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悪役姫はぷりんぷりんする。

 聖水を駆使してなるべく戦闘を回避。


 ストレートに目的地を目指すなら、そう時間もかからず15階層にたどりつける。


 15階層は、通路が長くとても広いフロアであった。


 そんなフロアの一番長い外周を延々と回り続けるのが、メタルプリンプリン狩りの基本スタイルである。


 その姿はまさにマラソンの様で、リアルでやると体力の限界を試されそうだが、それとは別にもうひとつ解決すべき問題があった。


「奴を倒すのに遠距離攻撃は下策ですわ。直接攻撃かつ、一撃必殺が最適解……そこでこれです!」


 ミリアリアは愛用のキャリーバッグに手を突っ込んでずるりとそれを引っ張り出した。


 出てきたのはモザイク処理された一本のバットだった。


 隠しダンジョン内では様々なアイテムがドロップする。


 数あるアイテムの中で耐久力が並外れたメタルプリンプリンを倒すために最適のアイテムが存在した。


「これぞ一撃必殺バット!  ちょっと見せられないトゲトゲしたギミックで当たれば必ず会心の一撃ですわ! でもこのモザイク何なんでしょうね? 別の目的にも使えそうですわ」


 それはともかくバットである。


 これはそもそも当たりにくいが、当たればクリティカル確定。


 そしてクリティカルは相手の防御力の判定が当てはまらないため、やたら硬いが体力の少ないメタルプリンプリンを一撃で倒すことができるはずである。


「さぁ行きますわよ! ……これから三日間ぶっ続けでマラソンですわって……人類ってそんな耐久力ありましたっけ?」


 まぁ、ちょっと大変そうだけど仕方がない。


 ミリアリアはモザイクのかかったバットを片手にダンジョン15階層を駆けた。




 カラカラと石畳を削る音がした。


 メタルプリンプリンは追って来る音に反応して、必死に逃げる。


 しかし音は全く遠のかない。


 カリカリ……。カリカリ……。


 カカカ


 カッカッカッカーーー。


 更に音は間隔を狭めて、追って来た。


 恐怖にかられたメタルプリンプリンは振り返ってしまう。


 しかしそこには誰もいない。


 きっと他のモンスターが立てた音だったのだろう、そうメタルプリンプリンが元の進行方向へ視線を戻すと。


「―――見つけましたわ」


「ぷりーん!!!」


 ばちょ!


 飛び散るバニラ臭。


 覗き込む赤い目が、メタルプリンプリンが見た最後の光景となった。


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