表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
4章 激動の交武祭典篇
120/152

99話 踊らされただけの魚

とうとう二人になってしまった。

有り得るだろうか。

 自分達に有利にしたにも拘らず、手も足も出せないのだから。


 そう、これはもう文字通り、音が魚を蹂躙していると言わざるを得ない。


 「糞。二人だけになっちまったか」


「詰んだゲソ」


「まだやれる」


 最悪な状況を前に、二人は焦り出す。


 「海底の力だ、あれを使うしかない」


「了解ゲソ」


頷き合うと。


「力ーーー海底」


「力ーーー深海」


 パディンの身体中を、海底の力が覆い尽くす。

スミスもまた身体中を深海の力で覆い尽くす。


 そしてーーー相手目掛けて駆け出す。


 迫る二人に、リサニーが仕掛けた。


「〈魂の響き〉」


 太鼓を叩いた少女が、魂の響きを鳴り響かすがーーー


今の二人には通じない。


「何!?」


 驚くリサニーに、二人は近付く。


 纏う力で二人は、少女を狙う。


 「ぐあっ…! 痛い痛い痛い。何て強さなんでしょう」


 攻撃を食らった少女は、今度こそダメージを食らう。


「皆さん気を付けてください」


『分かりました。そうしよう』


 『相手がどこ迄力が持つか分からないけど、耐えちゃうよ』


『油断しなければ勝てますね』


『それでは行きましょ』


 五人が連絡を取り合った直後ーーー


「海底極技〈海底の侵食(スーマランエロジオン)〉」


「深海秘技〈深海の(メープロフォンド)悪魔(ディアーブル)〉」


 サロとリサニーをパディンが相手する。


 突如周囲を覆う水が一点に集中した。

 一点に集中した水が、二人の身体を侵食していく。


 残りの三人は、スミスが相手していた。


彼女も技を発動した。


 虚空から突如ーーー深海の悪魔を出現させ…


 深海の悪魔は、禍々しさを醸し出し、鋭い牙と顎を持つ。目も恐ろしく、正に文字通りの怪物と言っても過言ではない。


その怪物が三人を襲う。


 「ぐぁぁぁっ…」


 「ぐぁっ…」


「ぐぅっ…」


 「ぐぁ"ぁ"…」

 

「…っ! ここ迄やるとは…」


 五人それぞれが二人の攻撃で致命傷を負う。


「これで逆転出来そうだ」


「そうゲソね」


 と逆転の兆しが見えたかに見えたが。


 「では! はあ、皆さん。行きましょう」


コロンの指示を受けると。


「力、音楽の神ーーーイヒ」


 「力、音楽の神ーーーエウニルベー」


 「力、音楽の神ーーーミューズ」


 「力、調和の女神ーーーハルモニア」


 「力、音楽の神ーーーアポロン」


 コロンがアポロンの力を身に纏う。


 ルシアはミューズの力を身に纏う。


ルツはイヒの力を身に纏う。


 リサニーがハルモニアの力を身に纏う


 最後にサロがエウニルベーの力を身に纏った。


 「では、私とルシアさん、ルツさんで鮫を! 後のサロさんとリサニーさんで烏賊をお願いします」


『了解! じゃあ行くね』


『任せて! 行きますね』


『これで決めよう』


『演奏もこれで終わりですね』


リーダーの指示で動き出す。


 「今度こそヤバいゲソ。兎に角ヤバいとしか言えないもの纏ってるゲソ」


 『確かに不味いな。神々しさが半端ない』


 二人は負けることに気付きつつある。


 (そもそも)逆転の兆し何て一度もなかったと言うことを。



「〈太陽神の演奏〉」


「〈神祇歌〉」


「〈神曲〉」


 コロンがアポロンの演奏をする。


 ルシアがギターを弾きながら神祇歌を歌う。


ルツが神曲を鳴らす。


三つの攻撃がパディンを襲う。


 技を発動する時間すらも、彼には与えなれてない。


 「あがっ…げほっ….ごほっ…! 何て、いりょくだ…これ…が音楽の…力だと……」


 身体中を蝕まれた彼は、力無くその場に倒れ込んだ。


 

 「さて、こちらも決めますね。

    〈降神曲〉」


「〈魂神の響〉」


 ーーーティアが降神曲を奏でる。


 リサニーが太鼓を叩いて、神の魂を鳴り響かす。


 止めの二撃が最後の一人へ放たれた。


 ーーー避けることなど出来ない。


 「ぐほっ…! げほっ! ごほっ…! 何て、破壊力のある技ゲソ…脳が…響いて……るゲソ」


 真っ正面から攻撃を食らい、スミスの身体が破壊されていく。


 破壊は軈て脳にまで達し、その場にぐったりと倒れ込んだ。


こうして試合は終わりを迎えた。


 『チーム〈鳴物師〉の皆さんも出てきてください』


 海底王の従者のアナウンスでコロン達は降りていく。


 試合が終わりステージの中心にいる従者の人と向かいって並ぶ。


 「では、改めまして! 勝者はチーム〈鳴物師〉です。おめでとうございます」


 「有り難うございます。まさか勝てるとは思いませんでした」


 従者の勝利の言葉に、コロンは薄く微笑んでそう返す。


 「続きまして! 圧倒的な力負けをしてしまったチーム〈魚人〉はここで敗退となります 」


 「ここ迄ボコボコにされるとは思わなかったサメ。けど、今の実力が知れて良かったサメ」


敗者へそう告げると。


 シャークは心境を口にし、更には。


「次の試合も頑張ってサメ」


 「有り難うございます。とても熱い試合でした」


 「こちらこそ為に成る試合が出来て良かった。楽しい試合だったサメ」


 そう言って彼は右手を出し、釣られるように少女も右手を出す。

 

ーーー握手を交わす。


 他のメンバーもそれぞれが相手と握手を交わす。


 こうして三日目のBブロック一回戦目は終わりを迎えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ