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悪役姫は即決する。

 ミリアリアのゴロアドンは、突如として天空より降り注ぎ、騎士修練場を爆砕する。


 ギャー! っとそこら中から聞こえる悲鳴の中、ミリアリアは腰を抜かして倒れている赤毛君を見下ろしていた。


「さて、ロイヤルなレディに無作法にも決闘を申し込む愚か者には無様な敗北を進呈しましょう。大声で威嚇すれば泣き出すとでも思いましたか? 残念! わたくし、そう言うの燃えるタチですわ!」


 いきなり挑戦してきた男の子は、赤毛のワイルドなヘアスタイルがツンツンしていて、ふむ、かわいい。


 しかし、ミリアリアは初対面のはずなのにその顔に見覚えがある気がした。


 ほんのわずかな、デジャブのような感覚だが、喉の奥に刺さった魚の小骨のようで気持ちが悪い。


 誰だっけ? 


 喉のところまで出かかったが、今はどうでもいいとミリアリアは違和感を脇に置いた。


 すると騎士団長と話していたメアリーが泡を食ってこちらに走って来た。


「何事ですか! いきなり上位精霊術をぶっ放さないでください!」


「そんなに慌てなくっても大丈夫よメアリー。誰にも当ててないし、修練場しか壊してないですわ。ちょっとした勝負というか子供のケンカです」


「子供のケンカで雷落としたらダメでしょう!」


「えー、でもメアリーだってわたくしによく雷落とすでしょう? 今だってほら落とされていますし」


「本物の雷落とすアホはいません!」


「アホとか言うんじゃありませんわよ。お下品な」


 打てば響く鋭いツッコミ。メアリーは素晴らしい。


 でも確かに、右往左往する騎士団の皆様方を見ていると、ちょっとやりすぎたかとミリアリアはため息をついた。


「もうちょっと修練場を広くした方がよかったかも知れませんわね。これじゃあ喧嘩も不完全燃焼です。わたくし反省しましたわメアリー」


「そう言う問題でしょうか?」


 もちろんそこが大問題だとミリアリアは頷いた。


 だと言うのにメアリーは眉間にしわを寄せていぶかしげな表情を浮かべていた。


「なんです? なんだか物言いがミリアリア様らしくありませんね」


「メアリーはわたくしを何だと思っているの? なんのことはありません。素敵な男の子からのお誘いを楽しむには、ここでは狭かったということでしょう? メアリーの助言でよくわかりましたわ」


「えぇ?」


 そうここでは狭かったのだ。これはいけない。


 こんな時は、もっと広いところでのびのびと雌雄を決するべきである。


「ではメアリー。そう言うことなので……ちょっくら勝負して来ますわ!」


「ミリアリア様? ……それは一体どういう?」


「もう受けちゃった決闘はケリをつけなきゃお肌に悪いでしょう?」


「それを一番やめてほしいんですけど!」


「そんなこと言われても……決闘は神聖なものでしてよ? ところで勝負を挑んだあなたは誰ですの?」


「そこは受ける前に、先にはっきりさせてほしかったです!」


 決闘を吹っ掛けられたというのに、相手よりもメアリーの方がうるさい。


 むしろ決闘相手は借りてきた猫みたいだ。


 これ以上関わっているとより身動きが取れなくなりそうだと考えたミリアリアは赤毛君を捕まえて優雅に手を振った。


「では……ごきげんよう!」


「ミリアリア様!?」


「え?」




 こうして逃亡……もとい、決闘にふさわしい場所に移動することに成功した。


 やはりテレポートは偉大である。


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