22話 悪夢
二日目の午後は客間で遊んでいた。
遊んでる内に、時間を忘れて気が付くと、外は真っ暗になっている。
「皆様。ご夕食のお時間です」
カレロが呼びに来ると、全員で食卓に向う。
今日の夕食のメニューは、ディッシェのようだ。
――俺は辛口だ。
ヒョウガは辛口らしく、カナミ、アミリ、アーティナは中辛。ミューフィとアキラは、甘口をそれぞれ選んだ。
良い匂いに、お腹がリズミカルに鳴り響く。
「こ、このディッシェ、コクが効いていて美味しいです。家のよりも辛いです」
「俺の所のディッシェより美味しいぞ」
「本当。私の家のより辛いけど美味しい」
「ワタシの家のディッシェより本格的でとても美味しいです」
「何時も以上に腕を振るってるですの」
ディッシェの感想をそれぞれ言う。
そして皆が食べ終わると、フォーカムが全員の食器を下げ…
部屋へと戻って行く。
戻ってから、お風呂に入りに行った。それが済むと、歯磨きをし、洗面所に向う。
それが完になった。それから電気を切ったんだぞ!
そうして、ヒョウガは眠りに就く。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アミリの部屋
「すう~ふう・・・・・・んんう・・・・・・すう~」
アミリの健康的な寝息が聞こえてきた。
だが、夜中になると、
「うう~ふう・・・・・・ふう・・・・・・うう~」
アミリは、悪夢に魘されーーー。
「はあはあ、ゆ、夢!? カナミ先輩、ちょっと怖い夢見てしまって、一緒に寝てもらっても……」
「ぐう~ぐう~」
添い寝を頼もうとするも、ぐっすり眠ってるのを起こすのは、気が引けたのだろう。
―――あ、あんな怖い夢見たのに一人で寝れる訳無いじゃない。
と、恐い夢を見た所為で、一人で眠れなくなったアミリは、ある行動に出てーー。
◇ ◇ ◇ ◇
「すう~ふう・・・・・・んんう・・・・・・すう~」
トントンと、ヒョウガが居る部屋のドアをノックする音。
「ん……!? ああ~誰だこんな時間に‥‥」
「わ、私よ。悪夢を見たのよ」
「ん~分かった。入れよ、アミリ」
寝ていたのを起こされて、欠伸交じりに呼びかけると、名を名乗って理由を言う。
「まあ、もうこんな時間だからベットに来いよ。寝るぞ!」
ストレートに誘ってくるとアミリは、
「と、隣のベットで良いわよ。別に…」
「でも、悪夢に魘されてたんだろ。内容は聞かないでおいてやる」
それを聞いたアミリは、ヒョウガが何時もよりも優しい事で、瞳には涙がうかんてしまう。
「偶には泣いたって良いんだぞ。誰にも言わないでおいてやるからな。何か勘違いされるかもだぞ! だから存分に泣いて良いぞ!」
「グス、グス。あ…ありがとう。うぇーん。ぐす、ぐす。私は悪くないわよ」
「よしよし。アミリは悪くないぞ。どんな怖い夢か知らないけど、これだけは言うぞ! 俺がいるぞ。何かあったら何時でも言え。慰めてやるぞ!」
ヒョウガの目と鼻の先で、横になっていたアミリの頭を優しくなで、慰めの言葉を続ける。そして励す。
「ぐす、ぐす。う、うん。そうするわよ。だ、抱き締めて……」
―――って、な、何言ってるのよ私は。こんな状態だからって。
アミリは、自分で言った言葉で頬を赤らめてしまう。
「そんなことで良いのか。張ちゃんと泣き止めよ」
ギュッ、大きな体と腕で抱き締めた。少女の小さな体を。
「あ、ありがとう」
アミリにとってこれが一番効果的のようだ。
すっかり泣き疲れたアミリ。
「すう~・・・・・・す~う……す~……」
「寝たみたいだ」
余りにも近過ぎる為、寝息を間近で感じてしまう。
――瞳には、未だ涙が溜まっていた。その目をハンカチで拭いてあげた。
寝顔が安心したように穏やかな表情になっていく。
ーーーそして、ヒョウガもすぐに眠りに就いた。
時刻は深夜二時三十八分。
「はああ~トイレ、トイレ」
アキラがトイレのある方へと歩いてると、青い火の玉と、其れを連れる人影が窓から見えーー。
「火の玉!? 幽霊だー」
青い火の玉は、段々と近付いてきて、男の様な幽霊もこちらに続く。
恐さのあまり、トイレに逃げるように駆け込む。
「怖い物を見たなー」
暫く経ち、用を済ませ部屋へ戻る最中、様子を窺うと、
「あれ? 居なくなっている」
ーーー火の玉は疎か男の幽霊も姿が見えなくなっていった。
モミナ家の別荘二日目。この日幽霊が目撃された。




