21話 料理長の四番弟子
ヒョウガ達が別荘に着くと、ルエルが恐らく二十代後半の男性と話していたのであった。
「あら、お早いお戻りですね。アーティナお嬢様に、お友達の皆さん」
「隣の人って、弟さんですか? それとも彼氏?」
「どっちも違います。こちらの彼は、モミナ家の別荘で料理長の四番弟子のフォーカムさんです」
「フォーカムせや。宜しく! 皆さんの美味しい顔して貰える様に、師匠と一緒に精一杯のおもてなしするせや」
ルエルがフォーカムを紹介すると、フォーカムが一歩前に出て自己紹介をする。
「では、ここでせや。今から夕食の準備を師匠とするせや」
そう言い残して厨房の方へと消えて行く。
ヒョウガ達は、其々部屋に戻って夕食までの時間を過ごすことに。
ヒョウガは少し疲れたのか、ベットで横になっていた。すると、
「ヒョウガ君。凄く楽しいね~!」
「シナモンか。そう言えば途中から見当たらなかったが、何処行ってたんだ?」
「え~とねー。登山て奴かな~? この別荘の裏にある処を飛んでたんだ。綺麗なお花畑もあったんだよ」
「飛んでたんなら登山とは言わない気がするぞ。それはそれとして、そんな物が有ったのか!?」
シナモンは海に居る時からいなかったのだ。
その理由が、登山みたいなものをしていた話をされて頷く。
お花畑と言う乙女にとって魅力的な物が有るよう。
その後も行ってきた場所の色々な話をする。
そんなこんなで、辺りはすっかり真っ暗になっていた。
―――俺は、カーテンを締めから、もう一度横になったぞ。
ヒョウガが行動の説明をする。
そして何十分かすると、誰かが部屋の前に止まり扉をノックした。
「アリマ様。ご夕食のお時間でございます」
声の主に気付いた彼は、ドアの方に行き―――扉を開けると。
「お腹の空き具合はいかがですかね」
「とたも空いてます」
カレロは、廊下をある途中でそう尋ねて来る。
カナミ達の処にも、他の執事が呼びに来ていたよう。
「後は任せますよ。カレロさん」
そう一人の執事が言うと、
「分かりました。後はお任せください」
それを聞いて、他の執事が別の仕事をしに行く。
皆が揃うと食堂へと向かう。
―――矢張り立派な扉だな。
と、ヒョウガは思い。
扉を開けると、フォーカムと、師匠と思わしき人物が歓迎してくれた。
「アーティナお嬢様。お友達の皆様儂と四番弟子で真心こめて作ったので、美味しくお召し上がりくださる。では、儂と彼はこれで」
「ん・・・? 一緒に食わないんですか」
「その通りさる」
そう言うと、今度こそ出て行った。
「それじゃあ、戴きます」
「ああ。戴きます」
他の皆も食事の挨拶をして、食べ始めて。
「おお、超美味しいぞ!」
「本当ね。凄く美味しい」
「ホ、本当ね。このお肉凄く柔らかくて、ジューシーね」
他の人たちも同じようだ。
「このスープ美味しいです。何のスープです?」
「これは、アロエスープですの。生産業が少なくて貴重ですの」
「うん。美味しいな」
「ア、アロエスープなんて初めて飲んだわよ」
アロエスープの評判が高い。
他にも美味しい料理を食べて、お腹も満腹になる。
なのでご馳走様をし、部屋に戻って行く。
部屋に着くと、ヒョウガはお風呂の準備をした。
——俺は風呂に入りに行った。
ニ十五、六分ぐらいしてから戻ってくる。
寝支度をすると、ヒョウガはカナミ達の所に向う。
「来た、来た。ヒョウガ何しして遊ぶ?」
「んや、今日は眠いから寝るわ! そんじゃまた明日な。お休み」
「あ、うん。お休み」
「お、お休みなさい!」
ヒョウガがカナミアチの部屋に行くと、遊びに来ていた、アーティナ、サラ、ミューフィ。
―――遊びに誘って来るカナミに、ヒョウガは眠いからと言う理由で誘いを断って。
それからお休みの挨拶をした俺は、部屋へと戻って行く。
部屋に戻ったヒョウガは、其の儘ベットに入る。
シナモンが、ヒョウガの布団に潜り込んできた。そして隣で横になった。
「んじゃあ、寝るぞ!」
「うん。お休みだね」
お休みを言うと明かりを消す。
そして、モミナ家の別荘初日は何事も無く終わる。




