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しろのほう  作者: 焚(たき)
『好きだったはずの"ひとり"』
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ともだち

クラスのみんなと仲良くなって、

人と関わるようになってから気づいた事がある。

それは今までクラスメイトと関わらずに

自分の世界に入り込んで1人でいた私が

知らなかった事だった。



このクラスには虐めがあったのだ。



彼女の名前は千鶴ちゃん。

千鶴ちゃんは脳に生まれつき障害がある子だった。

上手く言葉が喋れなかったり、文字も綺麗に書く事ができない。身なりもあまりキチンとしておらず、

毎日クラスの一部の子達から言葉の暴力を振るわれていた。

私はその事に初めて気付いた時、

その子が"可哀想"だと思った。

でも私は見て見ぬ振りをした。

自分自身に関係ないと思ったから。




ある朝、登校すると千鶴ちゃんは泣いていた。

男子にちょっかいを出された事に怒って、

泣いてしまったらしい。

ふと隣を見ると泣いている千鶴ちゃんを気遣う女の子が1人いた。

藍ちゃんだ。

私はたまに千鶴ちゃんと彼女が一緒に居るところ見たことがあった。

藍ちゃんは泣いている千鶴ちゃんの両手をとって微笑みかけながら慰めていた。


私は胸が熱くなった。

関係ないと思って見て見ぬ振りをしている自分を

恥じた。


その日の帰り道、クラスの子達と帰っていると

今朝の千鶴ちゃんの話題になった。


「…また良い子ぶってたよね」


「私は助けてあげる優しい子なんだよって?

何なんだろうね、あのアピール」


みんな笑って藍ちゃんの悪口を言っている。

そんな風に私は彼女のことを悪く思えなかった。

笑って話しているのが信じられなかった。

でもそんなみんなに同調する私がいた。

恥じた自分なんて居なかったみたいに。

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