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SPY-A組  作者: ふぁじー
第1章 朧気な来訪者
6/9

1ー4 必要なピース

リーフの合図とともに6人は校長室へ突撃するのであった。


第4話 必要なピース



4月9日 ミスト先生スパイ疑惑調査2日目

朝礼前

シオンたち6人は、校長室の前にきていた。

「デスナ!準備はいいか?」

スピードがデスナに問う。

「俺はいいけど…俺だけに任せんなよ!お前らもやるんだからな!」

デスナが少し緊張しながら言う。

「デスナ、きっと大丈夫だよ。」

シオンがデスナの緊張を解くために声をかける。

「そ、そうだよな…サンキュー、シオン。」

「いくよ!!」

リーフが合図し、6人が校長室へ突撃する。


校長室は、たくさんの資料でいっぱいだった。その資料の奥に一人の男がたたずんでいた。

(校長だ…)

「ここまできてチキンなよ、シオン。」

今度は、デスナがシオンに声をかける。

「あ、ああ!!」

「…昨日に引き続き、参ってしまうね。」

校長がボソッとつぶやく。

「君たちは、誰なんだね。」

「ははっ、冗談かな?わかってんでしょ、校長。」

リーフが挑発する。

「…2年A組リーフ・リベル。その他の子も資料で見た子ばかりだ。」

「…!」

(リーフの本名だ!!顔を見ただけで当てられんのかよ。全校生徒そうなのか…もしくはSPY-A組の生徒の顔を覚えているのか。)

「君たちはSPY-A組の生徒だろう。ここに来た要件はなにか聞いているんだ。」

シン…。校長室の空気が一気に張り詰める。

(リーフはさっきの本名を言い当てられたから簡単には動けない…。かといってここでデスナやオレ、スピードとか別の人間を出してもいい状況にはならない…。)



4月8日 放課後

「明日…より決定的な情報を手に入れる。そのために必要なのはお前だ、デスナ。」

シオンは、デスナを指差す。

「お、俺…?」

「ああそうだ。お前の体格が必要なんだ。」

「…シオン君、本当に?」

ミサトがシオンに問いかける。シオンは焦ったような表情を一瞬浮かべるが、すぐに冷静な表情に戻る。

「これしかないだろう。オレらはすでに、ほかの班に差をつけられていると考えたほうがいい。」

「はぁ?まだほかの班が大きく動いてんのみてないんだけどぉ。」

リーフが悪態をつくが、シオンはきっちりと答え始める。

「実際はそんなことないだろう。だけどヒカゲに差をつけられたのも、また事実だ。」

「それは…そうだけど。」

「明日、デスナには校長室を襲ってもらう。」

「…はっ?」

デスナが困惑したような声を出す。

「さすがに、生死がどうとかまでの話じゃないよ。校長にミスト先生と地下室の情報を吐かせるんだ。校長もオレらがSPY-A組であることは把握しているはずだ。」

「でも、襲うなんてできねぇよ。それは人の道を外れてる。」

「襲う以前に、オレらはスパイだ。このくらいできねぇなら、この班にお前はいらねぇぞ?」

「…ッ」

(頭がぐるぐる回る。なんだこれ。オレじゃないみたいだ。)

「シオン、ちょっと落ち着け。口わりぃぞ。」

スピードが止めに入るが、シオンの思考は止まらない。


(デスナとリーフはこの情報収集戦に全く参加できていない。これ自体が焦りのはずだ。この焦りを掘り返し、かつそれぞれにさらなる圧を加えて行動力をあげる。)


「リーフ、お前もだぞ。」

「ふぇ?」

「リーフとデスナ、お前らが今回の最大のピースになる。明日校長室を襲うとしたらオレら4人じゃどうしようもないんだ。お前らが動けば、班全体としてもそうだが、お前らのスパイとしての評価が上がることは間違いない。」


(場を制することができ、軽い身のこなしができるであろうリーフ。見るからに体格がよく、力としては申し分ないデスナ。2人ともハマれば確実に最強格のピース。でも、この情報収集戦に彼らの力は不要だった。それを必要というオレの提案に、こいつらが乗らないはずがない!!)


「オレらには、お前らが必要だ。」

「いいねその作戦。乗ったぁ!!」

「仕方ねぇ、俺の評価を上げるためだ。」

(すべて、オレの計算通り!!)

「…!!」

ミサトの驚く顔を全く見ずに、シオンは不敵な笑みを浮かべていた。



校長室

(誰が出ても悪い状況にしか傾かない…。でも、動かなければ時間が過ぎてくだけだ…8時20分になればHRが始まり、自動的にオレらの負けになる…。くそっ、出るしかねぇ!!)

シオンが飛び出そうとするも、スピードに抑えられる。

「スッ…ピード!!!!!!」

「落ち着け、シオン。」

「っざけん…え!?」

怒りに震えるシオンの横を、何かが駆け抜ける。

(ベドロ…!?)

「あの馬鹿ッ…」

ベドロは勢いよく飛び出したが、気づいた時には校長に首根っこをつかまれていた。

「は!?」

ベドロが声を上げる。

「そんなわかりやすい突進では、年老いた私でもつかめてしまいますよ。2年C組ベドロ・ヒップ。」

「ッくそぉぉぉぉぉ」

「ベドロ!あんまり騒ぐな!」

デスナがベドロに呼びかける。

「この状況で騒ぐなって言われても無理だろぉ!!」

焦るベドロを前に、デスナは冷静にベドロに呼びかけ続ける。

「落ち着け…。俺たちが絶対に助けてやる。絶対に……情報を吐かせてやる!!」

絶対に救い、情報を吐かせることを宣言したデスナ。


次回

1ー5 カラクリ

7月13日(日)掲載予定

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