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『剣と魔法』の世界で『数と魔術』を極めてみました  作者: 都鷲斗 翔
第0章 少し長めのプロローグ 〜魔王討伐戦〜
9/10

第4.50話

「そういえばさ、二人のスキルってどんななの?」


 二上さんが急に訊いてきた。こういう切り替えがホントに速い。ついさっきまで昨晩のことを追求してたのに。こういう切り替えの速さは凄いと思う。


 あと、普通、その話題はさっきステータスプレート見せあった時にするもんだよね。なんで今更。


 音琴さんの方を見るとまたしても、目が合った。


「君ら二人、結構仲良いね」

「「?」」


 そうかな? 


「いや、今だって首を傾げるの、めっちゃシンクロしてるからね」


 音琴さんの方を見る。そして、また目が合う。そして、左に首を傾げてみる。……なるほど、確かにこれはシンクロしてると言われるだけあるな。僕が左に首を傾けたと同時に、音琴さんも首を右に傾けた。ちょうど左右対称になった形だ。


「まぁ、それは一旦置いといて。スキルの詳細とか教えてよ」


 音琴さんの方を見る。無言で譲り合った結果、僕から先に見せることになった。いや、まぁ相手も同じことを考えてるかはわからないけどね、雰囲気でなんとなく先どうぞって感じがしたから。


「まぁ、こんな感じですけど」


 スキルの詳細画面を見せる。


 音琴さんも興味があるようで、少し身を乗り出している。


 そして二上さんは……


「いらないね」


 一刀両断。


 あんまりそういうこと言われると傷つくんですけど。


 まぁ、あながち否定できないのが辛い。


「計算速度上昇とか何に使うの?」


 そりゃ計算に使うに決まってまるでしょ、って言いたいけど……このスマホもどきが電卓付きである以上確かに使う機会があるとは思えない。まぁ、無意識に使うことはあるかもだけど、絶対必要とは思えない。


「確かに、それについては同感ですけど……、この“???”のところとかに隠れた便利能力があるかもじゃないですか」


 微かな希望に懸けてこう言ってみたが……


「いや、ステータスの詳細なのになんで“???”なの!? 全然詳細じゃないじゃん」


 いつかの自分が思ったことを言われてしまった。それに……


「元々数学だけは得意だから、ほとんど意味ないんだけどな……」


 声に出てしまった。


「確かに、君、数学だけは得意だもんね」


 褒めてるのかよくわからない褒め方をされた。数学だけって……まぁ、否定はしないけど。というか否定しようにも他に得意なことはないし。


「まぁ、一条くんはこんなもんだとして……音琴さんはどんなのがあるかちょっと見せてもらってもいいかな?」


 なんか、音琴さんには優しい気がする。いや逆か。元々二上さんは誰にでも優しい学級委員長っていう評判だった。僕が何回も名前を忘れるせいで、僕にだけ態度が変わってきてるのか。


「音琴さんは音響と音感か。一条くんのよりはマシだね」


 ひどい言われようだ。


 まぁ、自分のよりはまだマシだなって思っちゃった自分がいるからそこまで強くは言えないんだけど。だって、計算能力が上がるか、音感が良くなるかを選べって言われたら、音感の方を選ばない? 計算の方は頑張ればなんとかなりそうだし。音感もなんとかなるのかもしれないけど。


「音楽とか得意なの?」

「……ピアノとかなら…………」


 琴とか弾けるのかな。音琴琴音っていう名前らしいし……って名前で人を判断するのは失礼だな。


「へぇ〜、琴じゃなくて?」


 うわぁ、ここにその失礼な人がいた。自分も同じこと考えちゃったから強くは言えないけど。


 音琴さんが困ってる。


「あっ、えっと………………母がピアニストなので」

「そうなんだ、すごいなぁ、私の親とは大違い」

「……ずっと母の演奏を聴いて育ってきたので音感には自信があります」


 さっきまでとは違ってハキハキとしている。やっぱり人間、自分の得意分野だと自信を持って話せるんだな。


 にしても、音感には自信がある、か。


「それって、絶対音感ってこと?」

「……まぁ、一応、音を聞いたら音程はわかりますけど」

「…………」


 凄い。凄いんだけど……それってつまり、音感スキルが役に立たないってことだよね。元から絶対音感持ってるんだし。


 聞いたところ、特殊スキルは自分が得意なことが入るのかな。ただ、元から得意なことが入るせいで、レベルが低い時は大した影響が感じられない。これはレベルが10ぐらいまで上がった後に期待かな。


「あっ、最後は私かな。私のスキルはこれ!」




    【明】レベル3…………あなたは周囲に良い影響を与えるでしょう。

             あなたの存在は時として、希望の明かりとなり

             いろいろな人を導いていけるでしょう。

             あなたの進む道の先に光あれ。




 一番謎だった。何も効果がわからない。良い影響って何なんだろ。バフみたいな感じかな。


 ただ、わかるのは、このメンバーで戦うのは無理でしょ、ってことだけ。


 火力が出る人がゼロ。防御ができる人がゼロ。


「このメンバーで戦えますかね」

「「…………」」


「まぁ、何とかなるんじゃない……」


 沈黙の末に口を開いたのは二上さん。


「とりあえず、明日から魔法の授業があるじゃん。魔法を習得したら案外なんとかなるんじゃない? それにまだレベル1だし、焦る必要はないんじゃない?」

「…………そうだね……」

「まぁ、今日のところは一旦解散。また明日も、このくらいの時間に集合ね」



 そうして半ば急に解散することになった。


 ただ、スキルレベルはともかく、レベルは1なのだ。レベルが上がればなんとかなるかもしれない。


 希望を持つことは悪くない筈だ。




 希望を持てば持つほど絶望もまた大きくなるというだけで。

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