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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
4章 激動の交武祭典篇
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91話 秘宝争奪戦〈決着〉

ヒョウガ達の戦いは。


「んじゃあ、俺も行くぞ!」


 「良いぜい! 楽しませてくれ」


 ヒョウガのの言葉を汲んだフェンネルは、「アオーーーン」と遠吠えをしたのも束の間ーーー


 鳩族のミカドの元へ、一本の連絡が入る。

 その相手はチームメイトから。


 『ポッポっポッ。そうかそうか。分かったポン。ふむふむ、分かったポン』


 『それで今何処に居るポポ?』


 『遺跡だポン。探し物して』


 『へーそうなんだ。じゃあね』


 プツリッ、と音を立てて通信機を切ってから。


 「一戦目が終わったようだポン。それで用事が出来たポッポ」


「それでどうする?」


 「秘宝は欲しいさね。けど仕方ない」


 聞いた内容を話すミカドへ、女は尋ねてきて。


 その様子に、他の仲間も動きが止む。


 「運が良かったと思うだポン。今回は諦めるが次は秘宝(そいつ)を頂くポン。力ずくでも」


 そう男が宣戦布告すると、仲間と共にこの場から立ち去る。


 そして残された彼らの間に、長い黙りの中最初に破ったのは。


 「な、何だか分からないんだけど、そんだどうなるわけ?」

 

 過ぎ去った大嵐に対し、アミリはそう聞く。


すると。


 「結果はともあれ、俺達のものになるんだよな?」


 「━━━ああ、約束は約束だ。確り守ろう」


 ーーー決着が着かぬまま戦いにも拘わらず、約束は守るって貰えるらしい。


ーーーそして、


「んじゃあ、ーーー汝、現在(いま)この時より、我と永劫の契約を結び、我の片腕となれ」


 「良かろう。死迄の長旅を共にしよう。我が主よ」


 誓いを交わすヒョウガと槍。

 お互いが誓いを述べたところで、槍は武装解除して空いた右手に移動し。


こうして武器を入手。


 「それで、リーフちゃん達の試合はどうなったの?」


 「一寸待ってですの! アタシの小型映転写器で見てみるですの」


 

 と言うことでヒョウガ達は、映し出された映像を覗き込む。


 数分間の間、誰として口を開くものはおらず。

 ただ聞こえてくるのは、六人の息遣いのみ。


 そこから一分も経たぬ内に、一人が唇を震わせ…


「嘘!?何今の技? これだけで全滅させるなんて…」


 「サン・ヴィアンツ。古代ベルソーユ語です。意味は」


 「血が貴方を拒むだったよな! 血に拒まれてリーフ達は負けたんだ」


 「そ、そうね! あの二人以外は弱いけどね」


 「あんな反則級の技を使うなんてズルいよー」


 アーティナを除く五人は、画面内で起きている異様に、圧倒されてしまい。


 何故アーティナだけ言葉を発さないかと言うと、言葉を失っていたから。 


 そうーーーそれだけの衝撃を、彼はは与えたのだ。


 「そろそろホテルに戻るぞ!」


 声を掛けたヒョウガに、それぞれが頷き返すし、一行は遺跡にそとへ。


 遺跡を出ると彼らは、来た道を辿ってホテルへと戻っていく。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


話は数分前に遡る。


 場所ーーー海底楽園都市内にある、丘の上に佇む小屋。

 扉の前には、二体の悪魔が見張りをしていて。


 「ほほほ、先日の件は上手くやったのう。それにしてもよく知ってたのう!? この都市にあると言う秘宝のことを」  


 「当然ですよ。何せ秘かに聞き出していた。まあ、そのお陰で面白いもの迄釣れてしまいましたけど」


 真っ白な老夫ーーーリュードが、目の前で紅茶を啜るヒョウガの従兄妹ーーーレクトの功績を称える。


 そこで疑問を抱いたリュードへ、レクトはそう答えて。


 ーーー上手く仕込めた。計画通りに進みそう。


と彼は内心でそう思う。


 「それにしても、あの人も人が悪いよね♪ あんな粗大塵何て消せなんてさ♪」


 「儂の可愛い孫同然の子に強請(ねだ)られたら、断りきれないからのう」


 老夫の隣に座る孫の一人ーーーネチスィアがゆらゆら左右に揺れ、薄笑いを浮かべ、死んだ男を粗大塵扱い。


 「それよりも兄が、あの秘宝を手に入れたようです」


「それは面白そうさね」


 「そうだっけな。何時かお手合わせ願いたい」


 「無理なことは言わないでね♪ そんなこと出来ないから」


 レクトの報告を聞き、リュードの孫の双子が、顔を見合わせて歓喜する。


 「こっからもっと面白くなるのう」


 「それは(さぞ)かし面白いんだろうね♪」


 「この紅茶の様に甘くて、香り豊かな結果になると良いね」


 姉がクッキーを摘まみ、口に運ぶ。


 その隣に座る弟ーーーマルが、カップを揺らして香りを楽しむ。

 そして彼は独特な言い回しでをすると。


 「今は彼らに平和な時間を過ごさせよう。今だは。近々決行するその時迄」


 ーーー近々決行するその時迄が近付きつつあることを、ヒョウガ達は知るよしもない。


━━━━━━━━━━━━━


 ヒョウガ達が選手ホテルへ着くと、時刻は午後四時を回っていた。


 部屋の扉を開けたヒョウガは、部屋の隅で縮こまるリーフに気付くと。


そっと幼女に近付く。

 

「試合映像みたぞ!  何て言うか…最後のあれはセコいな!」


「・・・・」


 そして優しい声音で話し始め…


「リーフは凄く頑張ったぞ! うん、頑張った。残り二人に迄減らせたんだから、それだけで凄いと思うぞ! 俺は」

 

「・・・」


 「成長したな、前よりは泣かなくなったし! 偉いぞ!」


「・・・」


 二度の慰めの声をかけるも、一向に返事が返ってこない。


 気付くと二人の距離はほぼ無い。

 ──そう、目と鼻先が触れ合う程に。


 「一回戦で負けちゃった、から。こんな弱い妾なんてヒョウガやアミリ達に嫌われるのじゃ。本当は皆のことも大好きなのじゃ。だから顔向け出来ない」


「なんだ、そう言うことだったのか。別にそんなんで嫌いになんてならないぞ! 俺もカナミ達もな」

「それに本気で顔向け出来ないなら、俺の部屋(ここ)には来ないと思うぞ! 何故来たか? どうせ慰めて貰いたかったんだろ」


 泣きべそを掻くリーフへ、正鵠を射る。

 

ーーーそして幼女は。


「それはホントなのじゃ? 確かに···そうなのじゃ?」

 

 「ああ、本当だ」


 行動の矛盾に気付き、自分の本意に気付く。


 ーーーそれから俺はリーフの頭を撫で始め。


 優しい手付きで撫でている内に、気持ちよさそうに目を細めてからか。

 先迄の落ち込んだ表情が霽れ、今では満面の笑顔を浮かべていた。



 「ほら、リーフには笑顔が一番似合う! 凄く可愛いぞ!」


 「エヘヘ。そう言われると照れるのじゃ」


 「そうだよな(笑) それにしても、明後日の試合楽しみだぞ!」


 「何か秘策があるのじゃか?」


 ストレートなヒョウガの誉め言葉に、頬を赤らめて照れてしまう。


 そして話題を変え、明後日の試合の話に。


 食い付いてきたリーフへ不適な笑みを浮かべ、


 「事前情報にはない、取って置きがあるんだぞ!」


 「何時のまにてに入れたのじゃ、詳しく知りたい」


 「んや、当日のお楽しみだ! 今日手に入れた。それ以上は言わない」


 隠し玉があると言うヒョウガに、詳しく聞こうとしたリーフへ言うつもりはないらしい。


 それから食事の時間になり、カナミ達と共に祝宴場へ向かい。


そこで食事を済ませ…


 部屋に戻ると少ししてからお風呂へ向かう。


 二、三十分程して部屋へ戻ってくるとすぐに、歯磨きを済ます。


 それからカナミ達の部屋へ挨拶に向かい。


 コンコンと、ドアをノックしてから、ドアノブに手を掛けてドアを開く。


「んじゃあ、俺は寝るわ!」


 「うん、それじゃあお休み! 今日は疲れたし、ゆっくり休んでね」 


「お、お休みなさい!」


「お休まないですの!」


「お休みなさい」


「お休みだよー」


 彼がお休みの挨拶をすると、彼女達がお休みを返す。


 そして彼は寝る準備をして、横になり、間も無くして眠りに就く。


 カナミ達も歩き回って、戦って疲れたこともあり直ぐに寝る準備をして眠りに就く。


 こうして一日は終わりを向かえた。


 ーーー本日の他の試合結果は、前半のAブロックはチーム〈氷炎の虎(パーゴローガティグリ)〉VSチーム〈明石〉は、氷炎の虎が二ー零で破り勝利。


午後の試合は、Aブロックがチーム〈葬能者(カパポルター)〉VSチーム〈錬金(アルシミー)〉は、葬能者が一ー零で勝利。Bブロックはチーム〈睡眠亭(ソメイユパヴィリオン)〉VSチーム〈煌星(エトワブリッランテ)〉は、睡眠亭が四―零で勝利した。

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