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少女、シャオ  作者: U
1章
1/3

01.ある冬の日





それは、少年、ジルにとって不思議な1日だった。


いや、ジルだけではない。ジルの住む孤児院にいるものは、皆口々に「珍しい」とその花を見ていた。


なんせここはマルセニア王国の隅にある田舎の辺境の地。よっぽどのことがなければ誰も立ち寄らない。だから、孤児院の子供たちしかいないここでは、その花が何故今咲いているのか誰も分からなかった。




「今って、冬だよな?ジルにいちゃん」


「ああ。冬に咲く花か。珍しいな」




ジルはちらりともう一度窓から見えるその花を眺める。冬の花ではないような、暖かな色だ。


何故か目が離せなくなり暫く1人でボーッとその花を眺めていると、茂みの奥から猫が1匹、その花に向かって歩いてくる。真っ白な猫。猫なんていたのか、ここ。なんて考えていると、その猫はその花をプチっと、抜いてくわえた。



「へんな猫…」




俺のその声が聞こえたのか、ピクリと遠くを見た猫が、なぜか俺を見た。


なんだ?なんなんだ?猫の青い瞳が揺れる。そして、森の中へ走り出した。




「ちょ!まて!」


「ジルにいちゃん?!どーしたのー!」


「ちょっと出かけてくる!!先にメシ食っとけ!」




何故かわからない。でも、猫が俺に何かを伝えようとしていた。あの、ブルーの瞳が、ついてこいと、そう言った気がした。





****





猫は本当に俺についてこいと言っているようだった。


見失ったと思えば走るのをやめ俺がくるのを待っている。俺が猫に追いつくと猫はまた森の奥へと走っていく。


なんだ、何があるんだ?一心不乱にその猫を追いかける。すると、何故かそこだけ開けた場所があった。冬のはずなのに、暖かい空気が溢れている。少し疲れて、ゆっくり歩きながらその場所へ向かえば、猫は花をぽとりと落とし、ゆっくりと鳴いた。




「にゃーあ」




そこには、グリフォンに包まれながら眠る、女の子がいた。






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