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気のせい
やっと、ようやく100回のカウントを迎えた。
足の訓練なのに、俺の赤くなった顔と頭からは、程なく湯気がたちのぼる。
口を押さえ、目線は頭からはずれることなく、奴は、俺の靴とサポーターをはずすのに、協力してくれた。
手が疎かになってるぞ。
俺のかわいく震える、小鹿のような足を今度は凝視している。
全く、忙しい奴だ。
「辛抱たまらん」
そうのたまった奴は、俺の足をつついたのだった。
「ああぁ」
そう言ってよろけまろぶ俺に、止めろ! なんだその恍惚とした眼差しは!
ハッ! もしや、お前はSなのか? 俺は、どMなんかじゃないぞ?
目に避難を込めて見返す。
「親ビンは、俺の好みにピッタリだ」
な! 俺にその気はないからな! 仰け反る俺に、迫るどエス。
「その散らかした頭。あいてるかどうかわからない小さな目。怯えた表情。何をやらせても、天然炸裂の面白さ! 人間なのが実に残念です」
俺、人間でよかったぁ。
って、なんじゃそりゃ! 俺の深ーいところが、グッサリと、えぐられているような気がするのは、気のせいなのか?
1人葛藤する俺だった。




