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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
4章 激動の交武祭典篇
111/152

90話 《サン・ヴィアンツ》

丁度その頃。遺跡の方は。


 狼族の少女―――アセナが、「アオ―――ン」と遠吠えすると。


アミリ目掛けて駆け出す。


 透かさずアミリは、銃口を動くアセナへ向け、引き金を引く。


 「こ、これでも食らいなさい! 

    武装魔銃術〈光彩の弾〉!」


―――バンバン。


 放たれた弾は、強烈で鮮やかに輝く光の弾だ。


 その目映い光に、思わず彼女は視力を奪われてしまい。

それが機となり、一ミリたりともずれること無く、アセナの元へと飛んでいく。


 「ぐあっ……痛い、痛い。でも、まだまだじょ」


 銃弾が貫通し、血が勢いよく吹き出す。


 しかし彼女は、平気らしく。


 「フェンネル。一緒に行くじょ」


「おお、分かったぜい」


 何時の間にか、アセナの隣に現れたフェンネルと合図を送り合うと。


「「狼二重戦術〈二重爪の斬雨(ルナゲーラ・プリュー)〉」」


 丸で見えない階段があるかの如く、二人は息ピッタリに上っていく。

 そして天辺に着くや否や、二人は同時に呪文を唱える。


 すると鋭い二つの爪が、細かな雨のように、三人を襲う。


 「ぐああぁ……痛い、痛い。何て技だ!?」


 「ぐあっ……痛い、痛い。つ、強い技ね!」


 「あがっ……痛い、痛い。いたいよー。強いよー」


 三人は攻撃を防げず、ズタズタと身体中を切り裂かれてしまう。


 「セナとフェンネルの組み合わせは最強だじょ」


 「勝てると思うんじゃないぜい」


 と二人は自信満々に言い切った。


 そしてもう一度アミリは、銃口をアセナへ向け、引き金を引く。


「も、もう一回行くわよ!

        武装魔銃術〈水神の弾〉」


―――バンバン。


 放たれた弾は水の神の弾だ。


 一ミリたりともずれること無く、少女の元へと飛んでいく。


「狼術〈共鳴〉!」


 ―――しかし寸前で、アセナが技を発動する。


 音の振動により、弾を真っ二つに切り裂かれてしまい。


 ―――こ、こんな技持ち合わせてるなんて…本当に強いわね! 


 軽く受け止められた少女は、強く唇を噛む。


アーティナの方は。


 次々と人形を増やしていくマリーは、瞬間移動してきたアーティナを襲わす。


 目と鼻の先と言うことあって、避けることが出来ない。


 諸に食らった少女は、身体中を激痛が襲い。


 「ぐあ"あ"……痛い、痛いですの」


 激痛に襲われたアーティナが、仕掛ける。


「武装魔術〈黄金一剣〉」


 神々しい輝きが突如照らしつけた。


 その神々しい剣で、人形を次々と斬っていく。


 タイミングを見計らった少女は、新しい人形を作り出す。


そして少女はもう一―――否、違う。

 マリーのゼロ距離へ移動すると、技を発動。


 「武装魔術〈究極の光魔一剣〉」


 燐光する光が、突如照らしつけられた。

 その光には、彼女の全てが籠っている。

 その燐光を発する光が、光魔剣に降り注ぐ。

 渾身の一撃で、少女へと斬りかかった。


 内臓を抉り、更に腹部や肺尖をも抉られてしまい。

 口端から血が流れだし、更に喀血してしまう。


 「ゴホッ……ゲホゲホ。ゲフッ…何て技なの……もうダメ」


 バタン、その場に倒れ混む。


カナミの戦いは。


「武装想像〈業火の騎士(イグニスエクエス)〉」


 突如カナミの目の前に業火を纏った騎士が出現。

 その騎士は右手に持つ業火の剣で、鳩族と、少女を斬りつけた。

 

「〈火の壁〉」


 少女は地面から火の壁を作り出す。

 しかしその壁など無いかの如く、破られてしまう。


 破られてしまい、二人は躯ごと吹き飛ばされ、今度こそ業火の剣で斬られた。


 斬られた二人の躯を、熱さと痛みが襲う。

 

 「ぐああぁっ~」

 

 「ゴアっ… 」


 鳩族の男は、自身と少女を治癒する。


ミューフィの戦いは。


 「もう一度行きます。

       催鳥魔術〈鶴の羽毛狩り〉」


 魔笛を吹いたミューフィの前に、一羽の鶴が弧を描くように飛んでくると。

 

 ミカドへと突っ込んで行く。

 突っ込んだ鶴が、自身の羽を鋭い凶器へ変えた。


 羽を凶器に変えると、鶴は彼を狩立てーーー


それを見たミカドが。


ーーー何て言うことだ!?


 みるみる内に亀裂が入ったかと思えば、甲が剥がれ落ち。


そして、


 「ぐあっ……ポッポっポッ。中々やるポン。お見事だポン」


 「そう言われても嬉しくありません。敵ですので」


 攻撃を食らった彼は、素直に褒めてやるが、敵の言葉には耳を傾けなかった。


話はまたリーフ達の試合へと戻る。


 四体の人形を操るアレッタへ、ガヴェールが技を発動。


「行くぜ!

    妖魔想像〈蛇女〉」


 彼の目の前に出現させたのは、髪が蛇の女だ。


 その女によって、四体の人形が次々と石化していく。 


「中々やるナリ!?」


「妖魔想像〈吸血鬼〉!!」


 少女の言葉に耳を傾けず、ガヴェールが技を発動。


 鋭い牙にマントを纏った、言葉通りの吸血鬼を出現させ、アレッタの首を噛む。


「ぐぅぅ…」


 と襲われた少女が、どんどん吸血鬼化していく。


 完全に吸血鬼なったところで、太陽の光を浴び、塵と化して消えていく。


残り三人。


 リーフは人形達切り裂き、ザクが呪銃で人形を撃ち抜いていく。ライディスも植物で敵を潰す。


「妾の食らうのじゃ。

         能力〈破壊状態〉」


 幼女の能力で、ハリスの脳や身体を破壊しようとしているのを。


「人形術〈人気空間・零〉」


岩がどんどんと重なっていき ―――巨大な人形へと変化するや否や、その中へと放り込む。


 コロネが入った空間とは違い、人形一つ無い空間だ。


「それじゃあ、僕も行くよ

     植物操杖術〈雷光の植物園(エクレールジャルダン)〉」


杖を地面に突くライディス。

 すると少女ーーーリタの周りを植物園へと変えた。


 そして少女の周りの植物が、一斉に雷光を発し始めて。


 出現させていた人形三体が感電してしまう。

 ーーービリビリと言う生温い音ではない。


 「ぐああぁ…痛い、痛い。何て威力エル」


「これで決めるぜ! 

  妖魔想像〈閻魔大王〉ッ」


 ガヴェールは地獄の王を出現させると、リタへ襲い掛かっていく。

 

 防ぐことも出来ず攻撃を食らい、リタは口端から血が垂れ、更に大量の血を彼方此方から流す。


「ぐあ"あ"~。ゲホゲホゲ……フッ…何て強い技エル!? ここで…終わるなんて…後は任せた…」


力尽きた少女は。


バタン、その場に倒れ込む。


―――そろそろ終わらせよう。


 そう意味深げに心中で言うと。


―――三.二.一.零.


カウントが零になると。


「〈サン・ヴィアンツ〉」


そう唱えて―――


 「何だったのじゃ? 今のは??」


「何でしょうね?」


 「ガヴェール、僕なんだか…」


 「ライディスもか。オレもだぜ…」


 「二人して…マジか。どうなっとるんや」


「血がない」


 四人揃って血がないと言った直後。彼らから文字通り血が抜け落ちていった。

 遅れて四人は崩れ落ちていく。

 残りの二人も後を追うようにして、血が抜け落ちて、崩れ落ちて行く。


 人形遣い二人残して、後は誰もいなくなった。


試合終了だ。


「それでは出よう」


「そうさね」


 そう言って安全防御壁の外へ出た。


 外へ出ると既に他の人たちは並んでおり、急いで二人も並ぶ。


 「では、見事激戦を制したのは、チーム〈人形繰操〉でした。おめでとうございます」


 「ありがとう。中々言い試合だったと思うの。相手のチームも思いの外強かったし」


 海底王の従者の男が、勝者を称えると少女は嬉しそうに言う。


 「そして残念ながら、最後にうっちゃりを食ってしまった、チーム〈魅破〉の皆さんは敗退となります」


 「ぐずぐず。あんなのなしなのじゃ。ズルなのじゃ。もう少しで勝てると思ったのに…けど、ありがとうなのじゃ」


 続いて敗者へ平然と言い放つ。


 涙ぐむリーフは、負け惜しみを口にする。

 そして彼の言葉に、お礼を言う。


 然り気無く手を差し出す幼女に、少女はその手を握り握手を交わす。

 遅れるように他のメンバーも握手を交わす。


 すると試合の模様を映していたカメラが、ピタリと止まり、Bブロックの一回戦は終わりを迎えた。


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