117話 アイドル
翌朝。
朝食を済ませて歯磨きと着替えも終わると。
「んじゃあ、俺が行ってくる」
と言ってカナミ達の部屋を出た。それから先に来ていたルーミランと共に同盟の本契約を結びに行く。
担当の元へ着きーーー
「風神と共闘同盟を結ぶんだナ」
「それでは此方の概要を確りと読んで、こちらにサインしてね」
担当から渡された魔法のアイテムに目を通し、同意のサインをする。
こうして無事に風神の仲間入りを果たす。
それから一度荷物を取りに部屋に戻り、荷物を抱えて戻ってきた。
ルーミランの到着に気付くと、二人はカナミ達の部屋を
へと向かう。
「えーと、それじゃあルーミランの寝る場所なんだけど···」
二人が部屋に入るなり、そうカナミが切り出す。
ぐるりと部屋を見渡すも、ベッド一つ追加しようにも場所の確保がやや厳しい。
「仕方ないんだナ。ヒョウガの部屋にお暇するナ」
「な、何言ってるのよ、貴方。男と女を二人切りで寝かせるなんて駄目に決まってるでしょ。何かあったら許さないわよ」
「冗談冗談。そう無気にならないでナ。隣の空いた部屋使うから」
軽い冗談を言ったつもりのようだが、アミリからしてみれば冗談では済まされない。
とは言えど、悪気があるわけもなく、それ以上言及することを控えた。
隣の部屋に荷物を置きに行き、荷物を整理して戻ってくると。
「んじゃあ、次の対戦相手でも見に行くか」
一階にある掲示板のところまで向かう。
一階へ降りてくると、既に何チームかが来ていた。
人が減るのを待ち、減ったのを確認してから。
「どれどれ」
自分達の対戦相手を探す。
暫くして見つかり、そこに書かれていたのは、
「アイドル系チーム〈ユニコーン〉」
「ユニコーンてどんなチームなんだナ? アイドルって言ってるけど···」
チーム名を呟いたヒョウガへ、問い掛けるが彼は首を横に振る。ヒョウガもまた分からない様だ。
「確かにどういうチームなんだろうね」
「んじゃあ、調べてみるか?」
「それは良い案だナ」
腕組をして考え込むカナミに対し、そう提案してみると。
食い付いてきたルーミランは兎も角、他の仲間もうんうんと控えめに頷く。
全会一致と言うことで、一行は資料館へと向かう。
擦れ違い際にやってきた対戦相手。
「次もファンの声援に答えなきゃ」
「どこのチームだろう」
等と言いながら対戦相手欄を見るや否や、彼女達の表情が強張ってしまう。
「次の試合はファンが悲しんじゃいそう」
「当たる相手が悪いって···こんなのアイドル苛め」
「試合迄五日あるし、出きる対策は練ろうよ」
諦めムーブを醸し出す仲間に向け、リーダーがポジションなことを言う。
リーダーに元気を貰い、仲間たちのやる気を引き出し、彼女達は特訓場へと向かって行く。
一方その頃。
資料館へやってきたヒョウガ達は。
机の上にユニコーン関連の資料を並べ、椅子に座って読み耽っている。
「へえー、本当にアイドル活動してるんだね」
「何!? それは確かに凄いナ」
「ファ、ファンも結構いるみたいね。どこが良いのよ」
三人はユニコーンへ感心を抱く。
「俺も初めて知ったんだけど、そんなに人気なんだな」
「戦いはそこまでじゃないけど、連携が凄いみたいですの」
「そんな人気者と戦えるなんて嬉しいです」
「ユニコーンの曲なら家に沢山あるよー。お父さんから借りて聴いたことあるよー」
三人もまたユニコーンに興味を抱く。
そんな中、サラだけは存じてるらしく、嬉しそうに話す。
「どれも良い曲ばかりなんだよー」
「そ、そんなに!? 仕方ないわね、私も今度特別に聴いてあげるわよ」
「んじゃあ、俺も聴くぞ」
然り気無く布教していく。
「そんなに良い曲ならアタシも聴こうかナ」
「じゃあ、私も聴いてみる ね」
「アタシも聴いてみるですの」
「ワタシもそうします」
普段は音楽に興味のないラの薦めなだけあって、信頼が厚い。
「何でもグッズも結構出てるんだよー」
「確かに凄いです」
高等課の学生での商品化は異例中の異例。その為、収入も明らかに違う。
普通にバイトして稼ぐ学生とは桁が違う。
それはそうとして、読み終わった資料を棚に戻して部屋へと戻っていく。




