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ハオガオー  作者: リン・ハヤシ
8/18

#7 新人潰し

指定時刻、場内アナウンスがヤマトとガレットがこれから対戦を行うと鳴り響いた。 バトルターミナルバトルスペースHに集まっていた観客のその多くはどこぞの中堅ランナーとどこぞの初心者ランナーとの戦いには興味を抱いていないようだったが、その中にヒソヒソ話をする連中が何人かいたのにヤマトは気になった。


???:またやっかいなのに捕まったネ、初心者クン。


対戦ランナーの待機エリアに向かうヤマトに声かける女の子。 目深に被ったキャップにメガネ姿でボーイッシュな格好なロングヘアの女の子だ。 年齢はおそらくヤマトと同い年ぐらいで表情もキャップでよく見えないがブロンドの綺麗な長髪をなびかせた美少女なのは間違いない。

 

ヤマト:・・・うぉい!? びっくりした!! 誰ですかあなたは?

???:拙者、通りすがりの美少女クノイチでゴザル。

ヤマト・・・・・(答えになっていないなぁ)

ニャゴ:・・・ヤベェな、こいつ・・・。


どうやら不思議系な女の子らしい。


ヤマト:で、ガレットさんのこと知ってるんですか?

???:ウン、「新人殺しのガレット」で有名だヨ。 ランク上げのために初心者ばっかり相手にするサイテーのヤツだってネ。

ヤマト:あぁ・・・、初めての試合でハズレくじをひかされるなんてなぁ・・・。 でも、俺の相棒が危なくなったらすぐに棄権しますしなんとかなりますよ。 情報ありがとうございます、クノイチさん。

ニャゴ:いやいや、まだ負けるなんて決まってないだろ!! 見掛け倒しのクソ雑魚かもしれねーだろ!?

???:それが残念なことに、Dクラスをうたっているけど実力はCクラスに匹敵するヨ。 それにボンボンらしくてガゾルの育成にもかなりこだわっているみたいネ。

ヤマト:ま、これも記念なんでね。 適当に相手していいタイミングで棄権しますから。 最初から勝敗なんてどうでもいいんです・・・。

???:むむむゥ・・・。 キミはそういうタイプだったのネ・・・。 残念だなァ。 ま、がんばりたまエー。


そう言うと自称クノイチはヤマトの肩をポンっと叩いて人ごみに消えていった。 変なヤツだけど、大事な情報を貰えておおいに助かる。 ガレットが自身の欲望のために更なる悪手をうってこないか冷静に判断することが大切だ。


バトルターミナルスペースHの中にはすでにガレットが入室していた。 室内の対戦環境は「荒野と砂漠」。 四隅は荒れた大地にところどころ雑草のようなみすぼらしい草が生えている荒野エリアで、中央にはさらさらの砂漠のような砂地が広がっている。 初心者であればこのような特殊な対戦環境を選ぶ発想はない。 もっとフラットな「平原」エリアや「草原」エリアを選ぶのが普通だ。 これはいよいよ仕掛けてくるな。


ガレット:ありがとうヤマトくん!! 特に意味はないけどせっかくなので特殊な環境にしてみたよ。 最初からこういう経験するのも悪くないだろ!?


そういう手口だろ。 常習犯だと確信した。 ガレットはすでに勝ったと思っているのか会った当初よりもニヤケ顔に溢れ身振り手振りも全開だ。


ヤマト:はぁ・・・、そんなもんですかね。 あと、大事な条件なんですけど初めての戦いですし、相棒をなるべく傷つけたくないので危なくなったらすぐに棄権しますんで。


ヤマトのこの発言に不戦勝は気持ちよくないのか眉をひそめるガレット。


ガレット:どうやら君には勝ちたいというプライドはないのか!? そんなつまらない展開じゃあ上位ランナーにはなれないよ!!


心理作戦で揺さぶっているつもりだろうがお前の魂胆はすでにばれているんだ。 最低なヤツにニャゴを傷つけられてたまるか。


ヤマト:いえ、これは大事なことなんでこの約束が守れないのであればこの試合もなしにしますけど・・・。

ガレット:ちっ!! しょうがないなぁ、君も。 いいだろう、そのルールは承諾してやる!! まぁ、後悔だけはしないようにね、君も。


苦虫を噛み潰したような顔で承諾するガレット。 傲慢な本性が剥き出しの言葉遣いに豹変している。 相手のガゾルを完膚なきまでに叩きのめした完全勝利ではないと気持ちよくないようだ。 今まで何人のランナーとガゾル達がこのゴミクズの被害にあったのだろうかと考えると一泡吹かせてやりたい気持ちにはなるが・・・。


もうこんなヤツ、呼び捨てでいいや。


ヤマト:で、ガレットのガゾルはどこ?

ガレット:おいおい、ガレットさんだろ!? 言葉遣いには気をつけろよ、君。 あぁ、もういるじゃないか!! これだから初心者はたいしたことない!! さぁ、「スナワニ」!! 華麗なるショーを初心者に魅せてあげよう!!


中央の砂漠エリアが隆起し砂の中からガゾルが飛び出してきた。大きさは成人男性程度の一般的な中型ガゾルであるが、長く大きな口には鋭い刃のような牙が剣山のように並び、砂漠という特殊な環境に適応したのか砂を掻き分ける手足は筋骨隆々で、逞しく太い尻尾も驚異的なガゾルであった。


スナワニ:・・・・コロス。


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