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鳶に油揚げを攫われる①

この作品は、『悪役令嬢と言われましたけど、大人しく断罪されるわけないでしょう?』の番外編集になります。

本編とシリーズでまとめていますので、ぜひそちらもご覧ください。近い内に後日談も公開します。ここには掲載せず、同じようにシリーズ化してまとめますので読みに来て頂けると嬉しいです!

 カティアが王国の学園に在学中の話です。


 ーーー


 私が在学している王立学園も夏の長期休暇に入り、数週間が経ちました。私たち家族は大帝国の皇族でもあり、長期休暇の際は密かに祖国へ帰国しております。

 大帝国に滞在している間は溜まりに溜まった公務や学園で出されている課題で忙しく、長期休暇に入って最初に二週間ほどはまともに休むことも出来ませんでした。


 失礼ではありますが、あれで以外に優秀でいらっしゃるお兄様方は早々にやるべきことを済ませ、悠々自適に夏の長期休暇を楽しんでおられます。……少々、仕事の押し付け合いはしていたようですが。


「カティア」


 数日前にようやく全ての公務を終え、学園の課題とは別で勉強をしていると部屋の扉を叩く音が響きました。


「リオンお兄様……? どうかなさいました?」

「お疲れ様。また勉強をしていると聞いてね? 少し息抜きでもしてはどうかと思って」

「そう、ですね……たしかに集中力が切れてきたように思います。少し休憩しますわ」

「うん、そうして。良かったら息抜きを兼ねて一緒に城下に出ない?」


 入室許可を出すと部屋に入ってきたのはリオンお兄様。座るように伝え、お茶を出すとそれに口を付けながら息抜きの提案をされました。

 息抜きを提案しに来た割には軽装で不思議に思いましたが、お出かけに誘われたので納得です。城下に出るのに皇族としての衣装では目立ちますし、護衛がいても狙われる可能性はありますもの。


「カティアが好きな書店に行こうよ。ここ最近ずっと頑張っていたからご褒美に好きな本を買ってあげる」

「本当ですか? 行きます、行きましょう!」


 城下には大きな書店があります。参考書から流行の物語まで幅広く商品が揃っていて、私が城下に出る際は必ずと言っても良いほどに訪れる場所。


 普段なら本を買ってくださると聞いても遠慮しますが、ご褒美ならば遠慮する必要はないでしょう。兄の言葉に甘えることも大事だと思います!


「カティア、いるか?」

「あら……? はい、どうぞお入りください」

「失礼する。………おい、なぜリオンがカティアの部屋にいるんだ」

「兄上こそ何の用ですか? 私は今からカティアと城下に出るので邪魔しないで頂けます?」

「俺もカティアを誘いに来た。お前の方がカティアといる時間が長いのだからたまには譲ってくれても良いだろ」

「では三人で城下に出ます? 私はどちらでも構いませんし」


 申し訳ないですけれど、書店で本を購入することが出来るのならどちらのお兄様でも構いませんし、三人でも良いのですけど……


「こいつとは出かけるのは嫌だ」

「兄上と出かけるなんて嫌だよ」


 あら……見事に声が揃いました。喧嘩しているのに息が合っていますね。


 お兄様方は兄弟仲が悪いわけではありませんし、むしろどちらかと言うと親しい方だと思うのですが、たまに私の取り合いになるとこうして険悪になるのですよ。私はお二人とも兄として同じくらい好きですし、愛されているのは嬉しいのですがもう少し穏やかにならないのでしょうか? 三人で城下に出るなら私の取り合いをしなくて済みますし、二人きりが良いのかもしれませんがそれは後日でも良いのでは? と思ってしまいますね。

ご覧頂きありがとうございます。よろしければブックマークや広告下の☆☆☆☆☆で評価して頂けると嬉しいです。

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