120話 組み合わせ
カナミとサラのペア。
武装展開を行い 早速特訓を開始し…
「それじゃあ、行くよー」
「うん、良いよ」
アイコンタクトを取り合うと。
「妖精、行くよー」
「はい、マスター。了解しました。
〈エアラ・ノケー・ディブル〉」
「武装想像〈破壊神の装甲〉」
出番待ちしていた妖精が、突如巨大化してしまう。
遅れて発動された、全てを破壊する装甲。
ーーー装甲はタイミングが合わず、巨大化した妖精を破壊してしまう。
「ゴメンね。タイミングミスっちゃった」
「全然気にしてないよー」
「合わせるのって難しいね」
ミスを謝るカナミを、当の本人が宥める。
連携の難しさを、改めて知る羽目となった。
「んじゃあ、俺たちも行くか」
「では始めよう」
続いてヒョウガ、トラニアペアだ。
準備を整えた二人が動き出す。
「黒龍よ! 灼き払え」
「まだ早いって···ごあぁぁ…」
攻撃を先走ってしまい、タイミングを合わせられず#失敗__しくじ__#った。
炎を喰らったヒョウガは、全身を灼かれ苦しみを味わう。
「済まん。次は気を付ける」
サラの妖精に治癒をして貰い、あっという間に完治した。
「んじゃあ、もう一度行くぞ」
「では、そうしよう」
二人は特訓を再開させた。
アミリとミューフィペアの方は。
「そ、それじゃあ、行くわよ」
「そうしましょう」
二人は相槌を取り合い、そして動き出す。
「催鳥魔術〈炎隼〉」
「武装魔銃術〈猛火の弾〉」
ーーーミューフィが魔笛を吹いた。
すると、突如空から炎を纏った隼が出現。
同時に、魔銃の銃口から放たれた、激しく燃え上がる烈火。
二つの強大な炎が勢いを増し、虚空へと飛んでいく。
これこそが文句無しの成功例だ。
「ま、まあ、こんなもんよね」
「成功して良かったです」
二人は控えめに成功を喜ぶ。
続いて最後のペアの方はと言うと。
「と言っても、アタシは近距離攻撃で、ルーミランは周囲干渉型。相性はボチボチですの」
「確かにそうなんだナ。けどやってみるんだナ」
「了解ですの。ルーミランに合わせて遠距離魔法使うですの」
そういい終えると二人は動き出した。
「奥義〈蟻地獄〉···」
「武装魔術〈#天空__カエルム ・__#の#雨__インベル__#〉」
ルーミランが地面に杖を突く。
すると、蟻地獄が発生。
天空へ光魔剣を向けると、大地を貫くほどの光線を降らせる。
同時に発動したものの、狙い目がズレてルーミランを光線が襲う。
「ぐはっ····」
光線を喰らい、全身を抉られて呻吟する。
時間差で崩れ落ちるように倒れ込み、防御壁の外へと出されてしまう。
出されたルーミランら、再び防御壁の中へと入っていく。
入るとアーティナの元へ向かう
。
「酷い目にあったんだナ」
「ゴメンですの。中々難しいですの。けど、コツを掴んだ気がするですの」
「確かにそうだナ。次こそ成功させるナ」
自信の付いた二人からは、成功しそうなオーラが醸し出していた。
それから今の組み合わせでもう一度特訓を行った。
続いてペアを変えて特訓開始…
「では、始める」
「うん、良いよ」
トラニアはカナミとペアだ。
「リヴァイアサン、行け!」
「武装想像〈ガリブディス〉」
―――リヴァイアサンが突如姿を現す。
リヴァイアサンは、水を虚空へと放つ。
それと同時にカナミも発動。
カリブディスを出現させる。放たれた水と共に虚空を襲う。
「良い感じに出来たね」
「ああ、良い出来だった」
成功したことを素直に喜んだ。
「そ、それじゃあ、行くわよ」
「良いよー」
アミリとサラペア。
「武装魔銃術〈#溶岩__ラヴァ__#の#弾__スフェラ__#〉」
虚空へ銃口を向け、引き金を弾く。
―――バン、バン
溶岩のこもった弾が、勢い良く飛んでいく。
「妖精、力貸して上げてー」
―――はい、マスター。お任せ下さい。
白い妖精が、溶岩の弾と一つになる。
すると溶岩の色が透明に変化。
その透明な溶岩は、勢いを一層まして虚空へと飛んでいく。
弾の衝撃により、爆風が起き、砂埃が飛び散った。
透明になった分、相手がいたならばタイミングを予測することなど無為に等しい。
「う、上手く行ったわね」
「ホントだー。凄いよー」
二人は喜びを分かち合う。
「それぞゃあ、始めるですの」
「はい、分かりました」
アーティナとミューフィペア。
「催鳥魔術〈#ハービーア扇鷲の#激突__シングル__#〉」
―――ミューフィが魔笛を吹いた。
すると扇鷲が姿を現す。
その背中へ移動し、空まで飛んで行く。
「武装魔術〈黄金の波動一剣〉」
扇鷲が地面目掛けて降下するタイミングで、アーティナが魔法を発動。
神々しい光が、突如照らし点けた。
神々しい輝きが、光魔剣に降り注ぐ。
すると光魔剣は、黄金色一色に染まった。
扇鷲の衝突と、タイミングを合わせて虚空へ斬りかかる。
「上手く行ったですの」
「はい、上手く行けて嬉しいです」
成功を喜ぶ二人。
「んじゃあ、俺たちも始めるぞ」
「そうするんだナ」
ヒョウガとルーミランペア。
「奥義〈蟻地獄〉」
「海底王槍技〈海鳴槍波擊〉」
ルーミランが地面に杖を突く。
すると、蟻地獄が発生。
突如砂から荒れ狂う波が出現…
虚空に氷と雷が生じ、海底王槍へと降り注ぐ。
それを帯びた槍は、波諸とも蟻地獄の中へ突き飛ばす。
蟻地獄内は、攻撃能力を増した波で大荒れだ。
試合であれば、これで落とすことは十分に可能であろう。
「上手くいったんだナ」
「ああ、初めてにしては上出来だぞ」
成功を喜ぶルーミランを、そう誉めた。
それから組み合わせを色々と試す。
一周廻り、最終的な組み合わせは、カナミと、トラニア。アーティナとサラ。ミューフィとルーミラン。そしてヒョウガとアミリ。
「宜しくね! トラニア」
「うむ、宜しく頼む」
トラニアの手を取り、軽く挨拶してきたカナミと言葉を交わす。
「サラ、宜しくですの」
「うん、宜しくねー」
此方は短く挨拶を交わした。
「宜しくお願いします」
「此方こそ、相方として宜しく頼むナ」
ペコリと頭を下げたミューフィに、ニコニコ微笑む。
「き、決まったなら仕方ないわね。宜しく頼んで上げても良いわよ」
「ん…!! ああ、此方こそ宜しく頼むぞ」
ーーーこ、これって、本当に偶然!? 仕組まれてないでしょうね?
まあ、それはそれで嬉しいんだけど
疑いつつも、内心は迚嬉しそうだ。
別れたペアで、模擬戦以外は試合終了迄別行動をすることに。




