128話 楽しい一時
一方その頃。
残された一年生組は。
部屋から出ずゆっくりと過ごしていて、丁度今から出掛けようとしていた。
出掛けると言っても少し散歩したりするだけのはずが。
「つ、ついでにお昼ご飯も食べに行くわよ」
「そうしましょう」
「良いよー」
アミリの提案で、急遽外食することに。
軽く身支度を整え、準備完了。
少し経てから、三人は散歩しに行った。
遊園地の方。
回転魚に並んでいた。
ここも人が多く、中々進まない。
お喋りをしながら待っていると、自分達の番が回ってくる。
係員の指示で何グループかが一人ずつ鮫に跨がる。
ヒョウガが跨がったのは、黒い海豚だ。
リーフの方は、青色の#海馬__タツノオトシゴ__#だ。
ーーー回転魚が動き出す。
ゆらゆらと動く鮫と海馬。
回っている間、冷たい風が美しい紫色の髪を揺らした。
何周かし終えた頃、乗り物が止まり、降りていく。
「回転魚も楽しかったのじゃ」
「ああ、そうだな。久し振りに乗ったけど。楽しかった」
幼い時っ切りのヒョウガに対し、リーフは初めての様だ。
「次はあれ乗りたいのじゃ」
「並ぶか」
「うん」
二人は手を繋ぎながら歩いてると、あるアトラクションを指差す。
ーーーボートだ。
ボートはエリア内を一周すると言うものの。
向かおうとした刹那ーーー何処からかお腹の音がなった。
「先に早いけど、ご飯にするか?」
「そうするのじゃ」
珍しく恥じらうリーフに、呼び掛けると小さく頷く。
時間は少し早いものの、何処の店も人が多く。
歩きながら程良い具合に賑わうレストランを探す。
すると、条件にあったレストランを発見。
早速レストランへと入っていく。
「どれにするか迷うな」
「妾も迷うのじゃ」
入口に貼られたメニューを覗き込んで悩む二人。
「う~んと、俺はこれにしよ」
ヒョウガが選んだのは、ディッシェオメイスだ。
ディッシェオメイスとは、多種類の香辛料を併用し、お肉や野菜等に味付けした料理。
それを、トマトソースと味付けした鶏肉とベーコン、玉葱などとご飯を炒め卵で包んだやつの上に掛けた料理。
「うーん、妾は····」
とメニュー表を眺め、漸く注文が決まる。
「妾はこれにするのじゃ」
リーフが選んだのは、ポークステーキだ。
注文が決まり、二人は入口で注文し、食券で支払う。
店の奥へ行き、左際の席に二人は向かい合うように座った。
待つこと暫くして、探す仕草を見せ店員が料理を此方へと運んできた。
「んじゃあ、食うか」
「そうするのじゃ」
そう言って食べ始め…
スプーンで卵を切った時のふんわり感が凄い。
掬い上げたオメイスを口に運ぶ。
「んーん。美味いな。このディッシェの辛さが丁度良いぞ。オメイスとの相性抜群だ」
食べた率直な感想をヒョウガは言う。
「うーん、お肉が柔らかくてジューシーなのじゃ」
ジューシーなお肉を口に頬張りながら、幸せそうな顔で言う。
食べるスピードも上がる。
「滅茶苦茶美味しかったな」
「もうお腹一杯なのじゃ」
お腹の膨れた二人は、水で口直しをすると。
暫く休憩をし、二人は店を出た。
同じ頃。
出掛けていたカナミとアーティナ。
二人はお昼ご飯を取ることに。
「何を食べよっか」
「そうですのね」
近場の店で食べられる所を探す。
探すこと数分が経ち、ドバラーヤ料理の専門店へとやってきた。
店内は混んでおり、少しの間待たされ…
待つこと数分経ち、店員に席へと案内された。
入口から見て、右中央の向かい合う席に案内され席に着く。
少し経て店員がメニュー表とお茶を持ってやって来る。
「何にしようかな」
「迷うですの」
とメニュー表を見つつ悩む。
数分が経ち、二人は頼む料理が決まる。
カナミが選んだのは、鱈のクリームグラーセット。
アーティナは、ポルヴ・アロースコシードのセットだ。
セットには、#馬鈴薯__ジャガイモ__#のスープとミスとが付いている。
店員を呼び注文をした。
暫くして料理が運び込まれてきた。
「それじぁ、食べるですの」
「うん、そうしよう」
自分の前に料理を置き、食べ始め…
フ~フ~。パクッ、
「んーん、クリーミーで美味しい」
パクッ、モグモグ、
「んーん、蛸の旨味が確りしてて美味しいですの」
二人は美味しい料理に舌鼓を打つ。
ゴクゴク。モグモグ、
「このスープもミストも美味しいね」
ゴクゴク、モグモグ、
「確かに美味しいですの」
馬鈴薯のスープも、ミストも美味しいらしい。
どんどんと食べ進めていく。
皿の上に盛られた料理が、見る見る内に無くなっていく。
遂には空になってしまう。
食べ終わると、苦しそうにし、その場で休む。
それから食券片手に、鞄を持ってレジに向かい、支払いを済ませた。
店を出た二人は、別の場所へ向かう。
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同時刻。少し遅めの昼食を取ろうと、レストラン街を歩いていた。
「そ、それにしても、ヒョウガ先輩がリーフ何かとデータするなんて···羨ましいわよ」
知っていたとは言え、気に食わない様子のアミリ。
「仕方ないよー。全然構って貰えなかったんだからー」
「美味しいもの食べて忘れましょう」
別にリーフを擁護するわけではないが、ヒョウガの決めた事だから口を出せない。
「そ、そうね。簡単に奪われたりしないわよね」
アミリは自信を取り戻す。
ーーーリーフ何かに負けないわよ
ライバルに対し、闘士を燃やす。
等と思っていると、空いているレストランを見付け中へ入っていく。
このレストランは、ニーフール料理の店だ。
入店に気付いた男のウェイターが、席まで案内する。
案内されたのは窓際の席だ。
奥にアミリとサラ。手前はミューフィだ。
ウェイターにメニュー表を手渡され、三人はそれぞれメニュー表を覗き込む。
暫く悩み、漸く注文が決まった。
「済みません」
「はーい」
偶々近くを通り掛かったウェイトレスを呼ぶ。
「ウチは牛ハラミ肉のステーキで、ナチェッツ添えセットを一つ」
「わ、私は牛ララ肉のニーフールビナ煮のパンのセットにするわ」
「ワタシはサーノルのカルパッシェとベーコンと#菠薐草__ホウレンソウ__#のヌーシュのライスとサラダセットで」
「牛ハラミ肉のステーキとナチェッツ添えのセットがお一つ。牛ララ肉のニーフールビナ煮のパン、サラダセットがお一つ。サーノルのカルパッシェと、菠薐草のヌーシュのライス、サラダセットがお一つ。以上になりますね」
注文の確認を行い、厨房へ向かう。
少しすると、サラダが先に来てアミリとミューフィが先に食べ始める。
ムシャムシャ、モグモグ
「こ、このサラダドレッシングが利いてて美味しいわね」
「確かに美味しいです」
サラダを口に頬張る二人は、サラダに満足した様子だ。
するとそこへ、メインが運び込まれてきた。
運び終わるとウェイトレスは別の所へと向かった。
「そ、それじょあ、メインを戴くわよ」
「戴きます」
「戴くよー」
そう言ってメインを食べ始め…
ふうーふうー。
「んーん。お、お肉は柔らかいし、濃厚なニーフールビナが美味しさを挽き立ててるわ」
ジュワ···
「んーん。凄くジューシーで美味しいよー。物凄く滑らかだよー」
「滑らかなサーノルがマーニョソースとマッチングしてて、凄く美味しいです」
三人は率直な感想をそれぞれが口にした。
「こっちのベーコンと菠薐草のヌーシュも、サクサクして甘くて美味しいです」
幸せそうな顔で食べるミューフィ。それ程美味しいのだろうか。
「ナシェッツも美味しいよー。米も」
「こ、このパンも特別な材料を使ってる見たいだけど、美味しいわよ」
二人もまた美味しいと絶賛し…
食べるペースが無意識に早まる。
テーブルに乗ったお皿が、見る見る内に無くなっていく。
「ふうー、も、もうお腹いっぱいで何も食べられないわ」
「ワタシももう何も入りません」
「ウチもだよー」
お腹の膨れた三人は、苦しそうにしてその場で少し休む。
暫し休んでから、三人は荷物を持ってレジへ向かう。
会計を食券で支払い、三人は店を出た。
「ーーー漸く見付けた」
ターゲットであるサラを見付けたレクト。
「邪魔物がいるけど、殺るしかないさ」
狼の仮面をし、マントを纏うとサーベル片手に動き出した。




