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危険!?
「ヒナ——ヒナはどう思う? あたしの姿。この髪、この肌——」
ロウソクの灯の薄暗がりの中、あたしは自分の手を見つめた。
茶色い指先に生えている爪も、黒ずんでいる。
洗っても取れない黒さなのだ。
「あたし、こんな姿になっちゃって……気持ち悪いでしょ、本当小鬼みたいだわ」
ヒナは無言だった。
「一生この姿だったら——ヒナ、どうする?」
ヒナはあたしをじっと見た。
「お、俺——いや、僕は——」
ヒナが答えようとした時。
カサッ。
あたしたちは、窓の外でする微かな物音を同時に耳にした。
ヒナは小さな戸棚の陰に身を潜め、あたしはさっと窓に近づいて、外を窺った。
「…………」
もう何の物音もしない。
でも、あたしには判った。
薄い木の壁を隔てた向こうに、誰か、いる。息をひそめた何者かが。
あたしはヒナに、静かにするよう合図してから、ロウソクを吹き消し、手近にあった火搔き棒を掴んだ。
今の話、もし聞かれていたらまずい。
とにかく、このまま放っておくわけにはいかない。
あたしはそっと部屋から出て、すぐ近くにある裏口の扉から外に出た。
続く