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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
4章 激動の交武祭典篇
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105話 甘くない甘味《スイーツ》

ーーー残りの五人。


 庇って貰ったお陰で、男は何とか右足が回復し、相手との距離を取った。


「植物術〈冥界(アスフォ)咲く花(デルス)〉」


 冥界に咲く花がタルト、シャルロット、フランを襲う。


「〈ジェラート〉」


 突如にして刹那、巨大なジェラートが出現。


 ジェラートで植物の攻撃を打ちのめすつもりが、全く歯が立たず。


今度こそ三人を襲う。


 「ぐはっ……痛い痛い痛い。凄い威力です。タルト吃驚しました」


 「ぐぉっ……痛い痛い痛い痛い。そう簡単に勝てないか」


 「かはっ……! 痛い痛い痛い。やるね」


 三人はそれぞれ攻撃をくらい、血を吐きながら。

 お腹に大きな穴が空きながらも、余裕らしく。


 ーーー何処からともなく現れたスイーツを口にして。


 するとみるみる内にお腹に空いた穴が塞がっていく。


彼女らの能力によるものだ。


「このタルト美味しいです」


「このシャルロット甘い」


「この旨さ好き。これでやれる」


 その光景を見ていた植物使いは呆然としていた。


はっと我に返った植物使いは。


 「冥界に咲く花であれ程の傷を与えたはずなのに…」


 「今、スイーツを食べて···何と奇妙な能力を使う奴らだ」


驚きを隠せない様子。


「私も行かせていただきます」


 そうーーーマカロンが宣言すると。


「〈ホイップハリケーン〉」


 突如虚空から滑らかなホイップクリームが出現して。


 ホイップクリームがどんどんと大きくなり、軈ては竜巻となってしまう。

 ホイップの竜巻を、植物使いの中心に襲わす。


 迫るハリケーンを前に、男が技を発動。


「植物術〈無効の薔薇〉」


 岩場に突如薔薇の防壁が出現した。


ーーーただの防壁ではない。


 どんな攻撃も無効にしてしまう防壁だ。


 しかし無効の薔薇をもってしても食い止めきれず。


 ホイップの竜巻に包まれた相手チームは、くるりくるりと回される。そして力無く岩場へ落下していく。


 岩場へ激突し、五人は頭や口端から血を流す。


ーーー透かさずその中の一人が。


 「しょ……しょく……ぶつ術〈癒しの植物園〉」


 突如岩場から植物が生え始めた。


 周りの岩場からも同じように植物が生えていく。


 五人を囲うようにし、一種の植物園を作り出した。


 その植物園の力によって、全員の傷を癒す。


 完全復活を見計らい、シャルロットが仕掛けた。


「〈バニラビスケット〉」


  突如にして刹那ーーー虚空からバニラビスケットが出現。


 幾多ものビスケットが相手の足元、頭上へと飛んでいく。


「何かしらね?」


「分からないが避ければ···」


 とアルとリガーが避けようとした瞬間ーーー


爆炎と共に爆ぜた。


「ーーー」


 二人は声になら無い声を上げ苦しむ。


 爆ぜた衝撃で脳は溶け、足、身体、頭迄もが破砕していく。


ーーー残り三人。


 先の攻撃を防いでいた三人は、それぞれ仕掛ける。


「植物術〈人面樹〉」


「植物術〈世界樹〉」


「植物術〈死の植物(イラクサ)〉」


 植物使いの男の片方が、全長三十八メートル程の人面植物を出現させた。


そして相手を襲う。


 もう一人の植物使いの男は、巨大な木を生やす。

 生えた木ーーー世界樹が、上空へ質量を無視して飛ぶ。


 リーダーの少女は、近付くだけで死を招くイラクサを出現させたる。


 巨大で強力な毒で少女達を襲う。


三つの強大な技が六人を襲う。


「「「〈ショコラエタン〉」」」


「〈ジェラート〉」


 ロワ、フィナ、タルトの三人が、岩場全域にチョコレートの池を作り出す。


 同じくフランが、上空に巨大なジェラートを出現させた。


 そのジェラートで打ちのめそうとしーーー


 が、どれも効果が発揮できず、負かれてしまう。


今度こそ六人を襲う。


 これはヤバいと思い。そう思った瞬間ーーー


「〈デクペビスキュイ〉」


突如虚空から生地が現れた。

 そしてシャルロット、マカロン、フランの上へ。


生地の上から型抜きをする。


 型抜かれた三人は、攻撃を食らわずに済む。


 その代わり残りの三人は、攻撃を食らう。


「ーーー!」


死の植物に噛み砕かれたロワ。

 植物の口元からは、少女の血だけが覗かす。


 背を向けて逃げるも、フィナは既に逃げきれず。

 巨大な樹の腕が、容赦なく叩きのめす。


「げほっ……ごぼぉっ……」


勢い良く正面へーーー


 身体を叩きつけて、口端から血を流した。


 身体はぐしゃぐしゃになり、肉片が彼方此方に飛び散った。


タルトは空を見上げた。


そこには間近に迫る死の凶器が。


軈て轟音が広範囲に広がる。


ーーー少女は押し潰されて


 原型が定まらない程に、無惨な姿になってしまう。


 「何だと!? あの攻撃で残滅したはず」


 「おいおい、何かの悪い冗談だろ···」


「その方が嬉しいのだけど…」


 型抜かれた三人は、当然傷一つ無い。


 あまりの衝撃に、開いた口が塞がらずに。


 「そう簡単には食われてあげない」


 「ーーースイーツこそ最強です。勝つのは無理です」

 

 「三人減ったからって、勝機無いから」


 喋っている内に、三人は元通りの姿に戻った。


 「ハアハア。次で決めたいのだけど」


「長引かせたくはない」


 「こんな甘くないスイーツは嫌い。だから···ハアハア。早く終わらせよう」


ーーーリーダーの息遣いが荒い。

 他の二人も同じく、息遣いは荒く苦しそうだ。


 焦りと不安が、彼らの判断をも誤らせてしまった。


「愚かです。

      〈ラメゾン・ガトー〉」


ーーー彼らは踏み込む。


 と次の瞬間ーーー踏み込んだ岩に突如として刹那にお菓子の家が建つ。


 「焦り過ぎた。こんな罠に嵌まるなんて…」


 「私もそうよ。リーダーとして失格」


「こっから早く出んとヤバい」


 閉じ込められた三人が、愚かさを痛感していると。


ーーーお菓子の家が三人を襲う。


 否ーーー違う。家の中のお菓子達が、彼らに食らいつく。


「仕上げにしよう

         〈モンドドゥー〉」


 お菓子の家が霽れ、次に現れたのは。


 嶽麓島(ハリム)全域が、お菓子へと変化していた。


 口端、肩、脇腹、胸、背中、足、と至る所から溢血する。


 そんな彼らを、お菓子が一斉に食らいつくす。


「ーーーっ!」


「ぐぅっ……」


「ゲホッ……」


 止めを刺された三人は、大量に吐血し、傷口から血がどんどんと流れ出す。


 力は抜け、その場にぐったりと倒れ込む。


「終わったです」


「まあまあな味だったね」


「予想してたより梃子摺った」


勝利に酔う三人へ。


 『パティスリーの皆さんも出てきてください』


 流れましたアナウンスに従い外へ出る


 既に他の人たちは並んで待ってる為、三人も急いで並ぶ。


 「改めまして! 勝者はチーム〈パティスリー〉の皆さんです。お見事でした」


 「ありがとうです。勝てて嬉しいです」


 勝利を讃えられ、マカロンはニカっと笑う。

 

 「続きまして、終始不調なチーム〈植物使い〉の皆さんはここ迄です」


 「まさかスイーツに負けるとは思わなかった。スイーツは好きだけど、もうみたくない」


 敗者へ向けられた言葉に、唇を噛む。


 「久々にお腹が満たされたです。ありがとうです。仲良くしてです」


 「あんなんで満たされるなんてね。勿論、良いわよ」


ーーーお互いに言葉を交わす。


 友情が芽生えたところで、握手を交わす。


 それに合わせて他のメンバーも握手を交わす。


 こうしてBブロック四日目の午後の試合は終わりを向かえた。


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