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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
4章 激動の交武祭典篇
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86話 秘宝の噂

次の日。


 何時と同様、ヒョウガが目を覚ますと、隣には全裸のリーフが暖かい毛布に(くる)まって気持ち良さそうに眠っていたから。


「おい、リーフ。朝だぞ!」


「はああぁ~。おはようなのじゃ」


 彼が大きく幼女の体を揺すったことで、ゆっくりと目を覚ます。


そして挨拶を済ませ、リーフは浴衣に着替える。



 「そう言えば、今日試合だったな?」 


 「そうなのじゃよ。まあ、余裕なのじゃ」


「どんな相手だ?」


 「え~と、チーム<人形繰操>って言う、人形遣いのチームなのじゃ」


 それを聞いた途端、昨夕に見た資料のチームだと理解して。


「その相手には気を付けろ」


 「え? 何でそこまで気懸そうにしてるのじゃ?」


 「人形遣いは有りとあらゆるものを人形に変えれる。それも強さは俺とリーフに匹敵するとか、何とか…。奴等は人間も人形に変えれるんだぞ」



 注意を払わすヒョウガに対し、幼女は何故そこまで彼が言うのか理解できない。

思わず、キョトンとしてしまう。 


 だから彼が、その理由を伝えると。


 「ヒョウガ。妾はなんとしても勝ってくるのじゃ。こんなところで負けてたら、ヒョウガや皆に見せる顔がないのじゃ。だから絶対勝ってくるのじゃ」


とリーフは気概を示す。


 それを聞いたヒョウガは、不適な笑みを浮かべ。


 「その意気込みだぞ! お前なら勝てると信じてるぞ!」


「うん」



 幼女へ思いを伝えると、幼女は幼女は無邪気に笑う。


 そして朝食の時間となり、部屋に運ばれてきたパンを頬張ると、歯磨きを済ませて、 着替えてからカナミ達の部屋へ向かい。


 「あ、ヒョウガ。明後日が本番だし、特訓しよっか」


「ん…。ああ、そうだな」


 特訓しようと可否を問うカナミに、全員が賛成したから、早速部屋を出た。


 エレベーターが丁度来て、そこから何処かの代表チームが降りてきた。

 そのチームと擦れ違い際に、会話の一部始終が聞こえてきてしまい。


 「何処にあるんだろうね! この都市の秘宝」


 「さあ? 都市中を駆け巡ったら、見付かるかもね」


「秘宝欲しい。今日が試合じゃなければ行けたのに…」


 ーーー誰から聞いたのだろう。


 秘宝の在処を尋ねてくる少女。

 仲間の一人が首を横に振ってそう言う。


 目を輝かせていた少女は、不満を漏らす。


ーーーん? 秘宝だと!?


 時間にして数十秒ほどの会話にも拘らず、ヒョウガを釘付けにしてしまう。


 その女子達が部屋へ戻っていくのを確かめると。


「聞いたか? 今の会話」


 「べ、別に聞きたかった訳じゃないわよ! ただ耳が勝手に反応しただけ」


 「明後日が試合だから、駄目だよ!」


 「だけど、今の話が気になるですの」


「でしたら、どうするか皆で決めましょう」


 先に口を開いたヒョウガがそう聞くと、周り#諄__くど__#い言い方でアミリがそう口にする。


 見透かしたカナミガが止めに入るも、アーティナまでも興味を持った為、ミューフィが可否を問う。


四対二で秘宝探しをすることに。


「・・・」


 その様子を、息を噛み殺してみていた女は、通信機で仲間に連絡を入れ、


 「ーーーそう簡単には、秘宝を手に入れはさせない」


そして女の狙いは。


「秘宝を手に入れるのは、こちらだから」


 と力強く拳を握りしめてそう言い放つ。



◇ ◇ ◇ ◇◇◇◇◇


 先ずヒョウガ達は、都市の入り口から隈無く探すがそう簡単には見付からず。

 後からやって来た女も同じように探すが当然の如く見付からず。


次に向かったのは、都市の中央部分。


 「こんなところにあるのでしょうか?」


 「以外と無さそうなところにあるかもしれないぞ」


 「た、確かにそう言うことあるわよね」


 と言って探し始めたが、一時間経っても見付からず、その時ーーー


ぐうーーー


 と可愛らしいお腹のおとが聞こえてきて。


ーーーあ!


 と、お腹の鳴ったアーティナが、あッとなってしまい。


「お腹空いたですの」


 「んじゃあ、ここら辺でお昼ご飯にするぞ!」


 「ウチは揚げ蛸が食べたいよー」


 「アタシは鉄板焼が食べたいですの」


 「それじゃあ、二手に分かれよっか」


 ヒョウガがそう提案すると、サラとアーティナが同時に食べたいものを言う。

 

 別々のお店のため、カナミがそう提案により、二手に分かれることに。


 揚げ蛸は、ヒョウガ、アミリ、サラ。鉄板焼はカナミ、アーティナ、ミューフィだ。


そしてお店に向かう。


 後を尾けて来た女も、同じく探し回るが見付からない。


 

 「何処にあるって言うんかいね? それよりもお腹空いたから、ご飯にする」


 『分かったポッポッポッ。では、ピレーダのお店で待ってるポッポッポッ』


通信機で連絡を取り合い、落ち合うらしい。


 ーーーピレーダとは、パン生地の上に、野菜やチキン、フルーツ、魚、茸等を乗せ、チーズを添えて焼き上げた料理。


 揚げ蛸のお店に向かったヒョウガ達は。


 揚げ蛸屋の前で、何にしようかと迷っていた。



「よし、決まったよー」


「わ、私も決まったわよ」


「俺もだ」


全員の注文が決まり、



 「おじさん、この味噌揚げ蛸一つと」


 「この焦がしバター揚げ蛸一つ」


「チ、チーズ揚げ蛸一つ」


 「あいよ。3つで千三百二十七ね」


 そうおじさんが言うと、三人が財布からお金を取り出す。

 払い終わると、少しの時間へ経て、それぞれの揚げ蛸が出来上がり、近くのテーブル付きの椅子に座る。


 「ふうふう。ん~ん。濃い味噌が青海苔と蛸がマッチしていて美味いぞ!」


 「ふうふう、ん~ん。と、とろーりと蕩けたチーズが口の中に広がっていって凄く美味しいわよ」


 「ふうふう、ん~ん。バターの甘さが蛸とマッチしていて美味しいよー」


 三人はそれぞれ味の感想を述べると。


ーーーん? 隣から視線が


 横目でチラリと見てみると、アミリがヒョウガの揚げ蛸を見ていた。


 「ん…? 一ついるか? その代わり俺も貰うぞ!」


 「べ、別に見てないわよ! けど、くれるなら貰ってあげるわよ!」


 「それじゃあ、ウチも貰うよー。その代わりこれ揚げる~」


 と言うことで三人はシェアし合う。


パクッ、


「ん~ん。確かにチーズ揚げ蛸も美味いな! こっちは… ん~ん。焦がしバターの方も美味いな 」


パクッ、


 「ん~ん。み、味噌と蛸の相性が凄く良くてそれに味が諄くなくて良いわね!」


パクッ、



「ん~ん。本当だー。これなら飽きないよー」


 シェアした揚げ蛸を食べ比べ、残りを食べ始めて。


あっという間にからになり、食べ終わる。

そして容器を近くのゴミ箱へ捨てた。


 それと同時刻、カナミたちの方は。


 鉄板焼のお店は思いの外混んでおり、並ぶこと何十分。

漸く入ることが出来ーーー。


 案内された奥の向かい合いの席に座り、待っ間に決めてあったお好み焼きを三人分頼む。


 ーーーこのお店は、店員が目の前に置かれた鉄板に材料を乗せて焼くスタイルだ。


 そして焼き上がってきたから。


「どうぞ!」


 と言ってから、店員は別の席へ向かう。


「それじゃあ、食べようか」


「戴くですの」


「戴きます」


 挨拶をし、三人はお皿に移されたお好み焼きを食べ始めて。


「ふうふう」


パクッ、


 「ん~ん。ホクホクしていて、美味しいですの!」



「ふうふう」


パクッ、


 「ん~ん。確かにホクホクで、焼き具合も完璧でももんじゃもソースたっぷりかかってて美味しいし」



「ふうふう」


パクッ、


 「んーん。凄くホクホクです。美味しいでさ。凄く ボリュームもあって良いです」


 三人は思い思いな感想を述べると。


 どんどん食べていくあっという間に間食する。そして水で口直しをし、紙ナフキンで口を拭いてレジに向かう。


 カナミとミューフィの分も、何も言わぬアーティナが二人分も払う。

レジを済ませて店を出てから。


 「ありがとね! 私も分まで払ってくれて」


 「アーティナ先輩、本当にありがとうございます。これを返さないと」


 「気にしなくて良いですの! ミューフィ、お礼入らないですの」


 少女へと二人がお礼を口にするも、手を左右に振って気にしてないと言う素振りを見せた。


 そしてヒョウガたちを探しにいく。


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