107話 家族と会おう
ミューフィは一人街を歩いてると、待ち合わせ場所へ到着する。
その場所は、ルポ·スィエルエトワレと言う喫茶店。
そこへ遅れてやってきたのは、兄のフィーデルと妹のルーゼだ。
「待たせてすまない。もう少し早く着くはずが、迷ってしまって」
「お姉、ゴメンね」
「大丈夫です。お兄さん、ルーゼ。ワタシも来たばかりですから」
フィーデルとルーゼの陳謝に、必要ないと言い返す。
「それじゃあ、少しお茶でもしないか?」
「では、そうしましょう」
と言うとこで、喫茶店へと入店する。
ウエイトレスに案内されたのは、両方がソファー掛けの席で、早速腰を下ろす。
「好きなものを頼んでもらって構わない」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
優しい兄の言葉に、妹たちは甘えることに。
「ワタシはローネルティーにします」
「私はリューシュカにしよっと」
「じゃあ、決まりのようだね」
注文も決まり、近くを通りかかったウエイトレスを呼ぶ。
「アポンティー、ローネルティーと、リューシュカを一つずつ下さい」
「え~と、アポンティーがお一つと、ローネルティーがお一つ、リューシュカがお一つですね。承りました」
三人が頼んだのは、ミューフィのローネルティーが赤い甘酸っぱい果実をブレンドした紅茶。
ルーゼの頼んだリューシュカは、香り豊かなフルーツのフレーバーティー。
フィーデルの頼んだアポンティーは、程よい甘さの紅茶にドライフルーツの入った紅茶だ。
店内はそこまで混んでなく、あっという間に紅茶が、運ばれてきた。
早速紅茶を啜り…
「試合はどうだったんだい?」
「梃子摺ることなく勝ちました」
「お姉達凄い」
「良い仲間を持ったみたいで本当に良かった」
試合結果を伝えたミューフィへ、二人がおめでとうを伝えると。
「あれは使ってないんだね?」
「はい、大丈夫です」
「なら、良かった」
何やら意味深いな事を言う。
「この紅茶美味しい」
「ワタシのローネルティーも甘酸っぱいですが、とても美味しいです」
「僕のアポンティーも中々旨い。仄かな甘みにドライフルーツの甘みが合ってて、好い」
三人は其々感想を言い。
あまりの美味しさに、ティーカップの中の紅茶があっという間になくなって行く。
完全になくなると。
「そろそろ出ようか。支払い済ましとくから」
「それじゃあ、私とお姉は先に出とくね」
先にソファーから立ち上がったフィーデルが、レジに向かおうとする。なのでルーゼが姉と荷物を纏めて店を出ていく。
遅れて兄も支払いを済ませ出てきて。
ここでミューフィは二人と別れた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ミューフィが兄と妹と別れて、
四時間くらいした頃。
サラも親とテラス付きのレストランで待ち合わせてから。
そこのお店でランチすることに。
「サラ、一戦目はどうだったんかね?」
「あんな碌に異能すら扱えないあのサラがね。こんな大きな大会に出られたなんて、母さんとても嬉しい」
「無事に勝ったよー。むむ。確かに前迄はそうだったけど…大事な仲間のお陰で強くなったんだよー」
「それに今は異能は使ってないよー」
驚く両親へそう返すと。
「異能を使ってないって!? じゃあ、どうやって今迄の試合を···」
「それはねー。妖精を使ってるんだよー」
「妖精ってまさか!? 成功率が低くて、最悪死者すら出るエアノークを成功させただと!?」
「凄いわね、アンタ。娘が現在一人だけの妖精術師になるなんて、感激しちゃったわ」
「確かに凄いことなんだけど、改めて言われると照れるよー」
自分の目の届かない所で、偉大なる成長を遂げた愛娘を尊敬すらしてしまう。
両親があまりに褒めるから、照れてしまうではないか。
「さ、勝利記念に好きな料理を注文しちゃいな」
「わーい。ありがとー。お父さん」
メニュー表に目を泳がすサラ。
暫くして注文が決まり…
「ウチは、この最上級のシェバ牛ステーキのスープセットにするよー」
「良し良し、じゃあ、頼もう」
「貴方と似て高いもの頼むんだから。まあ、別に良いけど」
サラが選んだのは、お高めなやつで、更にプラスでスープまでも付けた。
暢気な口調の父へ、口を尖らせる母なのだが、止めるつもりはないらしい。
父が選んだのは、ルーヨンステーキのライスとスープのセット。母は特製のハンバーグステーキのライスセットだ。
ーーー店員を呼び、注文を済ませると。
十数分が経て、運び込まれてきた。
頼んだ料理を其々の前に奥や否や、食べ始める。
ジュワジュワ。がぶっ、
「んーん、凄く柔らかくて、旨みが凄くて美味しいよー」
ジュージュー、ジュワジュワ。
「んーん…おお、柔らかくて、歯応えが良くて凄く旨い」
ジュワジュワ。
「んーん、この特製ダレのハンバーグ凄く美味しい」
と其々が絶賛なようで。
ごくごく。
「んーん、このポタージュ甘くて美味しいよー」
ポタージュがどんどんと無くなっていく。
あれ程あったお肉が、物の数分で少しにまで減っていた。
その残った少しも平らげてしまう。
「ふう~お腹一杯。もう何も入らないよー」
「お父さんもお腹一杯だ」
「お母さんももう何も入らないわ」
あまりの苦しさに、少し休む。
それから父が支払いに行く。
そのうちに出る準備を済ませ、サラと母は先に店を後にして。
支払いを済ませた父が、遅れて出て来てから。
「それじゃあ、次の試合も楽しみにしてる。頑張れ」
「お母さんも応援してるわ」
「お父さん、お母さんありがとー」
両親の応援に、力強く拳を握った。そして両親とは別れて、ホテルへと戻ろうと歩いてると。
その途中ーーー
何処からともなく、攻撃が放たれ…
咄嗟的に左へ飛ぶことで、何とか攻撃を躱す。
「一体誰だよー。行きなり攻撃してくるなんて~」
周りを見渡すが、そこには誰もいない。
ーーー否、違う。
見えないだけだ。
軈てサラの背後に現れたのは。
狼の面をし、暗い紫のマントをした男。
その男がゆっくりと口を開くと。
「これはあの人の指示だから」
少し時間を遡るのであった。




