プロローグ
二日に一度を更新の基準としていきたいと思っています。
稚拙な文章ではありますが、頑張っていきます。
「今日は高気圧のおかげで、日中は晴れ。最高の桜見日和になるでしょう」
ラジオの天気予報士の元気な声が聞こえてくる。
昨日までの寒さはどこへやら、今日は少し暑いかなと感じる暖かい日だ。
「雪ちゃん、今日は綺麗な桜いっぱい見ようね」
母の言葉に僕の妹相模雪はにこりと笑いながら答えた。
「陽介も今日はのんびりと桜でも見ながら羽でも伸ばせよ」
父は前を見て話しかけてくる。僕は来月から県立の高校に入学する予定になっていて、先日入試結果が送られてきた。
その後は僕の入学祝いに普段は行かないところへ行き、今日も同じだ。
去年は僕のせいで妹は泣きじゃくっていたが、今日は一日太陽な存在であった。
「雪は楽しそうだな」
雪の顔が前の座席から現れた。
「だってだって屋台がいっぱいあるんだよ。リンゴ飴に綿菓子でしょ、焼きそばにたこ焼き。これが楽しくないわけないよ」
花より団子って言葉を知ってるかと言いたくなったが、押さえ込んでおこう。
赤信号で車が止まった。
いつもなぜかここで長く止まったので、家族の中で地獄の赤信号(命名・雪)と呼んでいる。
キーン
異常なまでに高い耳鳴りに似た音が頭の中で這いずり廻る。
両親と妹は赤信号の話をしていて、こちらには気づいてない。
ばれないように前を向いていると青信号に代わり、車は動き出す。
雪は僕の異変に気づいたのか、すぐにこっちに近づいてきた。
「お兄ちゃん、だいじょうぶ」
それが、妹の最後の言葉だった。