いつもの帰り道
燃える様な夕暮れ空。車内には強烈な西陽が入り、彼女達を照らす。
その強烈な輝きは、今日の別れを告げようとする。
「じゃあねハルカ、また明日〜」
駅のホームへ離れていく友人たちを見送る。
さっきまでの喧騒が別世界だったかの様に静寂に包まれる。
この駅は下車する人が多いので、今の車内は空席が目立つ。
「さてと…」
閑古鳥が鳴く構内で、ハルカは腰を下ろす。
膝元のリュックからスマホを取り出し、SNSをチェックする。
最近の女子高生は忙しい。
かと言って大したことをしている訳じゃない。無駄な時間が嫌い。ただ、それだけの事だ。
画面を素早くスライドしながら見るが、興味を惹くモノが無い。つまらない。
ハルカの自宅まであと5駅。まだ降りるまで時間はある。
スマホを膝に置いたリュックに仕舞い、反対側の窓の景色をぼーっと眺める。
揺られる電車は心地良く、睡魔が襲う。
「あっ、ダメだわ…」
意識が消えて行くーーー
ーーーーーーーー
やけに静かだなぁ。ヤバい、もしかして終点?笑
静寂の中、眩しい光で目が覚める。
「は?どこだよ」
ハルカは電車の中で眠ってしまったハズだった。
ところが心地よい電車のソファーや揺れが無い。
むしろ何も無い。ただ明るい。
「いや、ちょっと待って。夢?ドッキリ?」
仰向けで寝転んでいたハルカは、思わず立ち上がり辺りを見渡す。
何も無く、静寂で、でも眩しくて煩わしく感じるのは部屋が真っ白だからだ。
「誰だよ。マジふざけんなよ!」
怒りがこみ上げてくるのは、理解不能な状況と何も無い空間への恐怖からだ。ハルカはその場で地団駄を踏む。
「あーもう クソっ!」
足元にあった自分のリュックをサッカーボールの様に蹴り込む。リュックは宙を舞う。
が、
「いっっっっったぁ」
どうやらリュックに入っていた水筒に、足の甲が当たったみたいだ。
宙を舞うリュックから、水筒の中の液体が暴れる音が聞こえる。
「んふふふふ。うーぅ」
痛みと恥ずかしさで馬鹿らしくなってきた。しかも周りに誰もいないので、誰もハルカのことを心配してくれない。
笑うべきか泣くべきなのかよく分からなかった。
そんな複雑な感情を宥めていると、痛みが引いてきた。
そして頭もスッキリしてきたので冷静になる。
「いや、マジでなんなんこれ?卍?」
女子高生ハルカは目が覚めると、白い箱の様な部屋の中にいた。
昔の女子高生と言えば手提げのスクールバッグでしたが、今は北の顔みたいなブランドのリュックサックとか多いですよね。リュックの方が機能的で身体の左右バランスも安定するのでいい傾向だと思います。