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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
2章 怨みの象
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23話 幽霊の正体は誰だ

次の日、朝食を済ませて、歯磨きも終え、居間でお話ししている。


 先ず話しに上がったのは、アミリがヒョウガと寝たことについて。


 それが挙げられた理由は、カナミが起きた時に隣で寝ていたアミリが姿を消していたから。


 「そ、それは・・・その・・・え~と…」


 あったことを思い出して、羞恥からか頬っぺたが桜色に染まっていく。


「な、何でも無いわよ!」


 「何でもないこと無いですの! だって、一緒に寝てたんですのよ! 同じベッドで」


 「そ、それならヒミツですよ。 秘密。だから言わないですから」


 「アーティナさんも分かったよね!」


 「勿論ですの! さては、一緒に寝るほどの関係になっていたんですの」


 アミリが、最初と違う秘密と言う言葉に置き換えた事で、カナミが察しアーティナに伝え。彼女の方も理解していた。


 「い、言っとくけどそう言う関係にもなって無いし、何も無かったんだからね」


「怪しいですね」


「ミュ、ミューフィまで・・・」


 目線を反らして答えるアミリに、ミューフィも疑いの目を向け。


 「ま、良い感じなら良いけどね!」


「そうですのね」


「そうだよー」


「ワタシもそう思います」


 「も、もうそう言う事で良いですよ」


 四人共嬉しそうにそう言うで、アミリも肯定する。


 それを余所にヒョウガは、ボーっとしており。


 「それは良いとしてさ! ヒョウガ先輩もしっかりして下さいよー。 昨日の夜中に出たんですよー。幽霊が!」


「ゆ、幽霊。そんなの居る訳…」


 話しを変えてきたアキラの発言に、無いと言いかけたアミリは、有る事を思い出す。


 「ヒョ、ヒョウガ先輩の部屋で寝てる時に、目が覚めてカーテンを覗いたらいたのよ。別に怖かった訳じゃ無いんだけど、念のために布団に隠れたんだから」


 「そんで、どんな幽霊だったんだ?」


 「わ、私が見たのは、火の玉で青い。それと、男の人の幽霊よ。も思い出しただけで怖くなってきたわよ」


「ウチもそれを見たー」


 アミリの言う幽霊と、アキラの目撃した幽霊がほぼ確立的に同一と判明。


 「そいつが、幽霊じゃないかもしれないぞ! 昨日、俺達を襲わせた下部の親玉が来たのかもしれないぞ」


 「じゃあ、やっぱりこのっ別荘にいる誰かですの?」


 「ヒントはあるぞ! 男の幽霊ってところだぞ」


 「てことは、アーティナのお父さん、執事さんたちとカレロさん、料理長さん、料理長の四番弟子のフォーカムさんだよね」


 幽霊ではないのではと、昨日の事から考えてそう思ってると、カナミがこの別荘に居る人を一人一人思い浮かべてる。ヒントが有ると、ヒョウガが言うと、カナミがここに居る男性陣の名前を言う。


 「恐らく、何らかの罠を仕掛けないと来ないぞ」


「罠かー。落とし穴とか」


 「却下だ。在り来りだから。それに、そんなもん簡単に回避されるぞ」


 「ねえねえ、こんなのどう? 相手の大好物で引き付けて、油断している内に捕獲するって」


 罠が無いと始まらないと言うヒョウガに、アキラとカナミが案を出す。


 「良い案だぞ。何か悪魔の大好物ってチョコレートらしい」


 「そうなんですのね」


ーーーらしいって誰から聞いたんですの?


と言う疑問を、アーティナは抱いた。


「それは良いアイディアだね。本当に効くかは試してみないと分からないけど」


ヒョウガの提案に、賛成なようだ。


「チョコレートなら冷蔵庫に入ってるんですの」


「それを使わせて貰おう」


「良いですの」


淡白と許可が下り…


「そ、そのチョコレートに仕掛けした方が良いわね」


「確かにそうだね」


「その仕掛けも今から作ろうですの」


ただのチョコレートでは意味がなく、当然工夫が必要であろう。

その工夫を提案され、断わる者はいなかった。


「それと、全員で行くと怪しまれるぞ」


「アタシは残るですの」


「ワタシもです」


「ウチも残るー」


 全員一緒には行けないと言うと、アーティナ、ミューフィ、アキラが残ると自分達から言う。


 「そんじゃあ、俺たちは仕掛けてくるから、後は頼みますね!」


「分かったですの」


 ヒョウガが、ここは任せると言って、アーティナがOKをした。そして行動に移そうとする前に。


「あの、ヒョウガ先輩」


 「ん……!? 何だミューフィ?」


 「これは効果が有るので持って行ってくっださい」


 「ああ、分かった。貰っていくな」


 ミューフィが呼び掛けると、振り返って応じた。そこでミューフィからあるものを手渡す。


「それじゃあ行って来る」


「い、行ってくるわね」


「行ってくるね」


「行ってらっしゃい」


あるものを持って別荘を出た。


 ヒョウガ達が向かったのは、お花畑だ。


 「ミューフィちゃんから何貰ったの」


「これだぞ!」


 と言って見せて来た、魔物に効果的な雲が作れる装置だ。


「ど、何処に仕掛けるのよ」


 「ここなんてどうだ! 見付らなさそうだぞ」


 「そうだね。ここなら大丈夫そうだね」


 (つた)だらけの所の隙間に設置。


「そ、それにしても凄いわね。どんな暑さにも溶けないチョコって」


「ああ、確かにな」

 

「そ、それにこの冷たさがずっと続くって事よね」


本来であれば溶けないチョコなど技術的に難しい。

それを作ることの出来るアーティナの父親は、只者ではない。


「悪魔は甘い物が好きらしいからこれには引っ掛かるはず。悪魔だけとは限らないけどな」


「よ、良くそんなこと知ってるわね。何処で知ったのよ?」


あまりに詳しい為、訝しまれてしまう。


「先生が教えてくれたんだ」


ーーー流石に言えない。天使が教えてくれたなんて。てか、先生もそんなこと知るわけ無いよな


誤魔化しにしてももっと何かあるであろう。

流石に信じてもらえないのではないか。


「な、成程ね。凄いわね。悪魔の事知ってるなんて」


疑うことなく、ヒョウガの事を信じてしまう。


「ヒョ、ヒョウガ先輩は幽霊の正体誰だと思ってるのよ」


「 俺達がハイキングに行くことを知ってた男性陣の誰かって所は分かってるんだけど」


現段階での予想をしていると、そこへカナミが戻ってきて…


「私はそうは思わないな。だってそうだよね、それが本物の幽霊か変装だったかも知れないわけだし」


「そうか。その線は考えてなかった。もしそれが事実だったとしたら」


ーーーもしかしたら幽霊の正体はあの人かもしれない


ヒョウガは幽霊の正体に気付く。


「この別荘にいる人誰も怪しく見えてくるね。女性も」


「そ、そうですね。ですが限られるかも」


「ああ、アミリの言う通りだ。もう薄々答えが見えてくるはずだ」


意味深なヒョウガの発言で「まさか···」と二人は気付く。


「推理はここまでにして、最終確認するぞ」



 そうして、予定通りに罠のチェックと、辺りを見渡して気付かれぬかどうか確認。


「よし、それじゃあ戻るぞ」


「そ、そうよね」


「そうだね。行こっか!」


 来た道を引き返そうと歩き出すと、アミリとカナミも後に続く。


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