合わせられるのか?
「さて、休めたでしょうから、そろそろ合わせましょうか」
ニンマリ笑った顔が、般若に見えるのは、多分俺だけだろう。
「親ビン、コサックダンスはご存知ですよね?」
「それくらい知っとる」
「では、ちょっとやって見せて下さい」
俺は、スクワットするように、腰をおとした。それから、足を1本ずつ両手で掬って交互に上げて見せた。
どや。
奴は、腹に手を当てひきつった顔をしながら言った。
「なんて、卑怯な真似するんですか! 俺の腹がよじれたら、親ビンの責任ですからね」
えっ? 今、俺は、何を責められているんだろうか?
近くにいた役人が、「素直に笑えばいいのに」
ですと。
「いいですか、ちょっと見本をみせますから」
両手を前に組んで、腰をおとし、それから……。
あのぉ……ちょっと。
目にもとまらぬ速さで、あら、コレ俺に出来るんでしょうか?
「どうです? コツがわかりましたか?」
汗一つかかない奴は、再び俺を地獄に落とす。
「さぁ、同じポーズでやってみて下さい」
さっきのでもわかるように、ムリだな。
でも、奴が簡単にやってのけたんだから、俺も頑張れば出来るかも。
蜥蜴が竜を目指すように、頑張ってみた。
両手を組んで、腰をおとし、まず右足をあげ……あげ……あがら……あがった。
空高く、くの字に曲がった足。
どや顔で奴を見ると、ニコニコ動画を撮っていた。
ぬお! アイツは何をしとるんじゃ! 不謹慎な。
「親ビン、早く反対の足を交代して上げて下さい」
急に丁寧になったな。
くの字に曲がった足を、ぐぬぬ引っ込め、引っ込めたいのに、ムリに背をしならせて、何故か頭頂部が床と接合。
ゴチン。
「「ギャーッ、ハッハッハ」」
けたたましい笑い声が2つする。
「いいから、お前ら俺を起こせよな」
ダメだ。ヒーヒー言ってる。終いには床を叩いていた。
自力で何とか起き上がり、頭を触るとタンコブできてた。
痛いの痛いの飛んでいけ~。
「きょ、きょっ、ぶはっ、はぁー。今日は、ここまでにしましよう。クフ、早く帰ってクフフ編集しなければなりませんから。フクッ」
いや、それ、完全にお前の都合だな。
ま、まぁ、俺も疲れたからいいけどな。
こうして、訓練1日目が終わりを告げた。




