表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/121

メイドさんは地下へ。

 その頃別動隊のメアリーとダークは、城の地下ダンジョン。その第一階層にやってきていた。


 ミリアリアが城で大立ち回りをしている間、クリスタニア女王の安否を確認すると言うのが、ミリアリアの作戦である。


 何か異変が起きているのは確実。


 ならば先に女王クリスタニアにコンタクトを取っておけば、色々と諸々何とかなるはずというのが狙いである。権力とは素晴らしい。


 しかし、最悪クリスタニア女王は危機的状況にあるかもしれないから、そこで活躍する予定なのがダークだった。


 ビクビクしながら進むメアリーの周囲には霧状になったダークが渦を巻いていた。


「……これ大丈夫ですかね? 私いらなくありません?」


「あのまま待っていてもどうせ危険だ。ならば目の届くところにいるのが良い」


「そ、そうですか? どうにも嫌な予感がしてしょうがないんですが……」


「メアリーよ。心配するな。このダークがついているのだから、何者だろうと恐れるに足りん」


「そ、そうですよね!」


 メアリーがダークに励まされながら進んでいると、巨大な水晶のようなものに行き当たった。


「あ、アレは一体……」


 メアリーは怯えながら不気味な水晶に近寄ると、中にいる人間の顔を確認して、顔色を蒼白にした。


「ククククリスタニア女王陛下……!な、なぜこんな姿に……」


 一方でダークは少年の姿になると、水晶に触れ目を細めた。


「これは……封印だ。強い光の術だな」


「だ、誰がこんなことを?」


「ふむおそらくは光の精霊神……契約者を守ったんだな」


「守ったって……どう見ても閉じ込めてません?」


「いや。この結界は時間を止める。見ろ、ナイフが刺さっている。それだけなら……まぁ精霊神と契約している女王ならば即時に再生できるだろうが、闇の呪いが刃にたっぷり乗っているな。これは古に潰えた術だ。今の術者では解呪は難しいだろうさ」


「えぇ! で、でも女王様ですよ? そんな簡単に!」


「さぁな。だが後れを取ったのは事実だろう。よく今までとどめを刺されなかったものだ」


「そうなんですか?」


「ああ。追い打ちの形跡がない。この結界に歯が立たなかっただけか? それとも何かあったのか?」


「な、何かって何です?」


 ダークの低い声に、ゴクリと唾を飲むメアリー。


「例えばだが……もっと恐ろしい何かに出会ったから……とかな」


「……私帰っていいですか?」


「そう言うなメアリー。ここで彼女を救えば、救国の英雄だぞ?」


「それはそうなんですけど……なんというか欲しくなくないですか? その称号? メイドで十分なんですけど?」


「……まぁ、嫌なら。ミリアリアにでも手柄はくれてやればいいさ」


「……ではどうしましょうか?」


「そうだな。いったんこの術を解いて、女王を救出することも可能だ。そうするとお前の協力もなくてはならんが」


「わ、私何もできないと思うんですが?」


「大丈夫だ。我が手助けする。というか人間を通さねばここまで精密な術をどうにかできない。本来術は人間の方が得意なんだぞ?」


「そうなのですか? 精霊神なのに?」


「精霊神なのにとか言うんじゃない。我くらいになれば高度な術も使える。が、それでも限度はあるのだ。でなければ精霊と人間の契約など成立するものか。お互いに利益があるからこそ、契約たり得るのだから」


「な、なるほど」


「我が力を貸せば、お前の体を通じ、結界を解き、ナイフの呪いを解呪できる。そのためにミリアリアはお前と私を一緒に行かせたんだろうさ」


「そ、そうなのですね。が、頑張ります!」


 方針が決まり、メアリーも覚悟完了と気合を入れていた。


 しかしダークは大きな力を感じて、呟く。


「だが……それはすんなり何の邪魔も入らなければの話だが」


「え?」


 メアリーは、寒気を感じて振り返った。


「ぐるるるるる……」


「あ」


 メアリーが獣の唸り声を聞いて声を漏らすと―――小さな黒い影が躍り出た。




「ああ、ひょっとして……」


「なんだ?」


 いえ別に?


 ミリアリアは脳裏に何か過ったがすぐに、それを否定した。


 いやいやまさかそんなわけがない。


 ミリアリアの知っている子はとてつもなくプリティなのだ。


 間違っても化け物なんて形容されるようなことはないはずだった。




「ヘッヘッッヘッヘッヘッヘ」


「「チャッピー!」」


「きゃん!」


 ダークとメアリーの声が重なると小さな柴犬のチャッピーは元気よく吠えた。


 とある世界ならばマメシバと形容できる小柄な犬は、人懐っこくメアリーの胸に飛び込む。


「チャッピーじゃないですか! 元気にしていましたか?」


「きゃん!」


「こんなところで何をしているのだ?……いや、そうか。お前はクリスタニアを守っていたのだな?」


「きゃんきゃん!」


「やはりそうか! すごいぞチャッピー! 流石我が心の友だ!」


「きゃん!」


 ダークに褒められたチャッピーはどこか誇らしげだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 飼犬チャッピーは魔王より強い! (まさかソロプレイクリアの伏線が回収されただと!?)
[一言] ああ、やりこみガチ勢の飼犬のソロプレイクリアのネタかw
[気になる点] チャッピー?どこかにでてたかな? 読み直します。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ