124話 ーー決着の時
蟻地獄の中。
火食鳥から受けたダメージは思いの外大きい。
骨の一部が切り裂かれている。
どんどん痛みに支配されていく。
それもその筈、切り裂かれた箇所が余りにも深かったのだから。
傷あ口がどんどん拡がる中、トラニアが途切れ途切れになりながらドラゴンを呼ぶ。
「りゅう····しょう····かん····」
リヴァイアサンを召喚した。
呼び出したのは良いが、既に リヴァイアサンは息を荒げてる。
ーーー当然の事だろう。
竜との契約は文字通り一心同体なのだから。
カナミが助けようと想像するも、イメージが長続きせず。
そこへ大量の蟻地獄が攻めてきた。
ーーー駄目だ。抵抗する気力も残ってないみたい
意識が#朦朧__もうろう__#とし始めた刹那。蟻地獄の餌食となった。
戦闘不能となり、二人は防御壁の外に出されてしまう。
疲弊した二人は、防御壁の外 で暫し休む。
「んじゃあ、此方も行くぞ! アミリ」
「そ、そうね。そうするわ」
と言うや否や、二人は動き始める。
「武装魔銃術〈炎神の弾〉」
「海底王槍術〈炎海炎柱〉」
銃口をミューフィへ向け、引金を引く。
ーーーバン、バン。
放たれた炎神の弾を、妖精の力で受けようとし…
そこへ燃え上がる炎海を発生させ、妖精を火炙りにした。
更に炎神の弾が、サラに着弾。
「ごああ····」
熱 さと痛みに襲われてしまう。
「こ、これで終わりにするわよ」
「ん…!! そうだな」
合図を送り会うと。
「武装魔銃術〈究極の虹色弾・零〉」
「海底王槍術〈海鳴槍波撃〉」
サラに銃口を向け、引き金を引く。
ーーーバン、バン。
半分の魔力で作り出した虹色の弾。
一ミリたりともズレることなく飛んでいく。
突如砂から荒れ狂う波が出現。
虚空に水と雷が生じ、海底王槍へと降り注ぐ。
それを帯びた槍は、波諸ともサラとアーティナを突き飛ばす。
「ぐはっ····」
「ぐあ゛あ゛····」
弾の着弾と、突き飛ばされた二人。
二人は呻吟し崩れ落ちていく。
地面には、サラとアーティナから零れ落ちた血で、血溜まりが出来ていて…
そのまま防御壁の外へと出されてしまう。
残り二体ニとなった。
「奥義〈全面蟻地獄〉」
「催鳥魔術〈扇鷲の激突〉」
ーーーこれで決まりなんだナ
「海底王槍術〈炎海炎柱・零〉」
先程より威力を増した、燃え上がる炎を発生させる。そして全面に発生した蟻地獄を、一つ残らず火炙りにした。
「こ、今度こそこれで決めるわよ」
そうアミリが言い放つと。
「武装魔銃術〈虹炎の連撃弾・零〉」
銃口を先ずはルーミランへ向け、引き金を引く。
ーーーバン、バン。バン、バン。
虹色に燃え上がる炎が、連続して放たれ…
回避する間もなくルーミランを連続で撃ち抜き、続いてミューフィも同じように連続で撃ち抜く。
「ああ····」
「ぐはっ····」
撃ち抜かれた箇所に風穴が空き、身体から血飛沫が飛びそして燃え尽きた。
「勝ったぞ」
「そ、そうね」
二人は嬉しそうだ。
先に退場した三ペアが、此方へと戻ってきてから。
「私達は先に退場しちゃったけど、勝てて良かった」
「確かにそうであるな」
チームとしての勝利を喜ぶ。
「勝てる気が少しはしたんだナ」
「相手のペアがそれだけ強いってことですの。あの二人がペアになるのも納得ですの」
#項垂__うなだ__#れるルーミランと、称揚するアーティナ。
正反対な二人だが、負けられないと言う気持ちは同じようだ。
「今日はこれ位で終わりにするぞ」
「そ、そうね。別に疲れたって訳じゃないけど」
全員が集まったのを見計らい、そうヒョウガは指示を出す。
ペアのアミリは強がりを言うも、実際は結構疲れているらしい。
「疲れたし、了解した」
「帰ってゆっくりとするんだナ」
「疲れたね」
「確かに疲れました」
疲れた様子で其々が言葉を交わす。
「試合までにもっと強くなろ~」
「精が出るですの」
このペアだけは元気な様だ。
特訓場を出彼らは、選手ホテルへ戻って行く。
 




