#12 あくる日
次の日。
魚住:ぅおぃっ!! ヤマトっ!! 初デュエルバトルで逆転勝利だってな!?
花園:しかも相手を一撃KOだって。 お前のとこのニャゴってヤバくね?
ヤマト:うっせぇな、なりゆきで勝ってしまったんだよ。
菜原:ふつうなりゆきで勝つことないよ。
肉丸:だな。
ヤマトの机の周りに集まる男子4人組。 彼らはヤマトが通う「区立青ヶ崎高校」の同級生でクラスメート。 さらに言えばヤマトの幼少時代からの幼馴染の男友達で親友であり悪友でもある。 ヤマト以外は全員とも両親がアオゾラ商店街で店を経営している。
魚住:これは第2戦に期待が集まりますなぁ、よっ、ヤマト選手ぅ!!
ヤマト:出ない、出ないって。
菜原:なんでだよ、注目されてるよみんなから。
花園:次の勝負は観戦に行ってあげるからね。
肉丸:だな。
ヤマト:お前らなぁ・・・・・。
悪友達からの冷やかし攻撃に視線を合わせまいと机に顔を埋める。実際のところはデュエルバトルに全く興味がないわけではない。けれども、ニャゴが傷つくことは見過ごせない。ニャゴがあって俺がある。相棒とは一心同体なんだ。
だけど、ニャゴのあの力はいったい・・・?
その夜。
ヤマト:おつかれしたー!!
アオゾラ商店街の小さなスーパーでアルバイトをしているヤマト。 時給は安いが売れ残りの惣菜を貰えるのが嬉しいところだ。 生まれ育ってきたこの商店街だからこそ顔なじみも多く面倒な客対応もほとんどない。 これぞ顔なじみの特権てヤツか。
アオゾラ商店街の夜道は人通りもまばらで活気は薄い。 シャッターを降ろしたままの店舗が軒を連ねており、天山地区の中心地の大規模商業施設群に活気や人ごみなどの明るいものを吸われている。ヤマトが覚えている幼い記憶では商店街の夜は連日連夜大盛況だったはずだが今は見る影もない。
商店街の命運のようなチカチカ光っては消える歩道灯の夜道を歩いていると、向こうから迎えにニャゴが歩いてきた。
ニャゴ:よう、お疲れさん。 今日の収穫はどんなんだい?
ヤマト:売れ残りの揚げ物の盛り合わせ。2~3日分は貰ってきたぞ。
ニャゴ:おぉ!! さすがスーパーの申し子だな。 明後日までは食うには困らんな!!
ヤマト:なんだそれ!?
たわいもない会話でニャゴと夜道を歩く。会話が途切れ無言が続いたあと。
ヤマト:なぁニャゴ。俺になんか隠し事ないか?
ニャゴ:なっ!? なんだよ藪から棒に!! 誰もオマエのおやつなんて食ってねぇよ!!
ヤマト:・・・じゃなくて。 この前のデュエルバトルのことだよ。そりゃあ普通のネコガゾルに比べたらオマエはよく喋るけどさ、それにしてもあの強さは異常だろ?
ニャゴ:さぁ・・・な。けど、本来備わっていた力かもしれないだろ? テレビでも言ってたけどガゾルっていうのは謎の生き物なんだよな。 俺がたまたま強く生まれただけかもしれないし、そもそも俺はオマエが7つの時に拾われた野良ガゾルなんだぜ。 その時は俺も生まれたばっかりだし、正直わかんねぇよ。
そう、ニャゴはヤマトが7歳の時に道端で拾った野良のネコガゾルだ。あの時、「ニャアニャア」と泣き叫ぶニャゴを拾って家につれて帰ったのは正真正銘ヤマトである。 困り顔の両親を何時間にもおよぶ説得で説き伏せた記憶がよみがえる。
ヤマト:・・・そうなのか。 そうだよな!! わりぃな、変なこと聞いてしまって。 ニャゴはニャゴだもんな。
ニャゴ:そうよ!! んで、初めてのデュエルバトルは、なぁ、どうよ?
ヤマト:どうよ、と聞かれてもなぁ。ただ、悪い感じはしなかったな。ニャゴが傷つくのはやっぱり胸くそ悪いけど・・・。
ニャゴ:おいおい素直じゃねぇなぁ。どうだ、今週の日曜日にもう1度戦わないか? 俺とオマエならいいところまでいけそうじゃねえか?
ヤマト:またかよ・・・。いいけど、今度こそ危なくなったら棄権だからな!!
ニャゴ:その時はまた庇ってくれよ。
ヤマト:もうしないよ、あんな危ないこと・・・。




