魔術とは
うえーい
家庭教師のヴィネの部屋に向かう
トントンドアをノックすると
「入ってー」と言われ扉を開ける
ヴィネは赤い髪が美しい眼鏡っていうのもポイントが高い
「今日もお願いします」
頭を下げると
「正直ユリウス君頭良すぎて教えることないんだけどw」
早熟なだけなんですけど……
「まあまあ自覚はあります」
と答えると
「やっと謙遜をやめたか」
実はこの会話はノックをして褒められるまでいつも通り、型どおりの会話なのだ
「あなたがしつこいので」
笑って皮肉を言う
「フフッだって貴族社会で謙遜は必ずしも正解ではないからね」
正直こういうことをさりげなく教えてくれるのもヴィネのいいところだ
俺はこちらに来てある程度日本の文化や知識を行動規範として採用している。しかたない前世の知識がある以上一から価値観を形成することができない。
しかしながらおかしいと思われている可能性があるでも貴族という性質上
教育係以外からはなにも言われないだからこうして価値観をこの世界に合わせてくれる人はありがたい
「それじゃあ始めましょうか、今日は水魔術の基礎をやりましょうか」
ヴィネに与えられた仕事は魔術教育ではない学院に入るまでの初頭一般教養であり算術歴史国語などだ
しかしながら正直そのたぐいの教育は俺には必要がない。算術は前世の知識があり、歴史や国語は本をよんでいる以上いらないのだ
だからヴィネにお願いして魔術の授業をしてもらっている。
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魔力とは本来人のうちに存在する生命エネルギーだといわれてる(諸説あり)。つまり見えない体の中に存在する見えない力のことなのだ。そしてこの見えない力、魔力は教育なしでは認識することすらできない。まあ正確には教育というのは”魔力流し”といわれるものだ、”魔力流し”は魔力を感じ取れるものが魔力を感じ取れないものに文字通り魔力を流して徐々に感じ取れるようにすることなのだ。
手をつなぎ少しずつ魔力を流すそうすると流された方は体に生暖かい血が流れているような感覚をつかむ、
これをまず思い通りに動かせるようにするのが魔術習得の第一歩だ。
魔力が生命エネルギーだといわれる一つの理由がこれをできるようになると身体能力が飛躍的に上がる。また魔力を部位に集中させることによってその部位を強靭にすることができる。殴るときは拳に蹴るときに足に集中させればその破壊力は倍増する。と魔力にできるのはここまであと魔力を特定の相手に放出して相手との力の差を見せつけるというまあいわゆる威嚇的な使い方もできるがそれは本来の使い方ではない。魔力とは魔術を行使するために存在するのだから
魔術とは魔力に命令式を与え、魔力を超常現象に変換すること。
でも正確には違う、魔術とは本来命令式そのもののことなのだ。
命令式を駆使し起きた超常現象は「奇跡」という。
しかし魔術が普及すると希少性が失われ、もう「奇跡」でもなんでもなくなってこの一連の動作を魔術と呼ばれるようになった。
魔力と魔術の関係は車似ている
魔力は燃料、魔術はエンジンなのだこの二つを使い「奇跡」という車を動かすのだ。
魔術にはルールがある
まず魔術の行使には基本的に3つの方法がある、魔法陣と詠唱とルーンだ。
この中で最もメジャーなのは詠唱魔術だ。精霊語を口に出し魔力を超常に変換する。
詠唱魔術の歴史は、魔法陣よりも歴史が浅い、四大精霊と会話することができた賢者によって体系化された魔術。
詠唱魔術は四大精霊の力を借りて行使する魔術よって詠唱魔術には個人と四大精霊の相性が欠かせない。
つまり才能である。魔術師はたいてい風土水火のどれか一つに才能が偏っており、その才能を一生をかけて伸ばす。まれに二つ持つものもいるがまれな存在であり、二つ持っているからと言って大成するとは限らないなぜなら普通の人間は一つの属性を一生をかけて追及する。よって二つの属性もちは常人の倍以上の努力と才能が必要なのだ。
ヴェン図で表すと二属性持ちの詠唱魔術師と人の2倍努力でき才覚溢れる人物の円が重なりあう本当に一部のモノだけが大成することができるのだ。この国でも二属性持ちの実力者は数十人しかいないらしい。
詠唱魔術の二つ目の特徴は魔力量によって威力が左右されるということ。初級の魔術でも大きさや威力を使う魔力量によって調整することができる。水の詠唱魔術の一つにמים. קח את זהというものがある。通常の魔術師の水の大きさは拳くらいの大きさだが、大魔術師が全力で使えば家ほどの大きさの水を高速で放つことができる。
詠唱魔術の最後の特徴は、イメージに左右されるということ。先ほどの初級魔術にも使い手によって形が違う貫けということから矢だったり槍だったり普通の球だったりその者が考えた形に変化するのだ。
結論をいうと詠唱魔術は精霊との相性、魔力量、イメージによって構成される魔術なのだ。
魔法陣というのは必要な情報を幾何学模様と惑星記号や12星座記号を書いて表すというものだ。
なぜ魔法陣がマイナーか、それはこの魔術の使い勝手の悪さにある。魔法陣を書くところからはじめるととても時間がかかる、しかも書いた魔法陣は正確でないと発動しない。
それに詠唱魔術より難解で自由度もない威力や形状も魔法陣どおりにしか発動しない。
これが一番魔法陣の大きな問題だが、書いた魔法陣の物質によって魔法回数制限があることだ。例えば植物紙なら一回、羊皮紙なら4回などと書いた物質によって何回使えるかが決まってしまっている。
もちろん詠唱魔術より優れている点もいくつかあるそれは四大属性に縛られないということだ。
召喚魔術や治癒魔術それに自分の才能ではない属性魔術も使うことができる。さらに魔法陣をつかう時にイメージは必要ない、必要量の魔力を魔法陣に送ればいいという利点がある。
だが近年魔法陣研究は目覚ましい発展を見せているというか熱い、それは魔鉱石の鉱脈が発見されたことにある。魔鉱石の発見によってなぜ魔法陣研究が発展したかそれは魔鉱石の魔法回数制限が無限であるということだ。
まあ正確には、2万何回かだがそれは今のところということでこれからも更新され続けているらしい
これによって最大の問題が解決し、一度魔法陣を書いてしまえば永久に一つの魔術を使い続けることができる。一度かいた部分を削って何度も新しい魔法陣を上書きできるようになったのだ
それによって魔法陣の評価が再評価され始めた。
最後のルーン魔術は最も新しく古い魔術だ。それは発掘された遺跡に書かれた言語が解明されたことによって、発見された魔術なのである。
まだ発見されて間もないため、よくわかっていないらしい。よってヴィネ先生もよくわかっていないそうです。
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「מים《水よ》」
現れた水がこぶし大まで大きくなる。
「はあ、はあ、限界です。」
集中を切ると拳大の水が形を失い崩れパシャと音をたてて下に落ちる
「まだまだですね」
と僕が言うと
「いやいやすごいよ、まだはじめて2か月しかしかたってないのに、当面はこの基礎魔術で精霊の親和性を高めつつ魔力の最大値増やしてね」
「わかりました。これで今日は終わりにしますか?」
「そうねそろそろ昼時ねもうやめましょう」
今日の魔術の授業が終わった。正直もっと勉強したいしかしながら先生を独占できる時間が決まってしまっているのが本当に残念だ。まあでも10歳になれば個人の家庭教師をつけてもらえる。まあただ剣術の授業も始めなければいけないが…
パンツ新しく買いました。おしゃれな奴