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時を越えた青春  作者: 蓮川 璃
プロローグ
1/3

入学式


*****


「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。」

しゃんとスーツに身を包み、笑みを浮かべながらそう言っているのはこの高校の校長だ。

今日はここ、桜坂さくらざか高校の入学式。俺たちが式を挙げているこの体育館は暖かく穏やかな日差しに包まれ、今が春だということを身体全体で感じさせてくれるようなオレンジ色の空気に浸っていた。

体育館ならではのひときわ大きい窓からは校庭に立つ満開の桜が見え、その枝の間から漏れる朝の日差しは、式場の蛍光灯を消しても大丈夫だと思わせるほど、俺たちに光を与えてくれている。

しかし、最初はこの素晴らしい日差しが俺たちを暖かく迎えてくれていたが、次第に温度が上がり始め、体育館は何かと暑くなってきていた。

俺ら新入生の周りにはずらっと教員らが座っている。皆が皆規則正しく座っているが、一人一人顔を見ると額に汗を浮かべ辛そうに顔を歪めている。前で長いあたりまえ話を続けている校長も同じく汗だくだ。

「あぢぃぃ…早く終われよぉ…」

「まじそれぇ…今日すごく暑くなるらしいよ?もしかしたらもう夏かもね」

どこからともなくそんな会話が新入生の中から聞こえ、俺は心の中で何度も頷き共感した。

春という季節に油断をしたのか、体育館の窓という窓は全て締め切られ、唯一入退場で使う後方のドアのみ開きっぱなしになっていた。

「どーりで暑いわけだ…」

その状況を確認しボソッと呟き納得していると、校長お決まりの長い話はそろそろ終盤に差し掛かっていた。

「では新入生の皆さん、今日からはこの学校の生徒の一員です。これからの学校生活を素晴らしいものにできるよう、全力で頑張りましょう。以上です。」

これまた案の定の台詞だ。

やりきったぞ感を顔いっぱいの汗で表しステージを降りていく校長を眺めていると、やっと始業式が終わるという喜びが溢れ出してくる。それと同時に、俺たちの教室を早く見てみたいという思いがこれでもかという程に強まっていく。

「新入生、起立!」

号令がかけられると俺たちはその場で素早く立って礼をした。

これで始業式は終了。

やっと教室に行けるぞ!

心の中でそう呟きながら、俺は自分のクラスの列に沿って体育館を離れていった。


*****


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