表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/8

第2話:底辺

 待ちに待った15才。やっと成人を迎えることができた。中身が20才の元特殊作戦群では、孤児院で友達を作ることは出来なかったが。


 隣町の冒険者ギルドだ。早速受付のきれいなお姉さんに話しかける。


「あっ、あっ、えっと」


 ん? そういや人間と会話したの前世から何年ぶりだ?


「冒険者希望ですか」

「あっ、あっ、はい」


 お姉さんがきれいなせいで上手く話せない。たぶん。


「それでは、このステータスプレートに手をかざしてください」

「えっ、あっ、ちょっと」


 ステータスプレート? RPGでよくあるやつか?


 恐る恐るタブレット大のステータスプレートに手を触れる。すると、それは淡く光りだして、文字通りステータスを浮かび上がらせた。


ルルカ・スミス Lv.1(Max)

職業 無職

体力 69/100

魔力 0/0

攻撃力 4

防御力 3

魔法攻撃力 0

魔法防御力 0

素早さ 2

知力 5

スキル:無し

アビリティ:無し


「む、無能すぎる……。も、もしかして赤ちゃん!?」

「ば、ばぶ?」

「は?」

「あっ、すみません」


 超能力は考慮されていないのか。それより、きれいなお姉さんの素の「は?」は心に刺さる。もう冗談なんて言わないよ絶対。


「あの、申し上げにくいのですが、これでは冒険者の資格を認めることはできません」

「えっ」

「初めて冒険者になられる方はステータスを見て、冒険者ランクをつけさせていただくのですが、あなたのステータスは、その」

「その?」

「最低のFランク以下の底辺です」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

「うるさい!」

「あっ、すみません」


 クソ。すべてを超能力に頼ってきた人生を恨む。みかんぐらい手で剥けばよかった。


「その、どうしてもと言うなら、パーティで登録して頂ければ、なんとか、こちらも手を尽くします」

「パ、パ」

「パーティは2人以上の冒険者で作られる、ともにクエストこなす相棒のようなものです」

「あ、あい」

「はい。相棒。あ! そういえば、先ほどFランクの冒険者さんが登録されたので、その方とパーティを組んでみてはどうでしょうか? リリィさん! こちらにどうぞ!」

「えっ、えっ」


 「みゃみゃ」と小走りで駆けて来たのは、茶色い毛、いや猫毛のネコミミ少女だった。首にFと書かれたステータスプレートをぶら下げている。


「リリになにか用かにゃ?」

「あっ──」

「この……ルルカさんとパーティを組んでいただけませんか。この方はFランクにも満たないステータスしかお持ちにならないので、リリィさんとバランスがいいかと」


 全方面に失礼だ。


「みゃ、パーティかにゃー。まあ、いいですにゃ」


 いいのかよ。


「えっと、私はリリィにゃ。今日冒険者になった、ヤマネコ族の15才にゃ。目標は魔王討伐にゃ!」

「ま、魔王? えっと、あっ──」


「面白れぇこと言うじゃねーか、野良猫の分際で」


 俺の後ろに並んでいた、筋骨隆々すぎるスキンヘッド男がリリィに声を掛ける。


「の、野良猫とはなんにゃ! リリは魔王軍に奪われた故郷をとりかえすのにゃ!」

「へー、そんなしょっぼいFランステータスでか」


 スキンヘッドのステータスプレートをチラ見する。


スカル=キッド Lv.34(3300/3400Exp)

職業 Cランク冒険者

体力 322/330

魔力 80/120

攻撃力 434(+200)

防御力 180

魔法攻撃力 100

魔法防御力 80

素早さ 150

知力 -47(-50)

スキル:馬鹿力2・格闘3

アビリティ:剛拳・剛脚・パンプアップ・挑発


 馬鹿しか分からん。こいつが進化してゴリラになるのか。


 リリィのステータスも横目に拝見する。


リリィ・ド・アルシェ Lv.7(20/700Exp)

職業 Fランク冒険者

体力 99/107

魔力 0/0

攻撃力 7

防御力 5

魔法攻撃力 1

魔法防御力 12

素早さ 22

知力 15

スキル:ネコミミ・隠密1・短剣1

アビリティ:無し

ギフト:青天井


 まるで成長してない。さすがFランク。


「いまはFランクでも、いつかは強くなるにゃ。心配ご無用にゃ」

「じゃあ、俺と腕試ししようぜ。俺が勝ったらお前をペットにしてやるよ」

「にゃ!? じゃあ、の使い方も分からない馬鹿はいやにゃ。ハゲこそ動物園がお似合いにゃん」

「殺すぞ、猫」


 ハゲのステータスプレートの魔力が減少し、攻撃力が100ほど上昇するのが見えた。左腕が一回り膨らむ。そして、右腕・胸筋と脳味噌以外が肥大化していく。


「にゃ、にゃ、ま、町中でスキルを使っちゃだめって、し、知らないのかにゃ」

「ハゲじゃねぇ。絶対殺──」


「おいハゲ。俺のパーティに手出すんじゃねぇ」

「喋ってんじゃねぇ、ゴミ」


 再度ハゲの魔力が減少する。爆裂する右ストレート。腹にまともに喰らって、視界が回転する。気が付くと青空だった。ギルドの壁には人型の穴が開いている。


「みゃっ……。よ、よくもパーティメンバーをヤってくれたにゃ!」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ