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悪役姫はおねだりの成功を確信する。

 ミリアリアは久しぶりに遭遇した緊急イベントを無事乗り越えて、自室でほっと息をついた。


 そしてその成果を、侍女へ報告した。


「お母様におねだりしてしまいましたわ。テヘ」


「……大丈夫なんですか? ものすごく不安に駆られるのですが?」


「大丈夫でしょう? まぁ、いつもの浪費と大差ないと……思いますわ」


「浪費という自覚はあったのですね」


「必要経費だとは思っていますわよ? 社交界だって立派なお勉強ですし。比重がおかしかっただけですわ」


 妙なところに反応してジト目のメアリーである。


 だがしかし、余計なこともしてしまったような気はするが、おおむね最大の成果を得られたのではないかとミリアリアは自負していた。


 ブラックダイヤモンドはゲーム中では闇属性の精霊術を強化する装飾品で、最も強力な倍率のアイテムである。


 闇属性自体が少なかったゲーム中では、大したことないコレクションアイテムだが、今のミリアリアには喉から手が出るほど欲しい最重要アイテムなのだ。


 本来であればどこかのダンジョンの宝箱で一個だけ手に入るものだったが手に入れる手段がそれだけとも思えない。


 そこに転がり込んで来た、女王の褒章である。


 いかなレアアイテムと言えど、流石に女王様に頼めば手に入るはずだ。


 勝ちの確定しているプレゼントを想像して、ミリアリアはかわいい笑顔で答えた。


「なんかこの間倒したクマがすごいモンスターだったんですって。ラッキーですわね」


「幸運は幸運なんですが……あんなモンスターに襲われて、命拾いした感じなのですよ本来? わかっていますかミリアリア様」


「あー……わかってますわよ。被害がなくって喜ばしいですわね」


「反省してないでしょ? ミリアリア様?」


「……どこに反省する必要が? 倒せるものはサクッと倒せばよいのです」


 いやだってみんな大げさすぎじゃありません? 


 隠しダンジョン潜っているって言ったって浅いところをぐるぐる回ってるだけなんですのよ?


 RPG的に言えば中盤程度、結構な化け物は相手できるが、本物の化け物には勝てないレベルである。


 ミリアリア的には同世代には負ける気がしないが、まだまだ上には上がいる感じだった。


 あんなモンスター程度にビビってなんている場合じゃない。


 実際お母様は現状でも間違いなく自分よりレベルが上……というか、クリスタニア女王は隠しイベントで戦えた隠しキャラでレベル帯は80台だった気がするやべーお人なのだ。


「というか、あのクマより、お母様の方が断然強くありません? わたくしだってお母様が森から出てきたら全力で戦闘回避ですわよ? 場合によってはわたくしの首でもちょんぱですわよあの女王。マジヤバですわ」


「シー! お嬢っ様! シー! 不敬すぎて死人が出ますよ!」


「大げさな。我らが女王陛下はそんなちっさい方ではありません。これでも尊敬しているのです。作中屈指の女王ですわ」


 それは偽らざる本音で、ミリアリアは力を込めて言った。


 クリスタリア女王は厳格で最強で、国を導くまさに王だった。


 そして少なくとも作中のミリアリアはわがまま横暴が服を着て歩いている、国を傾ける毒婦だったし、主人公にしても恋愛脳のゆるふわ系で決めるところで決めるものの根本的に甘々だった。


 どっちが女王の後を継いだとしても、あの人以上の王になれたかと言えば絶望的としか思えない。


 気が付けばミリアリアは妙にニヒルな笑みを浮かべて、この世の無常さを憂いていた。


「まぁ……ままならないものですわよね。お母様もっと子作りに励めばいいのに」


「ふっけーい! ちょっといい加減にしてください! ここだって離れとはいえ城の敷地なんですよ!」


「いっけね。そうでしたわね。ゴメンゴメン。しかし面倒なことになりそうですわね」


「そうなんですか? なんだかノリが軽いですが?」


「ええ。ひょっとするとメアリーも再就職先を探した方がいいかもしれませんわ?」


「やっぱり何かしたんじゃないですか!?」


 そんな泣きそうな顔をしなくても、大丈夫さ。メアリーの口利き位してあげるともさ。


 そりゃあ、まぁ突然呼び出されたらぼろの一つも出ると思う。


 ミリアリアは、これでも一応お子様なのだ。


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