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第26話:だれの未来なんだろう

誰かの未来に乗っかるのも、悪くねぇよ。

だけどよ、自分で"これだ"って思えるもんを探せたら、

それはもっとカッコいいよな


――ミラジイ

広場の端っこ。

段ボール棚の周りに、少しずつ人が集まるようになっていた。


子どもたちが、マンガを拾って読んだり、

適当にノートを持って帰ったり。


「けっこう回ってんじゃね?」

いっちーが、嬉しそうに言う。


「うん、いい感じ」

ももかも、ポスターに「貸し出し中!」ってマークを書き加えたりしていた。


レンは、そのふたりを見ながら、なんとなく笑った。

でも、心のどこかが、モゾモゾしていた。


(……これ、オレがやりたかったこと、なんだっけ)


誰かに頼まれたわけじゃない。

やらされてるわけでもない。


でも、ふたりが楽しそうに動くのを見ていると、ふっと置いていかれる気がする。

レンは、ポケットに手を突っ込んだ。

なんとなく、手持ちぶさた。




段ボールの影に、レンは一人で座り込んでいた。


「どうしたの?」

ももかが、顔をのぞきこんだ。


「いや……別に」

レンは、とっさにそう答えたけど、

本当は「別に」じゃなかった。


(オレ、なんでこれやってんだろ)


問いかけたところで、すぐに答えなんて出ない。

ももかは、何も言わずに、レンの隣に座った。


「……疲れた?」


「ううん。

……ちょっとだけ、考えてた」


レンは、空を見上げた。

青いけど、どこかぼやけた空。


考えたって、ぐるぐるするだけだ。

でも、考えずにはいられなかった。


(これ、誰の未来なんだろう)




夕方になると、いっちーが持ってきた新しいマンガを、

子どもたちが群がって読んで、楽しそうな声が響いている。


「レンも、なんか持ってこいよ!」

いっちーが笑いながら言った。


「うん、あとでな」

レンは、適当に返事してその場を離れた。


歩きながら、ポケットの中のスマホを握りしめた。

図書館は、ちゃんと動き始めてる。

みんな、笑ってる。


でも、レンは、

どこかに「自分の場所」がない気がしていた。


(これ、オレの未来じゃないのかもな)


ふと、そんな考えがよぎった。

その瞬間、レンの胸の奥に、小さな穴が開いた気がした。




未来屋の前を通りかかった。

ドアは、いつものように閉まっている。


だけど、今日はなぜか、

ドアノブに手を伸ばす気にもならなかった。


中から、風鈴の音がかすかに聞こえた気がした。

たぶん、空耳だ。


レンは、そのまま歩き出した。

答えは、まだ、見つからない。


でも、立ち止まるわけにもいかない。

団地の奥で、子どもたちが笑い声を上げていた。


その声を背中で聞きながら、

レンはポケットの中のスマホをぎゅっと握った。

誰かの未来に手を貸すのも、自分の未来に向かうのも、どっちも間違っちゃいねぇ。

ただよ、せっかくなら“自分が好きなほう”に向かえよ。

それが、いちばん後悔しねぇ生き方だ


――ケンちゃん

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