表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
4章 激動の交武祭典篇
127/152

106話 何気ない朝

海底に差し込む陽が、朝を知らせる。


 その差し込んだ日差しに、重たい目蓋をアミリは強引に醒まさせた。


 「ふわぁーぁ。え~と。も、もうこんな時間じゃない」


 上体を起こし、伸びをして起き上がると、ホテル備え付けの壁掛け時計に目をやる。


時刻は八時を廻っていた。


 「アミリちゃん、おはよう。ぐっすり眠れたみたいだね!」


 「アミリ、おはようですの。朝ご飯もう済ませちゃったですの」


「アミリ、おはようございます」


「アミリ、おはよー」


 ーーー私が目覚めたのに気付いて、挨拶してくれた。


ーーーだから。


 「み、皆おはよう! ヒョウガ先輩も寝坊してるんじゃないでしょうね?」


 「お寝坊さんはアミリだけですの」


「朝早くに出掛けたみたい。私も見てない」


 「ですが、あのメイドさんがそう教えてくれたみたいです。どこ行ったかは知らないみたいですが…」


 顔を未だに見せないヒョウガに、呆れた様子のアミリ。


 それをアーティナが、アミリへしっぺ返しを喰らわす。


 ーーーどうやらヒョウガは、何処かへ出掛けたらしい。


 (こ、こんな朝っぱらからどこ行ってるのよ)


と、アミリが思っていると。


 コンコンと、ドアをノックする音がし…

 入ってきたのは小柄なメイドのロコだ。


 「お目覚めになられた様ですね。お嬢様! 朝食をお持ちします」


 と言い残し、一旦ロコは部屋を出て、少しして朝食を手にし戻ってきた。


 気が付くと、アミリのお腹がリズミカルに鳴り出す。


 なのでアミリは、テーブルの方へと移動する。席に着くや否や食べ始める。


 ーーー朝食の内容は、デニッシュに、サラダと茹で卵だ。



 「こ、このデニッシュ、卵とバターの量が私好みね。それに、しっとりふんわりしていて美味しいわね」


 と絶賛らしく、あっという間に間食し、


 「サラダと茹で卵も美味しいわね」


 残すことなく食べ尽くすと、少し休む。


それから歯磨きと洗顔を済ます。


それから皆のところへ向かう。


 「今日はヒョウガ居ないし、どうする?」


 「ワタシは行きたいところがあります」


「ウチもあるからそこ行くよー」


 「うん、分かった。アミリちゃんとアーティナさんはどうする?」


 揃ったところでそう切り出すカナミに、ミューフィとサラは決まってるらしい。後の二人にも問うと。


 「アタシはゆっくりしてるですの」


「べ、別に用事なんてないわよ」


二人とも無いらしい。


 ミューフィとサラは親と会うようで…

 既にカナミとアーティナは、試合後に其々近くまで来ていた両親と話していた。


 コロシアムを先に出ていたアミリも、タイミング良く出てきた両親と言葉を交わしていて。


 この場にいないヒョウガも、試合後直ぐに伝えに行ったのだが。


 後の二人は、親の都合上出来ていない。


 二人以外の家族は、前日に現地入り出来たが、二人の家族が着いたのは二日ほど遅かったから。


「では、ワタシは行ってきます」


「ウチも行ってくるねー」


 ミューフィとサラは其々支度を済まし、ホテルを後にする。


 残された三人は、部屋の中でゆっくりと過ごすことに。


それから少しの間を経て、


 「そう言えばさ、アミリ。ヒョウガとは何の進展もしてないんですの?」


 「わ、悪い? どうせ私の気持ちなんて伝わらないわよ」


 「それは無いんじゃないかな? 想い続けてれば、きっと伝わるからね! それに…」


 途中迄言い掛けたカナミだったがーーー


 「ううん。何でもない。進展無いならさ、ほら! 今度遊園地にでも誘ったら」


と言って誤魔化す。


 「良いアイディアですの。二人の仲が急接近すること間違い無しですの」


 「ホ、ホント!? それなら誘って上げても良いわよ」


 「ホントなのじゃ。妾もその時は行くのじゃ」


 「うんうん、そうして···って、え!?」


 加えてアーティナに、上手いこと言われ、デートの誘いをすることに。


 然り気無くそこへ、リーフが混ざり混む。


 違和感を覚えたカナミが、暫くしてリーフの存在を確認した。


 「何時から其処に居たんですの?」


 「アミリとヒョウガが進展してないって所からなのじゃ」


 「ーーーそ、それって全部じゃない!? 悔しいわね…気付けなかったなんて」


 思いがけぬ返答に、悔しい表情を滲ますアミリ。


 「ほらほら、あの時じゃ。サラとミューフィが出掛けたのと擦れ違いなのじゃ」


「ああ、あの時ね」


「な、成る程ね」


 リーフの説明により、謎が解けて。


 「そんなことより、ヒョウガは未だ帰ってきてないのじゃ?」


 「未だですの。何処迄行ったのやら」


と言う疑問だけを残して――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ