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人形館  作者: 和凪
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エルラルド王国の絵本と魔女

人形館


それはひとつの都市伝説のようなもの。幼少期から、ここ…「エルラルド王国」では御伽噺として親から話されたり絵本を読まされたりする話の題名だ。

いつから流行り始めたのか、何がモチーフなのか、何を思ってつくられたのか、作者は誰か。そんな基本的なことすら誰も知らないのに、なぜかその存在は「エルラルド王国」の者ならば知っている御伽噺。

民からは「御伽噺」と思われている「人形館」のお話は本来は「都市伝説」という類のモノだ。


人形館


昔からエルラルド王国には願いを叶えてくれる魔女がいました。

その魔女が願いを叶えてくれる人は、魔女がいる人形館に辿り付けた人だけでした。

けれど人形館に辿り着けるのはとても強い願いを持った人だけでした。

人形館に辿り着いた人は、自分の願いのもとになっているモノの姿をした人形を探し出すことができて初めて魔女に会って願いを叶えてもらえました。

探し出すことができなかった人は魔女に記憶を消され自身がすんでいる場所に帰される。

魔女の願いを叶える確かな力、魔女自体の人柄のよさから、人々は魔女を信仰していました。

しかし、年月が経つにつれて、人々は魔女への信仰心を忘れていきました。

魔女は、本当の…の心からの願いを持ったモノにしか人形館を訪れられないようにして



姿を消しました


魔女が消えたそのエルラルド王国には、大災害がおきて人々の半分は死んでしまいました。


この人形館というお話。「御伽噺」と受け継がれているお話ですが、真実を綴った物語でした。

けれど、過ぎていく年月でこの人形館というお話は歪められ語られ、「真実の物語」が「御伽噺」としていきました。そのことを死ぬ間際に知った昔の…人形館を真実だと知っている人たちは嘆き、哀しみました。そして、死ぬ間際に…本当に、死ぬ間際に強く強く願ったのです。


「…人形館が復活しますように。魔女が、また信仰されますように。」


そう、願ったのです。

実は、魔女はとても優しいと評判でした。辛いだろうことも笑顔でやってのけて。真実を求めるものには真実を、空想を求める者には空想を。ちゃんとそれぞれが望みしものを望みしものに与えました。

しかし、この魔女はとても口が悪く。おのこのような女子おなごでした。

けれど、魔女は実はとてもあまえんぼうで寂しがりで、強がりな女子おなごだったのです。

魔女は二人の人に依存していました。

二人に害を成すものには、魔女は容赦せず追い詰め壊していきました。

その二人もとても強かったのですが魔女に依存しておりました。三人の関係は「狂依存」といわれておりましたが、年月が経つにつれて意味が変わり、「共依存」となりました。

「狂依存」は狂ったほどに依存している、という意味で「共依存」は共に依存しあっている。という意味です。意味は大分かわってしまいましたが、その言葉は今でも残っています。

魔女に護られ、愛された二人の名は「淡雪あき」と「璃紅るあ」といいました。「淡雪あき」は女子おなご、「璃紅るあ」はおのこでした。

魔女は、魔女をよく思わない人たちに殺されました。「淡雪あき」と「璃紅るあ」を人質に取られ、なす術もなく息絶えていきました。

淡雪あき」と「璃紅るあ」は自分達が弱かったせいだと嘆き、悲しみ、絶望し。やがて強くなろうと決意し、二人は力をつけていきました。そして、魔女が転生すると知った二人は自分達も転生しようとしました。ちょうど、二人は魔女に愛された証の力が薄まり死にそうだったので何もせず、転生への準備を着々と整えて死んでいき、二人はすぐに転生しました。


しかし、二人の転生して産まれた年は異なっていたのです。

璃紅るあ」は魔女の二つ上。「淡雪あき」は魔女のひとつ上に産まれました。

魔女は、普通の人よりも酷い人生を歩んでいました。産まれ変わってもです。


いじめを受け、虐待を受け、睡眠不足に陥り、ストレスから体調を崩しやすく。太っていきました。

視力も低下し、体力もなく、ただあるのはある程度の武力とある程度の知識。

やがて、魔女は歪んでいきました。価値観も、思考も全部全部歪んでいきました。


魔女は小さな頃から価値観も思考も歪んでしまい、それは異常だと世界から弾かれました。

魔女は幼いのに、世界のありかたを、本当の人間の姿を覚ってしまっていたのです。


そして、魔女は小さな頃に生まれ変わった淡雪あきと出会い親友になりました。

魔女はやがて、淡雪あきを介して璃紅るあと出会い付き合いました。

しかし、璃紅るあも複雑な家庭環境で魔女に構えませんでした。そして二人はすれ違い、璃紅るあは魔女のことをキッパリと拒絶してしまったのです。

それに魔女は嘆き悲しみ、心をまた歪ませてしまったのです。

淡雪あきも、家庭の事情で魔女のそばを離れました。魔女は心の寄せどころを失いました。

魔女は心の拠り所をずっと、ずっと探しています。



…貴方は、魔女の価値観を受け入れられますか?


貴方は、魔女を受け止める覚悟はおありですか?


貴方は、淡雪あき璃紅るあのようにならないような自信はおありですか?


貴方は、依存されることを厭わないですか?


貴方は、魔女に…































心を許すことができますか?

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