2話 幼馴染み×ツンデレな後輩×金髪ロリな先輩×銀髪美少女×黒髪撫子
続いてルームメート決めのアナウンスが何処からか流れてきた。
「では皆。今から、ルームメイトを決めるイベントを始める。同じ数字が六つ揃うようになっている。同じ数字同士で集まってくれ。では担任の先生方集まっておくれ」
と学園長が話終えるや否や、彼の元へ呼ばれた各学年の担任たちが急ぎ足で駆けて行った。
学園長から箱を手渡されて渡された箱を手に次々と戻って行く。
学生寮は無料で提供されている。
引く順番は定番の番号順。
出席番号が最後のヒョウガは、一番最後である。
―――次々なくなっていくボールを目で追うヒョウガ。
遂には二つとなってしまい。
「次は僕の番だね」
そう言ってエイトが引いたボールには「32」と書かれていた。
最後のヒョウガが引いたのは、「50」と書かれてあった。
エイトと別れたヒョウガはもう一人の幼馴染みを探す。
ヒョウガの後ろから濃い茶色の髪が特徴的で、茶色の瞳を持つ少女―――フヅキ・カナミが声を掛けてきてーー
「ねえ、ヒョウガ」
―――こいつは俺の幼馴染だ。
カナミは女性としては高いのか、平均かは定かではないが身長が165cm程はある。
「ヒョウガは部屋の番号は何番?」
「俺の番号は『50』番だ」
「え? ヒョウガも『50』番なんだ。私と一緒だね。これから宜しくね」
「そうだったのか。俺の方こそ宜しくな!」
同じ番号と分かると握手を交わし、他の仲間を探しに向かう。
―――あ、あれは前に何度もお世話になった先輩じゃない。
黄緑色のサイドテールの少女ーーーアミリ。
アミリはヒョウガと会うのがこれが初めてではない。
最初に出合ったのはニ年程前の事だ。
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回想。
「わ、私としたことが学園のシンボルのバッチを無くすなんて」
家を出る時は確かポケットに入れていたはず。
落としたとすれば来る道の何処かか。
もう学園に着いてしまっているが為、引き返すのは遅刻のリスクを背負うことになる。
ーーーだが、無いと講師に怒られてしまう。
リスクを考えて渋々怒られることを選ぼうとしていると。
「君、どうかしたのか? 困ってるようだったから」
一人の男が声を掛けてきた。
ネクタイの色からして上級生のようだ。
「あ、あのバッチを無くしてしまって…」
「後輩か。俺で良かったら探すの手伝うぞ」
「せ、先輩に悪いですし。遅刻してしまいますし」
「大事なバッチなんだからもし見付からなかったら大変なことになるんだし、忘れて遅れるより無くして怒られる方が嫌だろうと思うしな」
優しい先輩の厚意を尊重し二人で来た道を慎重に引き返す。
「こ、此方には無いです」
「此方にも見当たらない」
学園に行く時、最初に通る森を慎重に手分けして探すも、数分経ってもそれらしきものは見付からない。
「つ、次のところ探します」
続いてやって来たのは山の入り口だ。
「な、ない」
足元をくまなく探すも、一向に見付かる気配が一切しない。
「此方にもないな」
木々を掻き分けて探すも、落ちているのは枝や石黒ばかり…
「ここからはどうやって来たのかな?」
「こ、此方です」
と先輩と一緒に向かう。
その間も地面を隈無く探す。
けども見付からず街の方を歩く。
「た、確か此方を歩いていて…」
すると、
「もしかしてあれじゃないか?」
先輩が指差した方をよく見てみると。
そこには正に探していたバッチが、建物の陰に転がっていた。
「そ、そうだったのね。あの時か」
ホッとし、緊張が抜けて素が出てしまう。
「そ、そうでした」
「少し位気を抜いても良いぞ。俺は気にしない」
気を張った私に、そう言ってくれた。
「み、見付けてくれてありがとうございますよ」
「可笑しな事になってるって」
「で、ですけど···」
「一緒に探し物をして仲良くなれたと思ったんだけど。俺だけか?」
肩を竦めた先輩に、首を横に振って否定した。
「わ、私はそんな風には思ってない訳じゃないんだから。それと見付けてくれてありがとう」
仲良くなれたと少女は思う。
「早く学園に行かないぞ! ほら、君も」
「き、君じゃないわよ。シラキ。シラキ・アミリって名前があるんだから」
呼び方が気に食わない少女は、自ら名前を名乗った。
「シラキさんね。俺も名乗ってなかったな。俺の名前はヒョウガだ。アリマ・ヒョウガ」
「よ、宜しくしてあげても良いわよ」
先輩も名を名乗り話していると。
「こんなことしてる場合じゃない。急いで戻るぞ」
「そ、そうね」
二人は急いで学園へ向かう。
当然の事ながら、講師からキツく叱られた。
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現在。
ーーー勉強を見て貰ったこともあったわね
先輩との出来事を思い出していた。
「そ、そう言えば先ヒョウガ先輩番号『50』って言ってたわね」
会話が聞こえていたらしく、自分の番号を確認し、同じだと分かると先輩の方へ近付いていく。
「今年は俺がなるかも知れないな」
「女子の割合の方が多いもんね」
「去年は二部屋位男女の比率可笑しかったしな」
学園の生徒は女性の割合が多く、毎年何処かは男一に対して女五が起きてしまう。
二人が会話していると。
「ヒ、ヒョウガ先輩。久し振りに会ったわね」
「その声はーーー」
聞き覚えのある声に、ヒョウガは後ろを振り向いた。
「ーーアミリ。久し振りだな」
「ヒョウガ、その子と知り合い?」
カナミが知らないのも無理はない。
アミリとの事は、話すことでも無いと思い、話をしていなかったのだから。
「ああ、前に色々あって仲良くなったんだ」
「べ、別に仲良くなりたくてなった訳じゃないんだからね。成り行きなんだから」
「そうだったんだね」
面識の無いカナミでさえも、仲の良さが垣間見えた。
「お、同じ番号と、聞いたから来たのよ」
「先の会話聞いてたんだな」
番号をヒョウガに見せ、彼の質問に「そ、そうよ」と、答えた。
「わ、私はシラキ・アミリって言います。宜しくお願いします」
「シラキちゃんね。私の名前はフヅキ・カナミ。宜しくね」
カナミの方へ身体ごと向き直すと、軽い自己紹介をし…
「ま、また宜しくしてあげなくもないわよ」
「ああ、宜しく。俺にはツンデレ何だよな。親しいからか」
ヒョウガがとも改めて挨拶を交わす。
ボソッと呟く。
そして残りの仲間を探してると、アミリの所へ二人の少女がやって来きた。
―――片方の少女は、銀髪の髪をしていて、もう片方の子は、黒髪撫子だ。
銀髪の少女にアミリに問うと。
「アミリ、何番でしたか?」
「わ、私は50番よ。ミューフィとアキラは?」
「ウチとミューフィも同じ50番だよー。宜しく~」
もう片方の娘は他の生徒と少し違い、和風な装いで丸縁眼鏡をしている。
ーー少女の名前はアキラ。
アキラがアミリ達と同じと知り、挨拶を交わす。
「ワタシの名前は、ミューフィ・ラックです。アミリと同じ一年です。宜しくお願いします」
「ウチの名前は、サラ・アキラ。二人の親友で、同じ一年ですー」
見たところミューフィはアキラより少し身長が低い。
二人はそれぞれ自己紹介をする。
―――サラさんの方は元気がよく、テンションもまあまあ高い。ラックさんは優しすぎると言うか、硬い。
「ああ、こちらこそ宜しくな!」
「私の事も宜しくね」
二人ははアキラとミューフィに挨拶をし、握手を交わす。
それから最後の仲間を探す。
歩いてると何かがヒョウガと衝突した。
「今、ぶつかった人は大丈夫か? ってあれ!? 何処だ」
何かにぶつかったにも拘らず、そこには誰もいない。
よ~く近くを見渡してみると、そこには一人の金髪幼女が尻餅を搗いていた。
「大丈夫か?」
そう言って手を差し伸べーーーその手を掴んだ少女を引っ張り上げる。
「助かったですの」
リボンの色からして先輩の様うだ。
「差し支えなけらば部屋番号をお聞きしても宜しいですか?」
「アタクのですの? アタシは『50』番ですの」
「俺達も同じ『50』です。宜しくお願いします」
少女が先輩だと分かり態度を改める。
同じ番号だと分かり挨拶を交わす。
「まだ名前を言って無かったですの。アタシの名前は、アーティナ。アーティナ・モミナですの」
アーティナが自己紹介をした。
軽く挨拶を済ませ各学年の教室へ戻って行く。