラが胸を張って教えると言う。
そしてサラが先導して後に続いて、アミリ達が付いて行く。
歩いてると、岩場道が現れて、そこを登るとお花の匂いがしてきた。
―――い、良い匂いね。落着くわね。
と、アミリが匂いを嗅いで感じており。
「お花が奇麗ですの」
「そ、そうね」
「ああ、色々な花が咲いてるぞ!」
「そんな事よりも、お昼ご飯を食べましょう」
「それでは、お昼御飯にしようですの」
アーティナが、お弁当を幾つもリュックサックから取り出して、敷物の上に置く。
全てのお弁当箱を蓋だけ空けて、手を合わせる。
「んじゃあ、戴くぞ」
[[戴きます]]
「い、戴くわよ」
「戴くですの」
「戴くよー」
食事の挨拶を、一面がお花に囲まれた空間ですらやる。
ヒョウガとアミリが、最初に手を突けたのはお握り。
「美味しいぞ! 中身は梅干しだったぞ」
「ホ、本当ね。美味しいわよ。私の中身は、チーズ揚げよ」
「どれどれ!」
と言ったカナミは、お握りの入ったお弁当箱に手を入れた。
そして、二つのお握りを手に取って行く。
「何かな。パクッ‥‥。ん……紫蘇みたい。美味しいね。こっちは何だろう。パクッ‥‥ん……!?ツナコーンみたい」
とても美味しそうな、顔をして食べるカナミ。
このポテトフライ美味しいですの」
「おお!! 凄く美味しいぞ」
「こ、こっちの唐揚げ、胡椒が効いてて美味しいわよ」
「本当です。辛さが後味を挽いて、凄く美味しいです」
「お~、美味しいな」
他の子達も、凄く美味しそうな顔をして食べる。
「ねえねえ、その箱には何が入ってるの?」
「カナミ。その弁当箱の中身は、デザートですの」
「デ、デザートもあるのね」
デザートの存在を知ったカナミ、アミリ、他の子達の食べるスピードは、一気に上がる。
「そんな急いで食うと、早死にするとて聞いた事あるぞ!」
「そ、それ聞いた事あるわよ。だから分かったわよ」
ヒョウガの忠告を受けたアミリは、それを鵜呑みにしてーー。
ーーー俺以外は、気付くと、お腹一杯の様だ。
「ふうー。もう食べられない」
「わ、私は食べられない訳じゃ無いんだからね。でも、デザートの為に残してるんだから」
「アタシもですの」
「ウチももう駄目」
「ワタシももう食べられません」
「それじゃあ、後は俺が残らないように食ってやるぞ」
カナミ達が次々とギブアップしていき、残りをヒョウガが受け持つ。
「はあ、もう食えんぞ。ご馳走様」
「もうデザートはいらないですの?」
「そ、そうよ。要らない訳?」
「ああ、もういいぞ!」
ヒョウガの御馳走様を聞いて、アーティナとアミリがデザートの事を聞く。
その言葉を聞いて、要らないとキッパリと言う。
アーティナが、デザートの入った箱を空け。
中に入っていたのは、プリンとゼリー。
「私は、葡萄ゼリーにしよう」
「わ、私はチーズケーキプリンにするわよ」
「アタシは、#蜜柑プリンにするですの」
「ワタシはマンゴーゼリーにします」
「ウチは残った、ブルーベリープリンだぜー」
カナミ、アミリ、アーティナ、ミューフィ、サラの順番に取って行く。
「ん‥…美味しい」
「こ、こっちも美味しいわよ」
カナミが良い顔をして食べていると、アミリも負けじととてもいい顔をして食べて。
他の子達も、とても美味しそうなものを食べる、良い顔をしている。
「そんな美味しそうな顔されると、俺も食べたくなってくるぞ!」
それだけ呟くと、ヒョウガは残った一個であるベリーゼリーを手に取り。
「やっぱりヒョウガも食べるんだ」
「ホ、本当ね。まあ別に食べても何も無いんだからね」
「別腹だぞ、別腹」
「男性の方も、別腹が有るんですね」
ヒョウガの食べようとしてる所を見た、カナミとアミリがそう言ってきた。それに対してヒョウガは、別腹だとかで大丈夫と言った。ミューフィは別腹が有ると言うのに驚く。
――まあ良いぞ。
と、ヒョウガは思い。そして、プリンにスプーンを入れて、掬い上げて食べ始め。
「ん……!? 美味しいぞ!」
「それはそうですの。これは、最上級スイーツ店のですもの」
「そうだったんだ。やけに美味し過ぎる訳だね」
「ああ、そうだな。こんな美味いの食ったこと無いぞ!」
ヒョウガが褒めると、無い胸を張って自信満々に言う。
中身が空になると、ゴミを弁当箱に片づけて、他の空の弁当箱も片づけた。敷物も、リュックサックに仕舞い、水筒も其々鞄に入れた。これで去る準備が完了。
「それじゃあ、これからどうするんだ?」
「もう疲れたですの」
「アーティナがそう言ってるぞ。どうする?」
ヒョウガが、アーティナの言ったことを耳に入れて、他の子達にどうしたいか聞いた。すると、
「む、無理すると筋肉痛になるわよ! だから戻ってあげても良いわよ」
「ワタシもアミリの意見に賛成です」
「私もそれでいいよ」
「ウチも、ウチも」
筋肉痛になるのを、少しでも避けようとしてアミリが言うと、それに賛同するようにミューフィ、カナミ、サラが言葉を放つ。
帰る道中でのこと。
「今更先の話しに戻るんだけどさ!」
「ん……!? 先の話しって?」
「洞窟の話しの事。何で洞窟を壊したのかなって。今更だけど」
「んや、洞窟壊したの、俺たちじゃ無いぞ」
カナミが急に、先の事を振り出してきた。何だと返すと、その話題を持ち掛けてきた。それも有らぬ理濡れ衣を着せられてしまい。
そんなことした覚えは無いと、きっぱりと違うと断言し。
すると、カナミに「えっ!?」と本気で驚く。
「じゃあ、誰がやったの?」
「ああ、ずっと前にライディスが洗脳されて、襲撃して来たことあっただろ。そん時連れてた、悪魔が居ただろ。そいつの下部みたいな奴に遣られたのが、あの洞窟がああなった理由だぞ」
「そ、そうよ。危機一髪だったんだからね」
「でも可笑しいですの。何でアタシ達がハイキングに来てると分かったのかですの?」
カナミが聞くと、ヒョウガが経緯を話す。アミリも、危なかった事を身振り手振りで伝える。
アーティナは、なぜ自分たちがハイキングを、それもあんな所に行ったって分ったのかを疑問に思い。
「もしかして、モミナ家の別荘の人の中に、情報提供者。それか、仲間が居るんじゃない。あの時全員聞いてたし」
「何の為ですの?」
「ん……!? ああ、元学園長見たいな感じだったら有得るぞ!」
カナミの推測、アーティナがそう聞き返すと、ヒョウガが有り得る可能性を口に出す。
「話してる内に着きました」
「お帰りなさい。アーティナお嬢様。お友達の皆様」
彼らがモミナ家の別荘に辿り着くと、ルエルさんが出迎えられた。




