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第三話

 私は、数々の嘘の様な真実を受け入れられず、呆然とベッドを眺めていた。

 父は母の事を殺してあげたそうだ。他の人に殺されるくらいなら貴方に殺して欲しい、と母の頼まれて行ったそうだ。

 私はそれを聞いても受け入れられるはずがなく、動画の事を話し、そんなわけがないだろ、と声を荒げて否定した。

「軍にいながら、敵と仲良くするという行為の意味がわかるかい? 妻と子までも持つ罪がわかるかい? ……演技をしたんじゃろ。言い切れるよ。お前とお前のマフラーが入ったカゴを、川に流すと聞いたのもわたくしじゃ、川から拾い上げたのも、わたくしじゃ。恨むならわたくしの事も恨んでくれ。お前を救う仕事を頼まれたのだ、と言い訳し、逃げたのは死ぬのが怖いからではない、と自答し、今まで生き残っている、この老害を恨んでくれ。お前の母をわたくしが殺したも同然じゃ……すまなかった、本当にすまなかった」

 私は声を失い、自分の左目と左肩に触れ、笑っていた。どうして、自分が叔父さんの家にいるのかすら、分かっていなかった。

 その日の夜、私は唯一の女友達のお腹を岩で殴っていた。


「後何度この夢を見たらいいんだ」私は目を覚ますと、いつもの様に立ち上がった

「もうやめてくれよ……なぁ、神様、どう贖罪すればいいんだ、教えてくれよ。なぁ……なぁ‼︎ 私が信仰をやめたから、こうするのかよ‼︎ これが罰ってやつかよ。もう……、分かってるよ、全部私が悪かったて…………違うっていうんだろ。違う、何もわかっていないんだよな、何も……」

 息を整え、目を閉じ、ベッドに座った。

「……自殺が汚い事だというやつは所詮、本当の後悔を知らない馬鹿だ」

 私はいつもの様に口に拳銃を入れていた。


 私は、真っ白い部屋で目を覚ました。しかし、足も腕も顔も殆ど動かない。見渡すと、右手には点滴のルートが繋がっており、身体全体がベッドに黒い何かで括り付けられていた。

 頭の中が気持ち良くなって来て、私は目を閉じ、ふと開けた。耳の聞こえず話せない人間だと思い出した。

 うん、そうだよね。そうシチューはここで食べたんだった……。そうだ、そうだった、お父さんはお父さんはお父さんは、お母さんが頼んだから殺してあげたんだ。そうだそうだそうだ、うん、そうだ。お母さんは、えっとえ……お父さんお父さんはお母さんに、お母さんに、が、お母さんが他の人に殺されたくないけど、うん。うん、ん? お母さんがお母さんの好きなお父さん。好きで愛してて頼まれてて、それで、あの足、足の無い人あれ、あの女の子は誰だろ。誰だっけ。誰の子供、子供のお母さんは誰だっけ。あの子はあの子が好きなお花咲いてて、白いお花で、うん、そうだそうだ、一人? 違う、二人? そう軍人さんと軍事さんと、お母さんのお墓で私もいた。私はお母さんが好きだったから、だから、お花をもっと育てたくて、あの子もいて、育てたいのに、それでお花が白かって綺麗だったのに、赤くなってて、あの子がいなくなってて。違う、違うよ。合ってるって、何があって、あれ何だっけ。お花は白くて、白いままで、この天井みたいだ。綺麗だな。足の無い人に、その人に、が、ん? に、殴られたって、お父さん叔父さん、私が思っただけだっけ。私は友達だから、だからだから壊したんだ。そうだ。痛がってて、私も痛くて、お花が赤くなって、お腹痛くて、でも一緒だから、だから、お父さんも叔父さんとあれ、お父さんは泣いてたんだ。うん、そうだ、幸せだって、ありがとうって、友達に言ってもらえた。

 私は右手を見て、左手を見て、紙に書かれた「聞こえますか?」の文字を見て、欠伸をした。

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