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嘘八百!

 青年は、実は聖女を昔から知っていた、と言った。

 

 聖女と呼ばれ始める前から。

 

「いつもおそばでお守りしていたのですが、今回こんなことになってしまい……」 


 青年は目を潤ませた。


「モンスターが出た時、僕は聖女様をお守りできませんでした。この身に代えても、お守りすべきだったのに……」


 あたしはというと、同情の色を目に浮かべながら、本気でこの青年について興味を持ち始めた。



 ——こいつ、大嘘をついている。涙まで見せて……。()()()()()()()()()()()()



「ああ、聖女様が苦しんでいらっしゃるかと思うと、本当にいてもたってもいられません!!」

 

 そう言って両手で顔を覆った。

 

 でも、指の隙間からあたしの反応をうかがっているのはお見通しよ。

 同情して、何か言うとでも思ってんのね。

 甘いわ。


 あたしは心底同情した、という表情を作ったままで声をかける。


「まあ、かわいそうに……。本当に、何か知ってたら、ぜひ教えてあげたいんだけど……申し訳ないわねえ」


「……いいんです、どうかお気になさらず」


 青年は洟をすするふりをしつつ、再び食べ始めた。


 どうやら、あたしについては何も疑っていないようだ。


 青年は皿の中のものをほぼ平らげ、銅貨を二枚置いて出て行った。


 あたしはその銅貨を握りしめて考えた。


 あいつは、もちろん聖女の護衛なんかじゃない。とはいえ、単なる冒険者にも思えない……


 気をつけておいたほうがいいかもしれない。


 

 


 

 


 

 

続く

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