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SPY-A組  作者: ふぁじー
第1章 朧気な来訪者
3/9

1ー1 スパイとしての素質

「あいつの心配をしてる場合じゃない。オレも、ボーダーラインが見えるレベルにいるんだ。オレが…29人全員踏み倒して、No.1のスパイになってやる。」

決意を固めたシオンの目には、闇と光が宿っていた。


第1章 朧気な来訪者

第1話 スパイとしての素質



4月7日

「さて、30人全員集まったか?」

シオン、ベドロ、デスナの3人が教室に入るころには、すでに他の27人の生徒が揃っていた。

教室は、ピリッとした異様な雰囲気に包まれていた。シオンがその他の生徒と目を合わそうとすると逸らされる。

「あ、遅くなってすみません。」

「大丈夫だ。指定された時刻よりも前にきているのだから、君たちが責任を感じる理由はひとつもない。」

リューキのやさしさに触れ、シオンは表情を少し明るくする。

シオンたち30人は、SPY‐A組に今日も呼ばれていた。もちろん、来なければ退学だ。

(今日は、スパイとしての素質を見極めるって名目で呼び出されたけど…なにするんだろ?ちょっと怖い。)

にこやかな表情を見せるリューキに、シオンは少し恐怖を感じる。

「さて、君たちも席についてくれ。君たちが席に着いたら、話を始めよう。」


シオンたち3人は、各々の席に着く。

「さて、今日は君たちのスパイとしての素質を見極めるためにここに呼び出した。そのために、君たちに試練を用意した。」

「試験?」

ベドロが口に出す。リューキはベドロをにらむ。

「人の話は最後まで聞くものだぞ。」

「あ…さーせん。」

「さて、話を戻そうか。まだ君たちはスパイとしてのノウハウを身に着けていない。身に着けるために一番なのは実践だ。これは、実戦形式の試験だ。」

A組に緊張が走る。

(実戦形式…早速スパイとしての活動が始まるのか。あー、緊張してきた。)

シオンの顔が強張る。緊張を和らげようとシオンは周りを見渡すが、デスナやベドロ、その他の人からも緊張が顔から伝わる、

(あ、あの人緊張してないのかな)

綺麗な黒の髪の毛をした男子を見て、シオンは驚きを隠せない。彼からは、緊張が全く伝わらなかった。

「これを見てくれ。」

リューキが話を続ける。


教室前方にあるホワイトボードに大きく人の顔が映し出される。

「これは…」

シオンが思わず口に出したが、リューキに睨まれたので口を閉ざした。

「これは、今年から法院学園に赴任してきた、新任教師だ。」

(うちの高校の教師を調べろってことかな?)

シオンは疑問に思うが、リューキの話を聞き続ける。

「彼、ミスト先生は…隣国のスパイの可能性がある。」

「!?」

(ミスト先生が隣国の…スーベのスパイ?なんでこの学校なんだ?)

「これは前提としての話なのだが、法院学園がある場所はスーベとの話し合いの末、未来の若者を育てるために制定された『安全区域』。お互いに直接手を出せない。ただ、手を出さなければ何してもいいらしい。それで、このザマ。」

(なるほど…彼は隣国のスパイとして、未来の戦闘員の情報を調べたかったのか。…あれ?この学校の先生として赴任してきたなら、このSPY‐A組の存在もばれちゃうんじゃないの?)

「彼の目的はおそらくここ、SPY‐A組だ。」

(やっぱり)

予想が当たったことに少し驚くが、ゾッとする事実だった。

「彼がスパイであるという決定的証拠を、1週間以内に提出すること。これが君たちのスパイとしての素質を確かめるための『試験』だ。心してかかるように。」

ゴクリ。シオンたちは唾を飲み込み、顔がさらにさらに強く強張る。

(スパイとしての素質を図る任務…。つまりこの試験で活躍すれば、スパイとしての素質があるって認定されるってことだよね。)


「さて、この任務を受けるにあたって、君たちには5班にわかれてもらう。6人1班だ。班のメンバーは、すでにこちらで決めてある。今から資料を配るから、その資料に合わせてそれぞれ集まり、作戦会議をしてくれ。それでは、1週間後を楽しみに待っている。」

リューキはそう言い残し、教室を出て行った。


「2班、しゅーごー!!!!」

ベドロが声をあげる。

「あ、オレだ。」

シオンもつられて声を出す。

(えー、ここでもこいつと一緒なのか。まぁ、知り合いがいたほうがやりやすいもんな。)

「シオン!!お前2班なんだな!!よかったー、知り合いがいて。」

「あ、俺も2班だ。」

デスナがこちらへ向かう。

(よっしゃ、デスナは心強い。)

「おれもおれもーっ!」

「私もです。」

金髪の少年と、水色の髪と瞳をした少女も名をあげる。

「すまん、俺も2班だ。よろしく。」

「うおっ、めっちゃイケメン!」

反射的にベドロが彼を誉める。

「ありがとう。俺はスピード。よろしくね。」

スピードは赤い髪色をしており、顔が非常に整っている。そのうえ、身長も高い。

「もてそうだなぁ…。あ、ごめんつい口が!!」

つい、シオンも口に出してしまう。

「おれはリーフ!!よろーっ!!」

金髪の少年は、リーフというらしい。見た目通り、自由奔放そうな性格をしている。

「名乗り忘れていました。私はミサト。よろしくお願いします。」

きれいな水色の少女は、ミサト。

(この子もすげー美人だな…。スピードとミサトがくっつけば、美男美女カップル爆誕…って、何考えてんだオレ。今はそんな余裕ねーよ。)

「俺はデスナ。よろしく。」

「おれベドロ!!よろしくな!!」

(このチームなら、なんとかなりそうだな。)

「おい!お前も自己紹介しろよっ!」

リーフがシオンを急かす。

「あぁ、ごめん。ちょっと考え事してた。オレはシオン。よろしく。」

「よーし!!チーム2班、結成だぜー!!」

「ベドロ、少し落ち着け。」

デスナが冷静に場を収める。

(なんか、わちゃわちゃしてんな…)

2班の一員となったシオン。


次回

1ー2 『ワクワク』の正体

6月22日(日)掲載予定

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