プロローグ『転生』
雨音と共に鼓膜に鳴り響くサイレンの音がうるさくて眠れなかった。
視界は真っ赤になっており、こちらに応答を促す男の顔面もよく見えない。
「聞...こえ......か!?.....さん!!.....さん!」
--うるさいなぁ、何だよもう。
身体が異常に熱い。
痛みは既に感じない。
--あ、そうか、俺は死ぬんだな。
良い人生だったとはとても言えなかった。
小中まではまともに友達なんて出来なかったから、高校で生まれ変わろうと、高校デビューに挑むも失敗。
浮いた奴だとあしらわれ、俺を皆が小馬鹿にしたような目で見てきやがる。
クソみたな人生だ。
大学受験も失敗。クソみたいな日常を過ごす日々。
自分でもしんどかった。
死にたかった。
でも、自殺する勇気が無かったから
今回の暴走してきたトラックには感謝してもしきれないな。
「....ダメです.....もう....が..........................」
その、男の声を最後に世界から音が消え、光が消え--
この時、黒澤 零は死亡した。
享年20歳。
今際の際に願ったのは、
--生まれ変われるのら、次は、
立派な人間になる。
やり直してみせる。
凄い人間になってやる。
そして、黒澤 零の魂は新たな世界へと再臨する。
彼は、"転生"する。




