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しろのほう  作者: 焚(たき)
『好きだったはずの"ひとり"』
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思い返せど

いつからだろう、

生きてきて気付いた事がある。

死ねば楽になれるって




子供の頃は1人が好きだった。

私はド田舎育ちの一人っ子だ。

親戚は多いが従兄弟とは10以上歳が離れている。

周りも田んぼや畑、山ばかりで、

同世代の子が住んでいる家さえ無かった。

だから1人でも遊べるお絵かきや、絵本を読むのが

好きだった。

小学校に入学しても、

友達が欲しい、作りたいとかそんな考え浮かばなくて

クラスの休み時間を1人で過ごすのが好きだった。


「何描いてるの?」

お昼休み、クラスの女子達に声をかけられた。

「絵、上手だね!これは何?」

笑顔で話しかけてくる。

「…全然上手くないよ。

見れば分かるじゃん、鳥の絵。」


私はそっけなく返し、教室を出た。

小学1年の時のそれが初めての同級生との会話だった。


学校の授業が退屈でつまらなかった私には、

休み時間が一番の楽しみだった。

その中でもお昼休みは一番長い休み時間。

その貴重な休み時間を削られた気持ちになって、

何故かあの時は苛立ってしまった。


今思えばあの時なんであんな尖ったそっけない返しをしたのかと後悔している。


絵を褒めてくれたあの子たちは、

クラスで1人過ごしている私を気遣って声をかけてくれたのだろう。

その優しさに気付けたなかったのは自分の幼さのせいだったんだろうか。


あの頃の私が友達付き合いというものを学んだり、自分からみんなと関わろうとしていれば、

私はもっと"普通"に振る舞えたのかもしれない。


あの時からすでに、私は何かが欠けていたんだ。

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