88話 秘宝を巡る戦い
リーフ達の試合はというと。
ーーー人形の中に閉じ込められたコロネは、少しずつ理解していった。
そして彼女は、襲いかかってくる人形をまた斬り倒す。
疲れが溜まってきたコロネが、壁の至近距離へ移動し、強烈な斬りを食らわす。
すると見る見るうちに人形は縮んで行く。私はその隙に脱出した。
そこで彼女が目にしたのはーーー
リーフとエボットの二人が、ガヴェールとライディス、ザクと戦っていた。
ーーーどう言うことでしょうか?
とコロネが疑問を抱くのも当然だろう。
本能的に危険を感知した彼女は、振り向かない。
振り向かずに、着けようとしていた糸を切り裂く。
「あなたの仕業ですね? その糸で」
「ふーん、気付いたんだ~。それにしても中々やるね~。こんな早く人形から出てくるなんて」
そっと振り返るとそこにいたのは小柄な少女、ノエルだ。
ノエルの指先には、切断された糸切れが残っていた。
コロネに問い質されて、淡白と認めて驚く。
ーーーそして試合は佳境へと入っていく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
遺跡の奥にそれはあり。
何者かの侵入に気付くと、それは。
「手応えのある奴らなら良いが…あまりにここを訪れる者が弱すぎて無聊してたから。責めて渡り合えずとも良いから、楽しめる輩が良い」
等と人の気配を察知して耽っていると、遺跡の奥へ彼らは入ってきた。
ーーーーーーーーーーーーー
彼らを待ち受けていたのは、この場に尤も似つかぬ水溜。
それとーーー水溜に突き刺さる一本の槍。
その異様さから、彼らはそれがただの槍ではないのだと、瞬間的に気付く。
「も、もしかして、これが秘宝かしら?」
とアミリが呟いたのも束の間ーーー何処からか声が聞こえてくる。
『秘宝か。謂われ慣れてる。ただでくれてやるつもりはない。力ずくで奪って見せよ』
何処からともなく聞こえてくる声に対し。
    
「ん…!? 今の声って、まさかなんだがその槍からか?」
『その通りだ。戦って力ずくで奪いに来な』
秘宝はそう簡単には渡してくれないらしい。
「それじゃあ、力ずくで手に入れるですの!」
「そうだね! やろっか」
「ーーーちょっと待ってもらおうか」
闘志を燃やすアーティナ達の前に、第三者が広間の入口から現れた。
「その秘宝を手にするのは私らだ」
「ポッポッポッ。戦って奪い取る」
「ん…!? お前達は一体何者だ?」
謎の女ーーー否、少女が槍を指して宣戦布告をすると。
闘志を燃やす鳩族の男が、ジェスチャーを交えて伝える。
ーーー見てくれから推測すると、鳩族の男が二人と狼族が二人、人が三人だろうか。
「名乗るほどのものじゃない」
「まあ、今日んとこは、別に良いぞ!」
『詰まらぬことで時間を使いおって! いい加減待ち草臥れてた。やる気が失せたんだが。もうどっちか勝った方にくれてやろう』
痺れを切らせた槍は、ゆっくりと水面から文字通り、抜け出てきた。
咄嗟に見構えた二人へそう言い放つ。
少しの沈黙を破るようにして、槍は口を開いてから。
『無論この中には、目には見えぬバリアが張り巡らしておる。だから存分に戦いたまえ』
槍の発言を聞いた二人は。
「んじゃあ、始めるか!」
「さあ、行こうか!」
こうして秘宝を懸けた戦いが幕を切手下ろされた。




