100話 混種多族《ハーフ・エヴェン》
午後の試合はAブロックがチーム〈蟻地獄〉VSチーム〈旅人〉は六対零で蟻地獄が勝利を納めた。
Bブロックのチーム〈鳩族《〉VSチーム〈航海〉は四対零で鳩族が勝利。
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翌日の朝。
ヒョウガが目覚めると、何時もの通り隣ではリーフが全裸で寝ていた。
彼が起き上がって少しすると、幼女も目を覚ます。
「ふぁーあ。ヒョウガ、おはようなのじゃ」
「ああ、おはよう」
目覚めたリーフは大きく伸びをすると、すぐ傍に居たヒョウガへ挨拶をする。
ヒョウガも挨拶を返すと。
パジャマに着替えた所で、一人のメイドーーーロコが入ってきて。
「おはようございます。ご主人様、お嬢様」
「おはよう」
「おはようなのじゃ」
ロコと挨拶を交わすと。
「朝食をお持ちしますね」
と言うや否や、部屋を一端出ていく。
そして少しして二人分のバケットを持って戻ってきて…
テーブルに置くと、そのまま部屋を出ていく。
早速テーブルの方へと向かう。
本日の朝食は焼きたてふわふわのパンだ。
バケットの中身は、クリームパン、メロンパン、ローネルティーのパン、デニッシュ、クロワッサンだ。
ヒョウガは先ず、ローネルティーのパンを手に取り、口に運ぶ。
続いてクリームパン、クロワッサン、メロンパン、デニッシュの順にどんどん食べていく。
リーフの方は、デニッシュ、クロワッサン、メロンパン、クリームパン、ローネルティーのパンの順に食べていった。
「ふぅ~。食べた食べた。もうお腹一杯なのじゃ」
「ふぅ~。俺もお腹一杯だ。美味しいとは言え、もう何も食えんぞ」
ーーー空腹を満たされた二人。
少し経てから、リーフは部屋へと戻る。
ーーー俺も歯磨きを済まし、カナミ達の部屋へ向かう。
「今日は何しようか?」
と言うカナミの問い掛けに、部屋へ入ってきたヒョウガは。
「ん…!? そうだな。今日は海底楽園都市とメイドのチームの試合かあるから、そっち見に行こうと思ってるんだが」
「い、良いわね、それ! どれ位強いか見るチャンスじゃない」
「そうしよっか」
「アタシもみたいですの! もし当たった時の参考にも」
「アミリやアーティナさんの言う通りです」
「ウチも良いよー」
誰としてヒョウガの提案に難色を示すものは現れず、試合見学に。
試合時間が近付くと、コロシアムへと向かう。
コロシアムに入り、客席のなかでも最前列を選ぶ。
席に座り数分後に試合が開始された。
「では唯今より、チーム〈混種多族〉VSチーム〈成り上がり〉の試合を開始します」
海底王の従者が、開幕の合図を出す。
「宜しくお願いします」
「宜しく」
リーダー同士が握手を交わす。
後のメンバーもそれぞれが相手と握手を交わす。
「武装展開!!」
「武装展開」
両チームが一斉に武装を展開する。
「それじゃ、予定通りに動く」
亜人の少女ーーーグレナが仲間に合図を送る。
「向こうから仕掛けてくるから、気を付けて」
『任せてください。どれだけ苦労して上がってきたか、見せてやりしょう』
『了解! 攻撃を避け続ける』
『このまま近くにいても危険だし、二手に別れよう』
『その方が良いねぇ』
『では決まりだ』
攻めてくる敵へ、注意を払うよう言うリーダーの少女ーーーエレンヌ。
エレンヌの発言を聞いて、それぞれが意気込む。
そんな中二手に分かれるよう提案したのは、金髪に翠色の瞳を持つ精霊使いの少女ーーーリアナ。
それに連れて相手も二手に分かれた。
「グレナ。わたしから仕掛けても良い?」
『よし、行け』
リーダーの許可が下り、最初に仕掛けたのは、エルフの少女ーーーリネル。
「手始めにこれで行こ。
武装魔弓術〈一発必中〉」
弓を引く。
ーーーすると矢がリネルの手から放たれた。
放たれた矢は、離れた距離にいる所迄も届く。
この矢は、当たるまで飛び回り続ける技だ。
ーーーだから。
「ぐぁ"ぁ"…」
必死で避け続けていた少女が、とうとう攻撃を食らってしまう。
刺さった腹部から血が滲み出す。
「次はこっちの番です。
〈ニードル〉」
唱えたエレンヌは、魔力で作り出した針を撃ち出す。
それをハーフドワーフの少女ーーーオーディンか邪魔する。
「能力〈巨大な壁〉」
虚空から巨大な壁を作り出す。
その壁は、迫る針を弾き飛ばした。
分かれたもう一方は。
攻撃に入ろうとした少女より先に、素早く移動してきたオークの少女が、技を発動。
「〈雷鳴〉」
突如ーーー右手に持つ金槌に、天空から雷鳴が降り注ぐ。
目線の合った赤毛の少女へ、真上から振り落とす。
「〈神秘の守り〉」
迫る金槌を前に、赤毛の少女ーーーミラが技を発動。
神秘的な光が、少女の周りを覆う。
その光により、雷鳴を防ぐ。
「やりますね」
「まだまだ」
短く言葉を交わすしていた。
「それじゃあ、私も行くね~。
〈エネルギーボルト」
暗がかった銀髪にに、黒い羽織をした美少女ーーーレイラが仕掛けた。
魔力を交換し、相手に向け気をぶつける。
「…そんなんじゃ···ん~効かない。
槍術〈槍返し〉」
ぶつけられそうな小柄の亜人の少女ーーーアニエスが、技を発動。
ぶつけられそうになった倍の威力で、相手に返す。
「ごあっ…痛い痛い、痛い」
「言った…そんなんじゃ効かないって…」
自分の攻撃を食らい、体に痛みが走る。
そんな彼女へ、アニエスがもう一度だけ言った。




