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SPY-A組  作者: ふぁじー
第1章 朧気な来訪者
9/9

1ー7 リザルト

4月15日 SPY-A組教室

「さて、30人揃ったかな。」

リューキが教壇に立って話始める。シオンたちの間にひりついた空気が漂う。

「それでは、結果発表といこうか。」


第7話 リザルト



「まずはホールに移動しようか。」

リューキがクラス30人を連れて教室を出る。ホールへ向かうようだ。

(結果発表…っていっても発表することあるのか?成功した、とか失敗した、とか、ミスト先生の今後とかか?)

シオンは不思議がるが黙ってリューキについていく。


「さて、中には結果発表ってなにをするの?と思った人もいるだろう。」

(え、すげぇ。まぁ予想通りってことか。)

「今回の集会で話すのは、()()()()()()()()()()()()についてだ。これを見てくれ。」

リューキが合図すると同時に、大きなプロジェクターが天井から現れる。

(どんなとこに金使ってんだよ…。)

プロジェクターには、SPY-A組に所属している30人の生徒の名前が書いてあった。名前の隣にはそれぞれ空白があった。

(名前…だ。名前の横にある空白は何のための部分だ?)

「SPY-A組では、任務の活躍度に応じてポイントが追加されていく制度を採用しようと思う。名前の横の空白部分にはそれぞれのポイント数が表示される。」

「は~いせんせー。質問でーす。」

リーフが勢いよく手をあげる。

「少し待つんだ、リーフくん。人の話は最後まで聞くものだよ。」

「はぁ~い。」

(オレも…聞きたいことが山ほどある。そもそも、なぜポイント制度を採用する必要があるのかとか。)

リューキがリーフを沈めたところで、再び話し始める。

「今回はこの法院学園という狭いコミュニティでスパイ活動を行ったが、次回からは外部からの任務を受けることになる。当たり前だが、スパイとしての素質がない者を外部からの依頼で使うわけにはいかない。」

(外部からの…依頼!?…でも冷静に考えれば、国家スパイとしてこれからスカウトされるのに外部の依頼を受けないわけないよな。)

「そして、今回の任務『ミスト先生が隣国のスパイの可能性があることについての調査』の貢献度から、初回のポイントをこちらでつけさせてもらった。」

(オレの…オレたちの活躍が評価される…!!)

「それでは、ポイント数上位3人から発表しよう。」


第1位 5班・ヒナタ 2700p

第2位 1班・ヒカゲ 2500p

第3位 4班・シミズ 1400p


「以上の3人だ。」

(ヒカゲ!!あいつ、2位なのか。あいつを上回る女、ヒナタって何者なんだよ!!)

「…おいおいおい、2位と3位の差つきすぎじゃね?なんか間違ってんじゃないすかー。」

他の生徒が声をあげる。

「いや、間違ってない。ヒナタさんとヒカゲくんはそれほどの活躍をした、ということだ。」

(2人の圧倒的な実力…か。)

「さて、次の発表にいこう!4位から10位まで一気に発表だ。」


第4位  2班・リーフ 800p

第5位  5班・スター 750p

第6位  3班・セリナ 700p

第6位  5班・セーラ 700p

第8位  2班・デスナ 600p

第9位  5班・ヤマビコ 450p

第10位 2班・スピード 350p


「…以上の7人が4位から10位までの生徒だ。」

「しゃぁ!」

リーフが雄たけびをあげる。

(リーフ、4位!?マジか!!それに、デスナとスピードもランクインしてやがる!!くそっ、オレはまだか!!)

「それでは、残りの5人を発表しよう。」

「…?残りの5人…?」


第11位 5班・ユカリ 200p

第12位 5班・オガトモ 100p

第13位 2班・ミサト 50p

第13位 2班・シオン 50p

第13位 4班・コトリ 50p


「以上15人が、今回ポイントのついた生徒だ。ポイントのついていない生徒は、ポイントのついている生徒に比べて劣っているということを数値から理解しろ。」


「ぐあー!!おれポイントついてねぇーっ!!」

ベドロが叫ぶ。

(あった!オレの名前…だけど最後の方だな。)

シオンはプロジェクターの表をよく観察する。

「あれ、5班全員名前あんじゃん。ヤバ。」

「!?」

シオンの言葉に多くの生徒が反応する。

「よく気づいたね、シオンくん。今回、5班は6人全員にポイントがついた唯一のチームだ。」

(逆にポイントがあんましついてねぇチームもある…格差がつくってこういうことなんだな。)


一通りリューキの話を聞き終わり、シオンは帰る準備をしていた。

(あれ、いつもならベドロが一緒に帰ろうとか言ってくるのにな…なくなるのも少し寂しいな。)

シオンはカバンを持ち、廊下に出る。廊下には、リューキと話をしているベドロの姿があった。

「だから!ポイントが付いていない生徒はもう外部からの依頼には参加できないってことなんですか!?それってSPY-A組のスパイ争いに参加できなくなるってことだから…実質脱落ってことじゃないですか!?」

ベドロはリューキに強く訴えていた。ベドロは2班のメンバーの中で、唯一ポイントのついていない生徒だった。

(脱落…か。ベドロは残念だ…。てか、オレも50pしかないし、他人の心配してる余裕ねぇよ…。)

「安心しろ、ポイント制度を伝えるのが遅くなってしまったから0pの生徒に救済は用意するつもりだ。来月に全員参加の外部任務を行う。」

(外部任務…!法院学園だけじゃない、広いコミュニティでスパイ活動をすることになるのか…!)

「そこで活躍ができれば、0pの生徒にもポイントがつく。もちろんミスト先生の任務でポイントを手に入れている生徒との差は明確だが、次回の任務でポイントがつけば『ポイントがついていない』現状は打破できるはずだ。」

「…そっか。『ポイントがついてる』と『ポイントがついていない』じゃイメージがまるで違うもんな…。」

ベドロは少し考え、リューキに再び話しかける。

「おれ、次の任務で絶対活躍します。シオンとかデスナとか…仲いいやつらには申し訳ないけど、あいつらを特別扱いする狭いコミュニティで活動するのやめて、広いコミュニティで活動します。おれ、努力します。」

「その意気だ。ベドロ。」

(……あーあ、出るタイミングなくなっちまったじゃん。)


「来月の任務、か。」

(ベドロとはしばらく関われなさそうだ。オレもその間、しっかり努力しないとな。)

「あいつの心配をしてる場合じゃない。オレも、ボーダーラインが見えるレベルにいるんだ。オレが…29人全員踏み倒して、No.1のスパイになってやる。」


決意を固めたシオンの目には、闇と光が宿っていた。

                    第1章 朧気な来訪者 完

決意を固めたシオン。


第1章、完結!

次回 2-1 依頼人

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