雲仙東陵学園の身分制度
私立「雲仙東陵」学園。
日本国内最大規模の私立高校にして、一尋と竜緋の通学先。
この学園は日本各地の財閥や権力者が自分たちの跡取りを育成する目的で建設されたのが
始まりである所謂「成金学校」である。
学力レベルは世界に匹敵する程高く、経済・ビジネスに始まり、語学。投資。組織経営。
帝王学。人間心理など多種多様の教育が実施され、その授業内容もとにかく苛烈。
成績の悪い者は無能のレッテルを貼られ、教職員や同級生からも家畜の様な扱いを受ける。
世界にまで手を伸ばしている各地の出資者たちにより作られたこの学園は、
おおよそ普通の高校の枠に収まらない異常な校則、法律が適応されており、
財政界、法曹界などの大物も絡んでいる。
それが「身分制度」である。
【ノーマル】・・・一尋が該当する身分。ごく一般的な家庭の生徒を指し、雲仙東陵内でも
平均より少し下の扱いを受ける。世界に通用する人材育成よりも「雲仙東陵の存在を世界に
アピールする」という目的で通学させららている者が多く、学園の全体で3割を占める
生徒が該当。主に学業以外は上流階級の生徒の付き添いや補助活動を義務付けられており、
部活動への参加は認められていない。
【スレイブ】・・・学園で最下層の身分。何らかの理由で雲仙東陵に入学した訳アリの
生徒達が多く、部活動はもちろんスレイブ以外の生徒と食事をする事を許されていない。
教師や上流階級の補助は当然ながら、部活動で使われる馬や備品の手入れ。
雑用や私的な小間使いとしての生活を強要される。勉強も学校からも支援も最低ランクで、
無法者や反逆を狙う者も多い。学園の3割に該当。
とある条件を満たせばノーマルに昇格する事が可能だが、今まで昇格できた人間はいない。
【トップ】・・・竜緋が該当する身分。学園内で最上級の身分で、
学園内におけるありとあらゆる権限をフル活用できる。教師よりも身分が高く、
一定の触法行為ですら黙認されるほどの権限があり、独断でスレイブやノーマルに
命令を下す事も可能。授業内容も最高レベルであるが立場や身分、権力による
抗争・派閥争いが日常化しており毎日流血沙汰が起きている。学園の2割に該当。
生徒同士の許嫁や婚約関係も認められており、中には既に結婚している生徒も存在する。
【バトラー/メイド】・・・学園内で2番目に地位の高い身分。学園の2割に該当
トップである生徒の側近、使用人、付き添い人として正式に身分を与えられている生徒達。
家も財閥や大企業の系列が多く、大半の生徒はトップの生徒に追従している。
トップに付き添うだけの実力を保持する必要があり、同じ身分同士での争いも頻繁にある。
ノーマルやスレイブの人間が昇格するとなれる身分ではあるが、最初からこの身分である
生徒が降格処分を受けると強制退学させられてしまう。
こんな身分が正式に国から認められている。
そして、一尋の前に立っている竜緋はこの学園で頂点の身分に位置している。
本当なら横に立って歩くなんてしてはならないのだが、竜緋はそんなものに
囚われる器ではなかった。